January 11, 2011
2010年の10曲
*「あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。記憶が薄れないうちに毎年恒例の、2010年特に印象に残った10曲を挙げたいと思います。
・Wyatt / Atzmon / Stephen - The Ghosts Within
ワイアット翁の新作はジャズトリオ作品。スタンダードとオリジナル曲がならんで違和感なくワイアット印なのは最早仙境に達しているといっても過言ではない音仙人ならでは!しかも、Tom Tom Clubみたいなラップが入った曲があったりと、攻めの姿勢は崩していません。
選んだのは表題曲となっているマスターピース。弦と笛と声が織り成すファンタジーに眩暈が。。。
・Brian Wilson - The Like In I Love You
ずっと楽しみにしていたブライアン・ウィルソンによるガーシュインReimaging!届いたレコードに針を落とした瞬間に思わず涙が出そうだった程に、豊潤且つかけがえのない音楽。
万人の琴線を震わし、更にその一部をちょっぴり狂わす才気はやっぱサイケだなーっと。
・Antony and the Johnsons - Thank You For Your Love
2月の来日公演が印象深いAntony。その後大野一雄さんが亡くなってしまい、まるで妖精のように見えた彼の心を思うと、自分の胸も締め付けられるようでした。
先行シングルにもなっていたこの曲は、前作収録の「Kiss my name」にも見られたAntonyの歌謡心が爆発してます。異様に密度が高く感じる楽曲。
・Dirty Projectors - Ascending Melody
2009年はDavid Byrneとの共演曲を選びましたが、2010年は3度も彼らのライブを観たもんで印象に残りました。"カードが多い"というのは勿論誉め言葉ですが、かといって器用なだけじゃなくってきっとリーダーのDavid Longstrethはすこしおかしくって、揃えたカードが結構飛び道具ばかりで、実はそういう楽しみもかなりあるバンドなんです。BjorkやThe Rootsと共演に至るにはそんなワケがあると思うのです。
「Stillness Is The Move」という曲なんて、昨今のR&Bアイドルばりの曲でおもしろいなーと思っていたら、ビヨンセの妹のソランジェがカヴァーしてたり。
こっちがオリジナル。
あと、12分と少し長い映像ですが、下記の Take Away Show のラストはちょっと感動的。
・Neil Young - Angry World
エレキギター弾き語りアルバムで、ダニエルラノワプロデュースで、アルバムタイトルがずばり『Le noise』(!) なんて期待するなってのが無理な話。結果は大正解で、期待通りの唯一世界が存分に展開されていました。
その中から選んだこの「Angry World」なんてメロディも歌詞も既聴感というか、曲名からして既視感ばりばり!アコースティックバージョンもバンドバージョンも観た事聴いた事ありそうな程に、ただただNヤング印な曲ですが、ギターノイズの行間に在る雄弁なるヤングインフォメーションを受信しちゃってビリビリ!
・山本精一 - 待ち合わせ
ギターノイズに語らせるなら、本邦が誇るべきはこの方、山本精一先生。本人が語る詩世界も意味不明ながら妙に日常にフィットしてくるし、お隣のサイケ感が心地良すぎです。
間も無く出る、『PLAYGROUND』のアコースティックバージョンも楽しみ!(「夢の半周」を歌っているとの事!)
・Gil Scott Heron - I'm new here
今尚アグレッシブなヘロン先生の健在振りに恐縮。。。ブックレットには、一回目にこのCDを聴く時はカーステやポータブルオーディオプレーヤーなんて論外じゃ!家のステレオの前で正座して聴くのじゃ!携帯なんぞ切っとけ!!と書いてありました。。。その言に反論出来ぬバンカラな音です。
特に「NewYork is killing me」という曲なんて、朝から聴いたら会社に行きたくなくなったという呪いの音楽でトラウマ級。そしたらフジロックのクリス・カニンガムのライブでサンプリングされてて成る程なあと思いました。
その曲は繰り返し聴くと危険なので、穏やか表題曲を選びましたが、それでもヘロン先生の声の力には畏れを抱いてしまいます。
・Sade - Babyfather
こちらは只管安心の音楽。安心も極まり過ぎると怖さも見えてくるような気もしますが、そんな事はなく地平線まで見渡す限りの安心が在るのみ。安心ハードコア。
・Rufus Wainwright - The Dream
亡き母と姉に捧ぐ、ド私小説的なピアノ弾き語り作品をリリースしたルーファス・ウェインライト氏。歌心は勿論素敵の一言の名曲ですが、その下を流れるせせらぎのようなピアノが兎に角美しいです。アルバムまるまるピアノ作品としてリリースされても良いと思える程。
・The Drums - I Felt Stupid
なんというかピュア過ぎるSmith愛が越境してしまい、笑いの先の美しい涙を連れてくるこの図式は確信犯なのか、天然なのか判別不能。謎が謎を呼び、気付いたらハマっていました。
来日公演を見に行き、アルバムも何度も聴いて、気持ちの悪いPVも見まくったけどまだまだ飽きそうにないです。
因みにこの曲は2010年リリースのアルバムには収録されなかった2009年の曲ですが、友人に薦められて見た下記のライブ映像に衝撃を受けたのが始まり。狂熱のタンバリンマンは必見です(w
以上が、2010年印象に残った10曲です。
誰そ彼の活動など、今年も出来る限り色々とやっていきたいと思っています。どうぞ宜しくお願い致します。▼
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2010年1月 - 2009年の10曲
2009年1月 - 2008年の10曲
2007年12月 - 2007年の10曲
2007年1月 - 2006年の10曲
2005年2月 - 2004年の10枚
June 11, 2010
ひふみよ
*「ひふみよ行ってきました。@渋谷NHKホール。小沢健二は僕の最大のヤングトラウマなので、最早正常な判断が出来ているか不明ですが書かずにはいられない。
KENJI OZAWAが捩れ捩れまくっているのはいつものことで、序盤の(こちらの)戸惑いや居心地の悪さにいつしか慣れる頃に『痛快ウキウキ通り』の「喜びを他の誰かと分かりあう」というフレーズが歌われました。曲はあっという間だった。「プラダの靴が欲しいの~♪」という出だしで、それから3分弱でこんな、幸せの根源的なテーマに到達しているなんて素晴らしいポップスだなと実感しました。
曲間の、MCというより"お話"の中で「笑い」について触れていたけど、ローカルネットワークでしか通用しないようなネタから起こる「笑い」の効用や「なんかわかっちゃう感じ」。排他的とも言えるけど、実際はそういうローカルな世間のレイヤーの往来の中で僕らは一人一人生きている。同じ言語を持った人と偶然か必然か、出会って共感して確かめ合う。そんな事の繰り返しの中で進んでいくのだ、という感覚が最近凄くあるのです。正に「愛すべき 生まれて育ってサークル」のような。
昨年偶然か必然か出会って、今回同行する事になった若い友達が、ひふみよの帰り道に夏目漱石の話をしてくれました。漱石曰く、昔は"Love"に相当する日本語がなかった。何故なら「月が綺麗ですね」で愛を分かりあえたから。つまり、平安の歌文化の頃から変わらず「それだけがこの世の中を熱く」していたのだなあと、僕は思いを馳せました。「なんかわかっちゃう感じ」で幸せを共有していたのは今もずっと変わらない。
時は流れ、人は変わり、街は変わり、だけどキャラバンは進んで行く。変わったもの、変わらないものは何かという事を知るそれぞれの誰かと、共感する、確かめ合う。そのために我は時を行くのだ。
予想していた以上に(というか想像ができなかった)、素直に古い曲を演奏していました。そしてその為のアップデートの準備は周到に算段されていました。長い旅から戻った新しい視点で、ストーリーは作られていた。シンガポールでマツダの中古車を大事にしているスポーツライターの話の後で、あの『カローラⅡにのって』をどこかの国の奇妙な民族音楽のようなアレンジで演奏するという手腕はお見事としか言い様がなかったです。カローラⅡは飛んでゆく。
"渋谷系"という言葉も、最早フォークロア化させていました。世界のどんな街にもその街の歌があって、幾度も演奏されて歌われている。「僕はこの街(渋谷)の歌にしてもらえてよかったです。」というような事を言っていたのです。
遠い街の物語を話しているラジオからのスティーリー・ダンは、この街の物語を歌う『いちょう並木のセレナーデ』に置き換えられていました。
名古屋公演を見たという友人は「ジャマイカ人にとってのレゲエと、日本人にとってのオザケンは、多分一緒なんじゃないだろうか」なんてつぶやいていたけど、ある意味ではそうかもしれないな。渋谷HMV前で待ち合わせて、公園通りを歩いてNHKホールに向かう。「あれっ?CD何買ったの?」なんてステレオタイプな渋谷原風景が今も生きていたとは!昨日の自分はまるで河童か天狗にでもなったかのような気分でした。
小沢健二は旅の中で各国の『土着』の美しさを発見して、それを持ち帰って自分も日本での土着化を試しているのではないかという気がしたのです。
「それで Life is comin' back 僕らを待つ」とは歌えなかったのか、歌詞を変えて「それで 感じたかった 僕らを待つ」と。「Lovely lovely way, can't you see the way? It's a」のとこは「Lovely lovely day 完璧な絵に似た」に変えるので、観客に歌を練習させるシーンが序盤にあるのですが、その時に「一時間後にこの曲をやる時には必ずそういう気持ちになってるはずだから!」と断言していました。
実際そういう気持ちになっていたのですが、前述の周到なる算段や渋谷原風景を「完璧な絵」と捉えてしまうと"してやられた感"があって癪なので(笑)、素直に"完璧な絵に似た"未来のLovely dayを空想して渋谷の神話は美しいものとして締め括りました。▼
March 01, 2010
It really, really, really could happen
*「たしか新宿のみで二日間しかかからなくって、その当日に上映されることを知って映画館に電話したらもう満席ですと言われたblurのドキュメンタリー映画『No Distance Left To Run』。
それからすぐにDVDが発売となり、しかも去年のハイドパークコンサートがまるっと収録された二枚目がつくというので早速購入しました。
ハイドパークのライブDVDがメインでオマケがドキュメンタリーって感じだよなあ、なんて気がして買っても二枚目のほうを先に黒ビールと共に散々盛り上がりました。
かっこつけマンのアレックスがタバコに火をつけて"Girls & Boys"のあのベースラインが始まるとことか、"Beetlebum"のグレアムのイントロは未だに心に突き刺さる威力を持つ。"Parklife"ではフィル・ダニエルズが登場して「Cheers London!」。そして日暮れのハイドパークにて"tender"の止まない合唱には落涙も禁じ得ないほど!やっぱblurは青春なり。
そして1週間くらい経って時間があったので、くらいのノリでようやくドキュメンタリー(一応メイン)のほうを観たのですが、やはりこっちも往年のファンとしては胸にせまるものがありました。
アートスクールあがりのルックスもそれなりにかわいい若いバンドがアイドルのようにデビューさせられて、それなりに人気が出たもののお金を持ち逃げされたりしてツアーが失敗、戻ってみれば見向きもされていない。これはよくありそうな話。
しかし、アメリカのグランジブームに反感を抱いて「英国」である事にアイデンティティを見出し、それでモッズの兄さん達が味方について盛り返す。これもまあありそうな話。モノクロの映像でデーモンがバスにつかまってロンドンを走るという"For Tomorrow"のビデオが印象的です。
そしたら同時期に他の人気者(ガキ大将)が出てきて、ひとつのムーブメントを成すまでに至るも、メディアに対する嫌悪感や疲弊、理想との乖離から自分たちが嫌いになってしまう。と、ここまでが『The Great Escape』まで。
ここで本当に大脱走になっちゃって終わり、ってのもよくある話。実際にガキ大将とのシングル同時発売事件の時は、正に試合に勝って勝負に負けたような具合で、グレアムは窓から飛び降りようとしたりしてぐちゃぐちゃだったらしい。「これはビジネスだけでなく生身の人間が関わってるという事が伝わると思った。」って、グレアム~(泣
ここで終わって何年後かにビジネスで再結成みたいな流れにならなかったのがblurのタフなとこであり、そしてまた90年代という時代も要因としてはあったのではないかと思います。飛び降りようとするまでに真剣でピュアなグレアムはアメリカに渡って、彼らが反旗を翻したグランジの次の流れであるオルタナティブの要素を持ち込んで再起にかけたわけです。
「音楽で驚かせたかった。」と本気で思って出来たのが"Song2"であり、"Beetlebum"。確かに驚きました。
そのアルバムの発表記者会見では「僕はジャズのレコードを作りたかったが、まだうまくできないんだ。」と言って記者達の笑いをとるグレアム。でもきっとこれは冗談なんかじゃないんだ。グレアム~(泣
と、ここまで割りとグレアムひいき目線で書いてきたのですが、結局このドキュメンタリーを通じて分かるのは火種は大概グレアムってこと(笑)彼自身によって自己分析もされてますが、アル中だったし辛い時に感情をすぐに出してしまう…。その点デーモンはちゃんとやるべき事のためにコントロールができるらしい。アレックスは享楽的でおちゃらけているし、デイブは離婚問題とか転職を考えたりと結構リアル方面。
つまりblurの中で一番ナイーブでおセンチでロック的で、僕たちが共感を寄せてしまいがちなのがグレアムなのだ!
「カムデンのパブで塗装工たちと話してる方が楽しいよ。」なんて本当に身近。亀戸や立石にホルモンで一杯飲りに行くような感じじゃないか。
そんなグレアムがもう一度やろうって決めて立ったグラストンベリーのステージでの"tender"!!こちらでも止まない合唱。それどころか、ライブが終わって散り散りになった客たちがまだそこかしこで歌っているシーンが写ります。グレアムとデーモンが共作した詞。みんなが歌い続けている「Oh my baby」の部分はグレアムが朝突然思いついたのだと言う。まさかみんながあんなに歌うような歌になるとは思ってなかった。って、グレアム~(泣
良かったな!!
それでも微妙な関係であった二人が完全和解をしてハイド・パークコンサートに繋がるエピソードが美しい。カフェで会って、ケーキを頼んだデーモンはそれを二つに割ってグレアムにあげた。そしてコーヒーをこぼして、悪態をついた。
そもそもエセックスの学校での2人の出会いは、革靴に黒いトレンチ・コートで自信満々のデーモンが、グレアムの靴を偽物だとけなした事が始まりという。そしてグレアムはそれを今でも根にもっていると語るデーモンの笑顔。素敵じゃないか。▼
追伸:今年のフジは仲良しのMassive Attackも来る事だし、blur来ないかなあ。昨年は豪雨の中ガキ大将の"Live Forever"を合唱したので、今年は満天の星の空の下で"Universal"を歌いたいです。テントに戻る道すがら、"tender"を歌いたいです。
February 14, 2010
Antony and the Ohnos -魂の糧- @草月ホール

*「草月ホールでAntonyを観て来ました。本当に待望の!待望の来日!!
今回はAntony and the Johnsonsではなく、the Ohnosでの来日公演です。Antonyが芸術の師と仰ぐ舞踏家・大野一雄さんの短編フィルムと、正に競演するというコンセプトのショウでした。
グランドピアノを前にAntonyが歌いだすと、目の前に突然暗く太く深い川が現れたかのような感覚に襲われました。その水は冷たくもあり、温かくもあり、流れは激しかったり、穏やかであったり、よく掴めないのですが、ただその中の密度は圧倒的です。声に質量を感じます。なんというか、Antonyの心のふるえが空気に振動して音となっているような。魂だだ漏れ。
the JohnsonsのRob Mooseのヴァイオリンとコーラスも素敵でした。特にコーラスは素晴らしく、Antonyにばっちり合っている。グランドピアノとRobっていうミニマムな編成も良かったな。勿論the Johnsonsでも来日してほしいけど。
40分程度で9曲を演奏した後に一度閉幕して、大野一雄氏の映画『O氏の死者の書』がかかりました。70'sアヴァンギャルドな映像のバックで演奏されていたノスタルジックな音響はWilliam Basinskiによるものかな。あの作風ととてもマッチしていて、なかなかとっつきにくい映像への親切な窓口になっていたと思う。
再度幕が開き、Antonyが歌いだしたのはなんとエルヴィス・プレスリーの「Can't Help Falling In Love」。大野慶人さんが小さな大野一雄人形を持って、腹話術師のようなたたずまいで右に左に舞います。「Can't Help Falling In Love」は大野一雄さんが踊った曲という事なので、息子(といっても既に70歳くらい)と2人で芸術の師をトリビュートしたのです。こんなに幸せな光景はない。
演奏を終えて大野慶人さんが大野一雄人形をぺこぺこおじぎさせながら「Thank you Thank you」と挨拶するのがとてもかわいらしく、それを見て思わず椅子を立ち上がった時の、Antonyの顔!よかったなあ。
そして大野一雄さんは100歳の誕生日を迎えても舞台に立ち続けているという。▼
※ こちらでAntony and the Johnsonsのライブ音源が聴けます。(1時間半丸々!)
February 11, 2010
quiet loud quiet
Solid Steel Radio Show 29/1/2010 Part 3 + 4 - Strictly Kev by Ninja Tune
*「昨晩寝る前にTwitterのタイムラインを覗いてみたら DJ FOOD がBrian EnoしばりでDJ Mixをしている音源へのリンクがありました。寝よう寝ようと思っていたのに聴き始めちゃったらこれがかっこよくて眠れなくなってしまった。Eno Mixなのに観点がアンビエントじゃなくって、「Funky Eno!」これは素晴らしい。そして眠れるワケがない。
俄然盛り上がってきたのでひとりワインをあけてガブガブやりながら連想ゲームが始まり、細野晴臣、Massive Attack(新譜よかった!)、YMO、Sly & The Family Stone...と勝手に深夜の選曲タイム。
Brian Enoのファンクネスとアンビエンスの対比はそのままがっつり細野さんのキャリアの一部とリンクするような気がしてならなかったり。YMOが昨年Massive主催のフェスに出演したことや、映画『ハイ・フィディリティ』で少年が盗んだレコードの中にYMOが含まれているシーンを思い出したり。
これらとりとめもない連想はいっこうにまとまらず、こんな気分を文章にしたいけどできないなあと思いながらも、最後はキヨシローを聴きながらその旅を終えることにしたのですが、今になってまたむくむくと伝えたい気分が湧き上がってきたので筆をとってみた次第です。
実はその夜 YMO / Technodelic を聴きながら読んでいた雑誌が一冊。先日、下北のレコ屋で800円で入手した『H2』という雑誌の創刊号(1991年)。細野晴臣責任編集で、刊行はなんと筑摩書房から。冒頭のインタビューで細野さんはこう述べられています。
「たとえば、情報というのは、ビタミン剤のような、錠剤のようなものもあるし、安曇野の水みたいな、最近のミネラルウォーターみたいなものとか、そういうのもあるし。どちらかというと、今巷に溢れているのはビタミン剤みたいな、非常にドライなものばっかりですよね。そういう意味ではギスギスし過ぎている。目的を持ちすぎているというか。」
このインタビューから既に20年が経過していながらも、情報の即効性・即物性の側面は今尚加速し凶暴化し続けています。ビタミン剤がもはや劇薬と化しているかのような状態にも見えますが、Twitterなんてやっていると知らないうちに情報の選別作業ばかりをしている自分を実感するのです。
んで、更に細野先生は「今一番大事な能力というのは選ぶ能力だから。」とまで述べてしまっていらっしゃるのですが、実感としてはいれたくもないインプットで思考をかき乱される可能性は増殖し続けている。水もビタミン剤もどちらも必要な事は明白なのだけど。
それに繋がるような気がするのですが、田島貴男さんが最近の日記に以下のように書かれていました。以下引用
「時代はどんどん複雑になっていってシンプルへ戻ることはなさそうなんだな。
人が子供から大人になれば、物事が複雑で多面的に見えてくるように、
これから時代がもっと大人になるほど、物事はもっと複雑になってゆくみたいだ。
でも萎縮したりあわてたりしなくていいんじゃないのかな。
だからといって「かんけえねえ」って、
逆ギレしたりヒステリックになったりしなくてもいいんじゃないかな。
ふつうに朝起て顔を洗って元気を出して、
速くなってゆく変化について、複雑になってゆくことについて、
いろいろ感じ取ったり、見方をもう一つ増やしてみたりして、
思いめぐらしていったらいいんじゃないのかな。」
田島さんの言葉ってなかなか難しい内容をシンプルにさらっと出してくるのでいつも感心してしまいます。このブログでも何回か彼の言葉を取り上げさせてもらっていて、僕は人生で唯一ファンレターを出したことがあるくらい(笑
しかも、自分が気になっている問題に切り込んでくる言葉が多くって、驚いてしまいます。
そして先日のAXでのライブも凄くよかった。真冬のくせにめちゃくちゃ暑苦しい男のラテンロック!!懐かしい曲も4人編成のバンドアレンジで鮮やかに生まれ変わっていた。情報をちゃんと選び取っている人にしか出せないロックだと思う。僕の心と体は乾いた砂漠の如く、豊かなOriginal Loveの音楽がスーッと沁み込んで来ました。
細野さんの言葉なんてもはや20年前であるのに、今の僕の心に染み渡ってきた。これもすごいこと。正に安曇野の水のようです。
そこで20年前の細野さんが提言しているのが"クワイエットな気分"。"クワイエット"、これはなんだろう?ソウル・ミュージックほどガッツはなくって、ニュー・エイジを拒んだ人々が目指す、苔の様な、強靭で地味で、原始的で効率のいい…"過激な静けさ"とは!?
クワイエットの謎を解くカギが前述の田島さんの文章にあるような気がします。「ふつうに朝起て顔を洗って元気を出して」という一文が正にクワイエットな気分だと思うのです。そのクワイエットな気分の中で「変化について色々と感じ取ったり、見方をもう一つしてみたりして…」
つまり、"差"について敏感にあれ、というか。ハレがあってこそのケで、ケがあってこそのハレだということ、そのことについて意識的に暮らしていくこと、ですかねえ。。。だからEnoも細野さんもアンビエントだなんていいつつも、根っこはけったいなファンクを内包しているのです。
『遠野物語』が今年100周年だそうで、水木しげる先生が遠野物語を原作とした漫画を出版されたのですが、改めて読み返してみると本当にケ・ムードが蔓延しきっている本だなあ。というか、遠野物語も情報なのですね。よく考えてみたら100年前にもちっと前の事を振り返ってみました、という情報。柳田マジックで文学作品という属性も付与されているわけですが、あくまでも語りを書き起こしただけの、情報。
ただ、この情報は非常にクワイエットなもので、100年かけてじんわりじわじわと平地人を戦慄せしめているのです。水のように。
僕もクワイエットな気分が少しわかってきたかな。こうやって自分の日々の暮らしの点を結んでみたら、じわっとクワイエットな何かが浮かび上がってきたという気がする。いや、既に大事なのは"気分"という言葉にシフトしているかもしれない。自分の暮らしを支配する"気分"。
pixiesのドキュメンタリー映画で『Loud Quiet Loud』というタイトルがあったけど、『Quiet Loud Quiet』くらいのペースの気分が僕や誰そ彼には程良い感じがするね。
tとL、dとQの二つの半角スペースを大切に楽しみつつ、水のような言葉を紡いでいけたらいいなあ。▼
10/02/14 追記:田島貴男さんのtwitterより引用
「音楽は情報であると同時に、大昔からずっと人が抱いてきた、気持ちいいとか寂しいとかの、気持ちの振動なんだな。」
January 03, 2010
2009年の10曲
*「あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。記憶が薄れないうちに、2009年特に印象に残った10曲を挙げたいと思います。
・Dirty Projectors + David Byrne - Knotty Pine
最近はアフリカ音楽の影響を取り入れた若いバンドが流行っているようですね。その先鋒とも言えるDirty Projectorsが名コンピ『Dark was the night』にて、大先輩である David Byrneと共演してました。なんだか若々しい曲で、エネルギッシュな Byrne先生の歌唱が素敵です。
・Jimi Tenor / Tony Allen - Mama England
アフロに向かう本格派としては、Jimi Tenorも居ました。Tony Allenとの共演アルバムが凄く楽しいです。土着の演奏家たちに混じってテンションの高い演奏を繰り広げています。こいつらみんなで来日しないかなあ。Meet The World Beat!!
・Tortoise - Northern Something
Tortoiseはフジロックでの演奏の後半が凄くって、目の前のGongをほっぽりだして隣のヘブンへ駆けた記憶がまだ鮮明に残っています。ギターのキレっぷりが凄まじかったのです。
アルバムもヒップホップアプローチを強化しつつ、ラテンなど多種多様なビートの遊びが混在するなかなかの仕上がりでした。特にこの曲が好きだなあ。
同アルバムより、このビデオの演奏かっこいい~。
・Caetano Veloso - Perdeu
Veloso先生も相変わらずお盛んなご様子で何よりです。アルバムの一曲目、丸っきりオルタナティブなギターサウンドと、丸っきりサンバなビート、そしてミニマムなアンサンブルにやられました。歌声も素晴らしいというパーフェクトな楽曲。
・The Horrors - Three Decades
Horrorsは、クリス・カニンガムやPortisheadのジェフ・バーロウと共作をしたバンドが居るという情報だけを頼りに購入してみたら良かった。初期のトンガった感じのNew Orderに、墓から出てきたイアン・カーティスが再加入したかのようなサウンド。正にホラー!!
僕も次の3月でThree Decadesを迎えるわけで、このタイミングかーという感じで色々とありました。もやもやと考え続けた2009年、この曲の言葉に勇気付けられたような気がする。
don't give up, stand tall, this is your hour
full of joy the boy within must try
forget your regrets.
・Robin Guthrie - Some Sort Of Paradise
クリス・カニンガムがプロデュースを手がけた上記のHorrorsとなんとなく同じ肌触りを持つこの曲、元コクトー・ツインズのRobin Guthrieのソロ作です。羅針盤も彷彿とさせるエヴァーグリーンなメロディーと、それでいてゆらゆら不穏な音像は90年代の頭のほうを思い出して安心します。こういう感じの曲をまだ作っている人が居てくれて嬉しいです。
挙げた曲はなかったのですが、同アルバムより別の曲を。
・Orchestre National De Jazz / Daniel Yvinec - The Song
フランス国立ジャズオーケストラが、Robert Wyattの楽曲を演奏するという企画盤よりWyatt本人がボーカルをとるこの曲。Wyatt以外にもYael Naimが"Shipbuilding"や"Just As You Are"を歌ったり、Camilleも参加してたりと楽しめます。Onjの演奏とWyattの楽曲もマッチしている。アレンジは角が取れて丸みを帯びる感じですが、ジャズへの指向性が浮かび上がってきて改めてWyattの偉大さを想う。
プロモーション用映像みたいなの。(7分くらいのとこで"The Song")
こちらも挙げた曲単品はなかったのですが、Yael Naim歌唱による"Just As You Are"を。これも良い。
・Prefab Sprout - Meet The New Mozart
今年何度も聴いた『Let's Change The World With Music』。もうタイトル書いただけで胸がキューっとなります。何事にも臆さぬような数々の言葉が心の柔らかい所にぐさぐさとささってきます。そして迷いの無い音選び。なんでこんなに真っ直ぐなんだろう。
2009年にこのアルバムが発売されて本当に良かったなあ。パティ・マクアルーンの病気は大丈夫だろうか…。
こちらも挙げた曲がない…ですが、同アルバムより"Sweet Gospel Music"を。
・Pascals - A Shine On Your Head
パスカルズは井の頭公園の動物園でのライブがとても良かったです。この曲はやっていなかったけど、Joseph Nothingのカヴァーというのに驚いた。底知れぬ方々です。
誰そ彼にご出演頂きたいとずっと思っているのですが、人数と楽器の多さからなかなか難しそう。…でもいつか、光明寺でパスカルズの演奏を聴いてみたい!
・Yo La Tengo - More Stars Than There Are In Heaven
みんな大好きYo La Tengo、未だ記憶に新しい12月の来日公演でもこの曲が一番よかったなあ。また新たなヨラアンセムの誕生ですな。この幽玄且つサイケ且つドローン加減がたまらないのです。
以上が、2009年印象に残った10曲でございます。
ライブのほうは、年始に行くはずだったDavid Byrneにどうしても行けなくなってしまったのが何よりの心残りです。今思い出しても悲しい。
良かったのは九段会館でのあがた森魚さん、クアトロのOriginal Love。夏以降は毎週フェスっぽい感じで、フジ、サマソニ、ALEVARE、渋さ野音、京浜ロック、パスカルズ動物園、と寒くなるギリギリまでROCK ONし続けてましたなあ。
誰そ彼は3回やりました。スイス、オーストラリア、スウェーデンと、色んな国からおもろい人たちがやってきて楽しみました。尺八のKenji Ikegamiさんのご縁からSaara Trioにもご出演頂き、また念願叶ってRocket or Chiritoriさんに出て頂けたのも嬉しかった。気付くと同年代(ラスト70's)が集っているのも面白い。
本願寺ライブは続けてきた事での成長を実感できたし、音泉温楽では色々学びました。(そして単純に楽しかった!)
今年も出来る限り色々とやっていきたいと思います。まずは1月16日に『誰そ彼 Vol.17』やります。皆様是非とも足を運んでください~。▼
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December 26, 2009
12/24の大友良英トリオ
*「新宿の熊本ラーメン屋で三十路前後の男女3名が「(一応)メリークリスマス」と乾杯。(店のおばちゃんが笑う)
なんとなく久しぶりのピットインの椅子に座り、缶のハイネケンで「(一応)メリークリスマス」
大友良英さんが「この過酷な環境の中来てくれてありがとう(笑」の挨拶の後に「メリークリスマス(照れ」
世間のメリークリスマスの雰囲気を背中に受けつつたどり着いたピットインもなんだか少しだけ特別で、オリジナルストラップをくれたり、慣れないイルミが飾ってあったりとほほえましい。
僕が座っている席も普段はステージのはずの場所。目の前には芳垣安洋さんの大きな背中があります。肩ごしの向こうにはバーカウンターが見え、その手前でパッとマッチが燃えてタバコの火が点るのが見える。
今回は客がバンドを囲む形でノンPAのフリージャズトリオ。僕から見て左手には大友さん、正面に芳垣さん(の背中)、右手のコントラバスは水谷浩章さん。いつものピットインとは違う景色にワクワクしていると、演奏がスタートしました。
前半はアルバート・アイラーの曲。とにかく音が澄んでいる。フリージャズだしなあと思ってなんとなく構えていたのに、イヤーエイクな感じが全然なくって音に浸かるのが気持ちいいんです。
あらいたての真っ白なバスタブになみなみと熱いお湯をはって、緑色のバスクリンをどばどばいれた風呂にざっぷんと入ったようなイメージが頭をよぎりました。毒々しい色をしつつも透き通っていて豊かな音たち。
芳垣さんを真後ろから見られるのはすごく面白かったです。背中の筋肉が相当で、打つ度に筋肉が動くのを見てるとこの方は鬼かと。シンバルとハットが打つ度にぐるぐるときれいにダンスをします。
フリージャズって、当たり前ですけどフリーなんだなあとつくづく実感しました。ジャズというでっかい容器があって、その中は自由。演奏者の個性や趣向、遍歴やら手癖(?)やら何やらが次々と現われては消え、また現われては消えてゆきます。「あ、ブルースのおっさんが通った」とか。プログレ武者もそこかしこ。打込み以降のビートや音色も…。他にも音楽のさまざまな記憶が波のように寄せては返し、この記憶のいくつかをフィルターとして捉えられた耳をしあわせに思う。豊潤なりフリージャズ。
そして2010年代はこのトリオでピットインを満員にする!と息巻く大友さん。本当にそうなるような気がしてきました。この3人が出す音は稀に見る程にピュアな音!だったので。▼
December 20, 2009
More Stars Than There Are In Heaven
*「年末ですねー。ここんところ毎晩お酒で、Yo La Tengoのライブみたのに感想が書けていませんでした。忘れないうちに。
会場は品川ステラボール。前日のクアトロでのゆら帝対バンは売り切れたようですが、単独公演は売り切れなかった様子で、前のほうでもゆとりのあるくらいの感じで観れました。
初っ端は新譜からの長尺曲"And The Glitter Is Gone"でスタート。いまいち乗り切れないなあなんて思いながらも、続く"Let's Save Tony Orlando's House"のイントロに胸が高鳴ります。この曲の入った『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』は僕の無人島に持っていく3枚の中の1枚なんです。このアルバムからやってくれるのはとても嬉しい。
Yo La Tengoのライブの楽しさはなんといっても3人が担当パートを替えながらの演奏にあります。とにかく曲が良いから三人分の楽器で十分なのです。
そして歌も三者三様に素晴らしい。特にこの日はジェームズの歌声が響きました。"Black Flowers"なんかは思わず涙が出そうだったな。
逆にアイラは不調な感じで、序盤は「あれっ?」と思っていたのですが、"Black Flowers"~"When It's Dark"とおとなしめの曲が続いた後に突如ぶつけてきたガレージナンバー"Watch Out For Me Ronnie"で大爆発!!楽しい!!!
そのまま、個人的にはニューアルバムのハイライトと思っている、ドリーミーなサイケ"More Stars Than There Are In Heaven"に突入。曲名が完全に楽曲をあらわしていますが、ステラボールに星空が浮かびました。美しい。
この感じ、これぞYo La Tengo!とようやく僕のテンションもあがってきたところで、"Autumn Sweater"、"Tom Courtenay"という大好きな曲の連投にやられました。Yo La Tengoのライブはいつもこういう美しい流れが用意されている。「うわぁ」って感じの。
ギターの音が本当に素晴らしい"Nothing To Hide"、早速ヨラクラシックになった感のある圧巻の"The Story of Yo La Tango"でギターノイズにまみれながら本編は終了。
リクエストタイムはあるのか?僕の尿意はもつのか?など等、期待と不安が入り交じる中お約束どおりのアンコールです。
一曲目は日本のモップスのカバー(とてもいい曲だった!)。そして、"You can have it all"!あのダンス。なんて愛しいバンドなんだろう。最早幻獣に近い存在に思われる。
この日一緒に行ったS夫妻は、もう一人のメンバーを加えた3名で、友達の結婚式においてこの曲のダンスを完コピしたらしいです(w
いつか僕もやりたい…。
そして『Electr-O-Pura』のからの静かなナンバーで終幕。
二回目のアンコールは出血大サービス"Sugarcube"で楽し過ぎました。"Rock 'n' Roll Santa"は何年か前の来日時もやってたな。確か、サンタの格好をしていた気がする。
最後の最後は、僕がYo La Tengoの曲で一番好きな"Our Way To Fall"をやってくれました。前回来日時も運良く行った日のセットリストにあったり、フジロック2003ではSun Ra Arkstraのホーンズを入れてやってたりと嬉しい事に何度か聴けているのですが、今回のはその中でも特に良かったです。
本当にいい歌。もう少し若い頃、クラブ帰りの始発電車で半分眠った状態で聴いていたのを思い出す。「We're on our way to fall in love...」▼
December 05, 2009
Must Be Santa
*「サンタに違いない!そう思って扉を開けた少年の目に映ったのは、赤と白の衣装をまとったサンタのおじさんではなく、青と白のボーダー柄のユニフォームをまとったサガワのおじさんだった。
「この人がサンタだったんだ…。」
今に始まった事ではないですが、アマゾンさん依存度が高めな僕は土曜午前は大抵サガワのおじさんを待っています。まだかな、まだかなー。
とてもお腹が空いています。近所のトーホーベーカリーにパンを買いに行きたいのに、サガワがくるかもしれないから外出できないのです。たった10分、たった10分の留守を狙って、青白ボーダーのおじさんはやって来るかもしれないのですから。
ルートがあるのでしょうが、三鷹市下連雀6丁目の我が家にやってくるのは決まって11時半頃。それでも"午前中"のいつにくるかの保証はないのですから、待つのです。朝からコーヒー一杯だけでぺこぺこのお腹をおさえて待つ僕に聞こえるチャイムの音。
「サガワに違いない!」
今朝もそうでした。いつも通りの11時半過ぎに鳴るチャイム。扉を開けるとそこに居たのは「サンタ?」
いいえ、サンタではありません。いつもの青白ボーダーですからサンタでは無いのです。なのですが、サガワをサンタと見紛う程のいくつかの箱…。
少しやりすぎたのです。三十路手前の男が、ちょっとしたクリスマスプレゼントクラスのオーダーを知らずのうちにしていたのです。オーダー内容も大っぴらにするには憚られるような、キッズ感漂う品が含まれています。
とはいえ、実は自慢したくなる品なのでブログに書く事にしました。
半年以上発売が延期していてようやく届いたこのマウス!!トランスフォーマー デヴァイスレーベル『ダイナザウラー』!!
こんな感じのちょっと素敵なマウスが、、、
あっという間に変形して恐竜に!!
デストロンマークが光るのもカッコイイ!!!
マウスとしての使い勝手は疑問符のつくシロモノですが、尻尾が伸びてUSB端子に差さっているこのサイバー感がたまりません。変形の作業久しぶりー。仏教青年会の一員ではありますが、なんとなくクリスマスっぽい気分を味わいました。
行列ができる前になんとかトーホーベーカリーに行き、コーヒーを淹れてクリームパンを頬張りながら、一緒に届いた Bob Dylan の "Christmas In The Heart" を聴こうと開封しました。すると、ジャケットスリーヴからはレコードだけではなくCDも出てきました。買う前には気付いてなかったのですが、まるっきり同内容が収録されたCDもついてくるのです。
なんとも嬉しいディランからのサプライズに僕は思う。
「Must Be Santa!!」▼
追伸:
最近、海外のご出演者が多いのと、光明寺のとあるご縁で『CNNGo』という米CNNのウェブサイトで誰そ彼を紹介してもらえることになったので、急ごしらえではありますが『誰そ彼Englishページ』を作ってみました。
誰そ彼のtwitterアカウントもとりまして、僕が頑張ってつぶやいてます。今の所頑張らないとつぶやけないので少々寡黙なtwitterではありますが、アカウントを持ってらっしゃる方はフォローして頂けると有難いです。フォローカウンターしますので。
正直twitterって何が面白いんだろう…って思ってたのですが、それでもつぶやいてみたら早速出演アーティストのリクエストもありなかなか活用できそうだなーと思えてきました。
>> 誰そ彼 英語ページ
>> 誰そ彼 twitter
November 11, 2009
This Is It
*「月曜日、会社帰りに新宿で『This Is It』を観ました。
この映画で、つい最近までマイケルは素晴らしい仕事をしていたということがわかり、とても嬉しくなり、胸がいっぱいになりました。
特にメンバーへの指導がすごい。ダンスも歌も演奏も演出もMJはなんでもわかってて、自分の感覚的なところをメンバー一人一人に理解させようとする。それもとても真摯な姿勢で。対するメンバー達のMJのリクエストに応えたいという思いもびんびんと伝わってきてドキドキします。
それぞれの楽曲で使われる映像や舞台演出などは、お金とテクノロジーを投入して2009年版にアップデートしているけど、演奏や歌はあくまで観客が期待しているもの、則ち最初にレコードを聴いた時の感じをだそうというマイケルの意思。これは紛れも無く、一人の才能者が舵をとる世界最高レベルの現場なのだと実感します。
そんな最高峰の仕事場で、
リハなのに歌い過ぎちゃうマイケルや、リハなのに踊り過ぎちゃうマイケルや、それを反省するマイケル、
才能者でありながら、ビジネスを知りながらも、実に一アーティストの顔。
スタッフ達に「It's a great adventure」と言っていましたが、その気持ちがなにより素晴らしいです。
僕は映画を見終わって甲州街道を歩きながら、なんとなく岡村ちゃんの
「今、少年の情念で冒険をつかみとりたいぜ」
という歌詞を思い出していました。
生前ならば人目にさらされる事のなかったであろう映像により、マイケル神話は僕らの目線に届く距離まで降りてきた気がします。
そこには才能に満ち溢れた一人の人間が居ただけなのです。きっと。▼
November 02, 2009
パスカルズが動物園にやってくる!
*「昨日は井の頭自然文化園でパスカルズのライブを見ました。家から自転車で数分もかからない場所に動物園があるという事を再認識して嬉しくなりつつ、しかもそこでパスカルズのライブを無料で見られるなんて、武蔵野市ステキだー。(三鷹市も大好きですが…。)
動物園入り口で友人を待っていると、以前誰そ彼にご出演頂いた久住昌之さんもちょうど待ち合わせの所で、お久しぶりのご挨拶としばしの楽しい歓談。おうちがご近所とわかり、三鷹市のお話しなど。
ここの所、あがたさんやジョン(犬)さんなど、以前のご出演者の方々と偶然の再会が続いていて嬉しいです。どの再会も音楽やお酒のある場所ではありますが、やはりご縁を感じずにはいられません。
また是非、誰そ彼にご出演頂きたいです。
さてライブのほうは彫刻館という施設で行われました。パスカルズならどうぶつたちの前でやるんじゃないかと勝手にイメージしていたのですが、やはり寒くなってきてますし、音響面も思うと正解です。

一音目が鳴った瞬間の何かが満たされていくかのような、豊かさが忘れられません。楽器が多いのですが、全てが調和しあい美しいスペースを作り出している。それは決して整理されたスペースではなく、まるで森の中のような変化や起伏に富んでいて、聴衆が迷い込むための道となっているかのよう。
石川浩司さんがその道の案内の道化役をパーカッションや踊りでつとめます。笛風船を飛ばしてアクセントにしたり、たまに破裂させたりして緊張感を誘ったり。若年層とのコミュニケーションも、泣き出さないタイプのおともだちを見極めてちょっかい出しているような、いないような…。
彫刻館みたいにピシっとした直線の建物に、チェロやバイオリンの音は凛と響きますし、ミュージカルソウやピアニカ、トイピアノ、そしてカラフルなパーカッションの遊び心がそれをときほぐすかのように賑やかです。
音楽の楽しさ、美しさ、静も動も、混乱も秩序も、緊張も弛緩も、なんか全部が全部あって、とにかくいい音楽!
リーゼント風の髪型の彫刻に阻まれて、バンドの半分くらいしか見えてなかったけど、それも含めていいライブだったなあ。
そしてライブの後は持参したビールや買ってきたビール、鶏団子などを広げ、どうぶつたちを見ながらまったり。入園料400円ですが、散歩などの普段使いにもいい場所だ。文化園。
多少酔い、鹿かと思えば丸太だったり、タヌキかと思えば信楽焼だったり、いい大人がテンに夢中になったり…。
かわいいおともだちが、「ヤギさん笑ってるね~」とはしゃいでいたけど、ヤギはどちらかといえばほくそ笑んでいる風だったり。
その後予定していた『This is it』観覧ツアーは、映画の日故の大混雑の報を受け敢え無く中止して我が家で飲酒の続き。残念がっている友人をアル・ヤンコビックの『スリだー』で慰めました。邦題はあまりにも…だけど、これもまた豊潤な音楽なり。▼
October 31, 2009
誰そ彼 Vol.16 のお知らせ
*「誰そ彼 Vol.16やります!!多分今年最後になるであろう誰そ彼は、またも海外からのアーティストをお迎えします。5月はスイス、10月はオーストラリアときて、来る12月にはスウェーデンのグループ Winkler(ウィンクレア) が登場します。
2009年の"インターナショナル誰そ彼3部作"を締め括るに相応しいWinklerは、CDのリリースなどはまだ行なっていないのでご存知の方は少ないかと思います。
が、取りあえずこのYoutube動画を見てみてください!すっごくいい音楽です。
そして、今回この Winklerと誰そ彼を結びつけてくださったピアニストのsaaraさんと、Winklerのドラム Ola(ウーラ)と、福岡県在住のベーシスト Seigo Matsunagaさんによるジャズ・トリオ saara trio の出演も決定!!
以前から企画を温めていたというこの3名による演奏も今から楽しみです。
saaraさんは5月の誰そ彼Vol.14にご出演頂いた、Audio Sutra Sound + Kenji Ikegamiにキーボードとして参加されていました。その時の出演経験から Winklerを光明寺で聴きたい!と思ってくださったそうで、今回のこの会に繋がりました。とても嬉しいです。
※ 誰そ彼 Vol.14出演時の、Audio Sutra Sound + Kenji Ikegamiの演奏はこちらで聴けます。これもスバラシイ。
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『お寺の音楽会 誰そ彼 Vol.16』 - Winkler Japan tour 2009 -
日時:2009年12月12日(土)17:30~21:00
場所:梅上山 光明寺(東京 神谷町)
料金:1000yen with 1drink
出演:
[Live]
・Winkler (from Sweden)
![]()
http://www.myspace.com/thisiswinkler
・saara trio
[saara(p),Seigo Matsunaga(Ba),Ola Hultgren(Dr) from Winkler]
saara(piano)
http://soundcloud.com/saara
Seigo Matsunaga(Bass)
http://www.myspace.com/seigojazz
Ola Hultgren(Dr) from Winkler
http://www.myspace.com/ohultgren
[法話]
・杉生値慶(浄土真宗本願寺派)
[選曲]
・busse posse DJ's
[PA]
・福岡功訓(FLY_SOUND)
[Drink]
・神谷町オープンテラス
[Food]
・青江覚峰 from 暗闇ごはん
more info.
http://www.taso.jp
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ということで、11月は『音泉温楽 Vol.1』、12月は『誰そ彼 Vol.16』と、これからの落ち葉の季節を突っ走っていく構え。どちらも良い音楽を良い環境で聴ける絶好の機会にしたいと思っておりますので、どうぞ皆様足をお運びください。
■音泉温楽のこと
間も無くに迫る『音泉温楽 Vol.1』のほうは、本番に向けて諸々詰まって参りました。追加アーティストとしてナントDouble Famousより坂口修一郎さん、高木二郎さんのDJチームの参加が決定。14日の臨仙閣にて贅沢な一時を提供してくださることでしょう。
また、同じく14日の夜に渋温泉のご協力により、「野点抹茶サービス」が行われる予定です。会場の臨仙閣に程近い"歌恋会館"にて、渋温泉のおかみさん達&こどもたちが、抹茶をたてお菓子などをふるまってくださるそう!
そして、15日の金具屋大広間では、渋の元気なおばちゃん達の作るこだわりの「としべえみそ」と「りんごが主人の万能たれ」を使った料理が出る予定。こちらもとってもおいしそうです。。。
そんな感じで、ライブと温泉はもちろんの事、その他にもお楽しみ要素が盛りだくさんになってきております。東京近郊におすまいの方はちょっと遠く感じるかもしれませんが、車で4時間とちょっとだし今は高速代も安いので友人集めて割り勘すれば案外気軽に行けちゃいます。宿も素泊まりできるところありますので、夏フェスよりも間口は広いと思います。
ちなみに、先月の誰そ彼メルマガに掲載した僕のコラム「音泉温楽のススメ」が、音泉温楽の公式サイトに写真付きでアップされています。迷っていらっしゃる方はこちらも読んでみてください。
コラム:音泉温楽のススメ
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■日記
学生の頃からファンであったズボンズのベスト盤『Nightfriend of ZOOBOMBS』が昨晩届きました。ベスト選曲のライブをやって、その録音をベスト盤としてリリースするのも彼ららしい。ライブの日からリリースまでがすっごく早くてビックリです。公式サイトで先行オーダーすると、メンバーによる手刷りの紙ジャケットな上に、全員のサイン入り(You're No.2!とある。No.1はズボンズなんです。)、ステッカーなどの特典がつくと聞いてそちらからオーダーしたのですが、開けたらドン・マツオさんからの直筆メッセージまで入っていました。
そいで送られてきたメール便の封筒を捨てようとしたら、中からポロっと落ちたものが。ズボンズのオリジナルピックっぽいのですが、使い込んだ感じで塗装が剥げて無地になっていて周りもボロボロになっている。
ズボンズのこういう感じが凄くすきです。メンバーの存在が身近に感じられます。最近熱心に聴いてなかったけど、またライブに行こう。吉祥寺で毎月やっているそうだ。ベスト盤なのでよく知っている曲ばかりで、それが今のアレンジになっていて凄く楽しいしカッコイイ!
コーヒーを淹れてドーナツを食べながら聴こうっと。
日が沈む頃には Prefab Sproutの『Lets change the world with the music』を聴こう。これは毎日聴いてしまいます。誰そ彼のメルマガでは齋藤君とクロスレビューをする予定。
夜にはお酒を飲みながら、Jimi Tenor/Tony Allen『Inspiration Information』を聴こう。これは素晴らしいコラボレーションです。Atom Heartはラテンに向かったかと思えば、Jimi Tenorはアフロへ向かう。Senor Coconutsのようなユーモアはなく、ド真剣で土着的。ライブが見たい!
眠る前にはまだ開けていない Robert Wyatt Boxのどれかを開けてCDプレーヤーにセットしよう。このごろは毎晩Wyattをかけて床につくのですが、眠ってしまって全然聴けないのです。▼
追伸:Podcast 『Qrtn-くるとん-』に5話目、6話目がアップされております。まだまだ仏教をカジュアルに語ってしまっております。長野行きの車の中で杉生さんから教えてもらった法蔵さんのハナシから"Call my name"というキーワードへ。6話目はお坊さん二人が、何故お坊さんになったか?というおハナシ。お時間ある方はコチラでお聞き頂けると嬉しいです。
October 21, 2009
音楽よ そこにあれ
*「僕が前に働いていたココナッツディスク池袋店の二階で、聴くものが思いつかない時に必ずかけていたCDがありました。セロニアス・モンクの『アローン・イン・サン・フランシスコ』とプリファブ・スプラウトの『スティーヴ・マックイーン』です。この2枚はバックヤードのスタッフ取り置き棚にずっと置いてあって、いつでも聴ける状態にありました。取り置き棚には他にもCDがいくつもあるのに、ついその2枚に手が伸びてしまうのは、どんな気持ちの時でもフィットしてくる不思議な力があったからです。共にどちらかといえば内省的な作品だと思いますが、静謐で、自分に防御の膜を張ってくれるような安心のイメージがあります。
特に台風の日なんかはまるで人が来なくなりますので、これら2枚を交互にかけながら、"無人島にもっていく一枚"ってたぶんどっちかだろうな、なんて考えていました。
同じくココナッツ出身でやはりプリファブ愛好家のサイトウ君が、誰そ彼メルマガで新譜の話を出していたので僕も買いに行きました。国内盤を待ったのは、パティ・マクアルーン(今はパティ=Prefab Sprout)による解説の対訳がついているからです。
実はこのアルバムは1992年から着手したものの、その後制作が中断されていた作品で、17年ぶりに(既にバンドメンバーは去り、パティ一人の手で)完成されたという背景があります。
サイトウ君はこのアルバムはすごい孤独感を感じてつらくもなると言っていました。それは恐らくは、みんなで作るはずのアルバムを今になって一人で作り上げたことや、『Smile』の頃のブライアン・ウィルソンの影がちらついていることなどが関係しているのだろうと思いました。
ビーチ・ボーイズというかブライアン・ウィルソンの未完の作品としてお蔵入りしたアルバム『Smile』は、ロックファンの間で長らく伝説となっていました。(ちょうど、この『Let's change the world with music』と同じように、時が経ってからブライアン・ウィルソン一人の手によって完成し2004年に遂にリリースされました。)
パティは自身による解説の中で、若かりし頃に自分もこの『Smile』の物語に魅せられていた事実を明かしています。聴きたいのに聴くことの叶わないレコード。そして『Smile』の未発表音源の一部が収録された『Surfs Up』を聴いて、"『Smile』に関するストーリーが何故消え去らないのか"、心から納得したとも語っています。
そんなエピソードや、アルバムタイトル『Let's change the world with music』からも感ぜられるように、この作品は音楽愛!そして神への信仰心であふれています。
ただし、それは盲目的なものではなく、ちゃんと冷静な批評眼やインテリジェンスを持ち合わせているパティですから、決して独りよがりにはならない作品に昇華されているのが凄いです。
僕はなんとなく小沢健二を思い出します。『ある光』という曲の中で、プリファブ・スプラウトの歌詞を引用しています。8分もある長い歌の中の語りパートでの「神様はいると思った 僕のアーバン・ブルーズへの貢献」という1フレーズ。これはプリファブ・スプラウトの1stアルバムの曲『Cruel』で結びに歌われる「My contribution, to urban blues」から取ったのだろうと言われています。
『Cruel』はいわゆる失恋ソングで、彼女にふられてしまって悲しみの底にある男が、「シカゴのブルースでも僕のこの悲しい気持ちをうまく言い表せない」と歌い、ラストに「My contribution, to urban blues」と呟くのです。これは、"この悲しみの歌がブルースの表現を拡張した。それこそが僕の(パティの)アーバンブルーズへの貢献だ"とも解釈できるでしょう。
"不在の悲しみ"という共通点としては 『ある光』 は亡くなった祖父に捧げて書かれたという曲です。そのエピソードを思うと、繰り返される「この線路をおりたら」という言葉が重くのしかかってきますが、「新しい愛 新しい明かり」の導きで、「麻薬みたいに酔わせてくれる痛みをとき」ながら、歩き続けている姿が描かれています。
オザケンも、"不在の悲しみ"の中でプリファブ・スプラウトを聴いたのかな?と思うと、『スティーブ・マックイーン』への不思議な安心のイメージや、『Let's change the world with music』の孤独のイメージ、そのどちらも内包するプリファブ・スプラウトに僕らが惹き付けられ聴き続ける事に、心から納得しました。▼
追伸:Podcast 『Qrtn-くるとん-』に3話目がアップされております。 仏教をカジュアルに語ってしまっております。午後3時の仏教放談です。お時間ある方はコチラでお聞き頂けると嬉しいです。
October 13, 2009
京浜ロックフェスティバル2009
*「僕もさすがに大人になったのか、ゲームからの誘惑は楽勝だったものの、音楽からの誘惑には勝てず試験勉強を放り出して京浜ロックフェスティバルに行ってきました。
川崎駅から乗ったバスで見える景色が、会場に近付くにつれてどんどん工業地帯のそれになっていきます。バスの扉の隙間から入ってくる風も心なしか油っぽいような。。。
そして思わず「うおォン」と唸りたくなるような煙突群。バスはメタリックなパイプと併走していくのですが、パイプの中は何が走っているんだろう。
ある部分は秩序、大体は無秩序にみえる工場地帯の造形にしばし見蕩れます。
会場となる公園は運河沿いで、河向こうにはラスボスの城みたいな工場の影。空を見れば羽田から飛行機がびゅんびゅん離陸していき、運河を巨大タンカー達がのそりと進んでいきます。
こんなすごいシチュエーションの中、ステージ上ではゆる~い音楽が演奏され、みんなが芝生でビールを飲みながらまったり。
もつ煮や佐世保バーガーを頂いたり、サワサキさんちの娘さんと3歳マインドで楽しく遊んでいると、細野さんのライブが始まりました。たそがれどき。
一曲目は『モダン・タイムス』から"Smile"。会場に細野さんの声が流れ出すと一気に空気が変わります。
レス・ポールの曲を挟み、次の"香港 Blues"は東京シャイネスやワールドシャイネスを経て、もはや原曲の生まれた頃の時代に別のバンドが演奏してるかのように、既に細野さんの身にぴったり染み付いているタイムレスなアレンジ。
続いて演奏された曲はThe Bandの日本語カバー。これは訳詞が相当グッときます。
ここで、京浜ロックの総合プロデューサーである久保田真琴さんが参加して、束の間のハリー&マック再結成と相成りました。ニューオリンズな楽曲を演奏して、暮れゆく空の美しい瞬間を彩りました。
ラスト二曲は"Pom Pom 蒸気"~"ボディ・スナッチャーズ"で盛り上がり終了。40分くらいのステージでした。
会場を歩いていると偶然あがた森魚さんと出会いました。その節はお世話になりましたでご挨拶すると、「今なんか温泉のやつやってるでしょ?いつなの?」と聞かれ、答えると「遊びに行こうかな。」とのうれしいお言葉。今後、温泉ライブがシリーズ化した際には是非ご出演お願いしますとお伝えできました。本当にいつかまたご一緒したいです。
実はあがたさんとはバッタリ二回目、前回は何故か六本木のソフトバンクショップでした。その時もあがたさんの好きな温泉の話をして頂いたなあ。
少し寒くなり、完全に夜に変わる頃にキセルが登場。先日の野音カクバリズムイベントの時もそうでしたが、この方達はいつも夜の線を引く役をやっているような…。いつか誰そ彼に出て頂きたいものです。
"夕凪"に始まり、"ピクニック"や"君の犬"、高田渡のカバー"おなじみの短い手紙"、ラストは名曲"ベガ"でしめ。"ベガ"の頃にはすっかり夜空でいくらか星も見え、歌詞にぴったりのシーンが訪れました。
東京ローカルホンクをバックに演奏したのは友部正人さん。
今住んでいるという横浜を歌った歌に始まり、たった5曲ばかりでしたが、律された歌声が少しずつ荒くなり、熱唱に変わっていく過程に胸が震えました。ローカルホンクと録音しているという新しいアルバムが楽しみです。
トリ前のムーンライダースの鈴木兄弟+武川雅寛さんによる流石のいなたい演奏に女性のお客さんの黄色い声援がとびます。こちらはCrazy Horseのカヴァーなどをやってました。
東京と横浜の間である"京浜"のイメージが一番しっくりくるのは、なんとなくこの3人のライブでした。
そしてラストはあがた森魚さん!こちらも東京ローカルホンクをバックのバンド演奏で、1曲目は"MEZCAL(はじめに歌ありて)"でスタート。そしてやはり、鈴木慶一・博文兄弟をゲストに迎えての"赤色エレジー"!夜空に突き刺さんばかりのあがたさんの歌唱が凄まじかったです。演奏もかっこいい!
本編ラストは名曲"骨"。これは作曲が鈴木慶一さん、作詞が久住昌之さんの楽曲。久住さんが誰そ彼にご出演くださった時にカヴァーされてました。僕としても思い入れの深い曲。作曲した人と歌っている人はもちろんもっとでしょうから、最後には鈴木慶一さんもマイクを取ってあがたさんと「Bone!」「Bone!」の掛け合い。とても楽しげでラストにはぴったり。
アンコールはもう一度バンドが登場しての"大寒町"。これはあがたさんのというか、日本の"I shall be released"ですね。後ろを振り返ると、川崎の工場群が妖しげな夜の光を放っています。ここはどこだ。
バンドが帰った後、プロデューサーの久保田真琴さんがあがたさんを呼び戻して、二人だけで"あともう一回だけ"を演奏。これはツジコノリコさんのカヴァーで、すごくいい曲。
女性が書いた曲というよりも、あがたさんのような男性が書いたといったほうがしっくりくる歌詞で、実はそれを女性が書いていて、でも今は壮年の男性二人が演奏している、というのがとても心にくるんです。なんというか、"感じ"がある。久保田さんのギターも素晴らしかったなあ。▼
September 22, 2009
肉の大山、ALEVARE、おんどる
*「昨日は上野公園水上音楽堂で行なわれたイベント『ALEVARE』に行ってきました。
何故か待ち合わせは12時上野「肉の大山」集合です。月曜日で飲み物全品半額なので、生ビール+やみつきメンチで占めて295円也。駆け付け一杯、肉屋だけにメンチはエラく旨いです。友人の体験談によると結構 "怒られる店" らしいので、ちょっとビクつきながらも2杯くらいを立ち飲みでそそくさと会場へ向かいます。
到着すると、既にMita kuuluuの演奏が始まっていました。イトケンさんのドラムがとても気持ち良く響いています。なんというか、会場全体がゆる~い雰囲気。友人にばったり出くわしたり、前に働いていたココナッツディスクのスタッフ達も何人か居るらしかったり、カクバリズム5周年イベントの時のようなアウェー感は感じず。
SUNSHINE LOVE STEEL ORCHESTRAを野外で聴くのはとても良いです。以前、よみうりランドで見たLITTLE TEMPOのステージを思い出しました。あれも確か9月のイベントで夜は寒くなった気がする。水上音楽堂は屋根付きですが、ピーカンだったらもっとビールがすすんだのだろうなあ。でも飲み過ぎると夜冷えるよなあ…なんて逡巡を繰り返しながらも、結局飲みます。
一旦外に出て、上野公園の屋台を覗いてまわりました。それぞれのグッとくるフードを求めて…。
結局僕はトッポギを買い、売店の生ビールに並ぶと前の外国の方が店員になにやら英語でイチャモンをつけています。何かと思えば「泡が多過ぎるから注ぎ直して!」との由。見ると確かにヒドい、泡ばっか。
「この部分はビールじゃない!ソフトクリームだ!」なんてジョークを交えつつ悪くない雰囲気で交渉してるので、すかさず僕らも後ろから同調すると「オレはオーストラリア人だからビール好き。」とか言いながら、ジェスチャーで上手い注ぎ方を説明し始めました。とっくに店員はいなくなっているので、明らかにその照準は我々…。今度誰そ彼にやってくるオーストラリアのバンドもこんな調子だったらすぐに仲良くなれそうだなと思いました。僕らのビールも泡少なめになっていて、彼の抗議活動の恩恵を享受しました。日本で店員教育とはやりよる。そしてありがとう。
戻ると、MAMA! MILKが演奏中。トッポギとか食いながら見るのが申し訳ないくらい、洗練されたクオリティの高い演奏に口が閉まりません。秋風の心地よさも相俟って非常にお洒落な空気が流れますが、ある意味相当ハードコアなサウンドなので、その意図せぬ目くらまし感はすごいなーと思いました。
続いては、ジム・オルーク / 田中徳崇 / 山本達久のトリオ演奏。ジムがギターで、あとの二人はドラムという編成です。新しいアルバム『the visiter』のような雰囲気とか、若しくはフリージャズのインプロヴィゼーションのような演奏になるのかなと思っていたところ、意外にノイジーなギターが炸裂。途中はまるでsonic youthなノイズをぶちかましたり、John Caleの現代音楽作品を思わせるゴツゴツした肌触りのリフを延々とやったりと、とてもかっこいい。もっと爆音で聴けたらよかったなあ。ジムのギターがアルペジオになって緊張感のあるキレイな場面で、友人が紅茶にむせる。会場も段々と冷えてきます。
HAUSCHKAは4名のStrings隊を迎えてのライブとなりました。件のプリペアード・ピアノには始まる前から人が集まって撮影の嵐。プリペアード・ピアノの生演奏を聴くのは初めての事だったのですが、要はメロディ楽器としてのピアノの機能と、打楽器としてのピアノの機能を同時に、みたいな事でしょうか…乱暴な言い方ですが。
それで思い出すのが、僕が毎年聴きに行くジャズの高瀬アキさんのピアノ。彼女もグランド・ピアノの中にピンポン玉を放り込んでリズムを作り出していました。更に即興要素を強く含みますが、ピアノからこぼれ落ちたピンポン玉もリズムを刻み続けているのが面白いのです。
ピアノは大きいのがいいです。改造の余地がたくさんある。流石にギターのお腹でピンポン玉は跳ねられません。まあ、高級なものだからより勇気を必要としますけど。(そういう問題じゃないか。。。)
これもオサレな顔してなかなかナードな音楽。ここのイベントに一貫した空気のようです。
大トリはいよいよヤン冨田さん。コードのたくさんついた仰々しい機材は正にラボ。しかも、二名の被験者がリクライニングチェアーに座り頭に電極をつけられています。脳波の変化を音に反映させているのだそうな。スティールパンのソロを挟みながらも、淡々と奏でられている音は子供の頃にイメージしていたような宇宙の音。合間に語られる解説や曲名から想起させられるストーリーに誘い込まれる音です。ニューエイジでもなく、ストリートでもなく、ファッションでもなく、クラシックでもなく、サイエンス・フィクションでもなく、サイエンス・ノンフィクションでもなく、…でもそれらの要素を確実に内包しているヤンさん自身がとても不思議で稀有な存在なのだと感じました。
ヤンさんのスペースサウンドもそうですが、今回のイベントの出演者達はみんな郷愁の音を拾い集めているコレクターような感じがして、共通の匂いがありました。一見オサレな空気を漂わせつつも、実はシビれるハードコアなサウンドが集結しているというなかなか意義深いイベント。長時間且つ椅子のせいでお尻が痛くなりましたが…。
帰りも勿論上野で飲みます。昼のトッポギに触発されて韓国料理の「おんどる」に行きました。ナムル、キムチ餃子に豆腐ステーキ、豚の三枚肉をマッコリで。久々にこれでもかというくらいにニンニクを食べて翌日はお腹が大変な事に。▼
追記::
今度の誰そ彼に出演するThe Rationa Academyの日本ツアーのフライヤーが出来たようです。誰そ彼の日は "TWILIGHT FESTIVAL" と書かれている。かわいらしいデザイン。誰そ彼のほうのチラシについても先方マネージャーさんから「It looks amazing!」との嬉しい声が。
当日が楽しみです。
August 25, 2009
他力本願でいこう!2009、カクバリズム野音
*「土曜は『他力本願でいこう!2009』でした。天候にも恵まれ、沢山の方が来場されました。毎年毎年ほんとに凄い事です。簡単に感想を。
今年は新しい試みの"境内ステージ"が大成功だったと思います。当日の僕は本堂ステージに張付いてる役だったもので、合間を見ては覗きに行く程度だったのですが、ステージのテントを取り囲むようにフードコートや出展ブースや人々の往来があり、まるで本願寺境内村!ステージ前には渋温泉の足湯があって憩いの場となっています。昨年よりも境内エリアにまとまりが出て賑やかな印象。
キウイとパパイヤ、マンゴーズさん(KPM)の"どこかの"土着的音楽はまさにこの境内村の民謡のように聴こえるし、境内村有望の歌手登場!といった感じで歌い上げるコーヒーカラーさん。
足湯を前に温泉チルアウトを奏でるサワサキさんは、さしずめ村長(むらおさ)といったトコロでしょうか。
仏典紙芝居や法話の時はステージが一転してお寺に。サワサキさんの"温泉トーク"ではステージが一転してロフトプラスワンに。出展ブースではチベットの民族衣装の試着ができたり、お念珠作りのワークショップなど、もちろん食べ物や飲み物もイロイロあります。
それら全てがバラバラだけど一緒、という点は『他力本願でいこう!』開催初年度からの出演アーティストラインナップにもいえることで、結局カエルの子はカエルで大正解だったという。
というわけで今年もバラバラで一緒な本堂ステージご出演者ですが、最初に登場したのはバンバンバザールさん。
実は他力本願はリハーサル中も本堂は開放されています。お参りの方がいらっしゃるためなのですが、その時の聴衆は決してライブ目当てとは限らない方々なので反応が面白いんです。その中でバンバンバザールのリハ後は自然と拍手がまきおこったので、これが初っ端というのはバッチリじゃんという手応え。
期待通りの素晴らしい演奏で、最後に線を抜いて生音でやったのにはシビれました。MCでもおっしゃってましたが、本願寺は中もそこはかとなく和洋折衷なデザインですので、ここにバンバンバザールの音が流れるとなんとなく昭和のビアホールを想起させました。銀座も近い事ですし、「父さん帰りに一杯」な空気が充満。
続く大友良英さんは本願寺のパイプオルガンを演奏しました。もう建物の一部といってもいいくらいに大きいパイプオルガンですから、"本願寺を鳴らす"と表現しても過言ではありません。持続音に次々と音が重なっていきレイヤーとなり、静かで美しい空間が作り出されます。通りかかった友人に「これ、パイプオルガンだけじゃないよね?」と聞くと「手元見てきてごらん。」との答え。実際に見てみると、なんとパイプオルガンだけ!小銭を挟んで持続音をいくつも作り出していました。それで会場見回りを装って歩き回って色々な場所で聴いてみると、場所ごとにまた印象が変ってとても楽しい。
大友さんが試し弾きに来られた時、一音鳴らした瞬間に「これはすごくいい音」と、むちゃ笑顔だったそうです。その感じが音に出ていた気がします。子供がはしゃいだりする声が混じるのも本願寺ならでは。本当にスペシャルなライブでした。
そしてタイガーフェイクファこと川本真琴さん。平素も不思議な印象だった川本さんですが、ライブの方も唯一無二のワールドでした。鍵盤の弾き語りで数曲を演奏したあとは、琴と日本舞踊の女性二人が登場して七尾旅人さんの曲のカヴァーをやりました。その編成のまま「知床旅情」なんかも演奏されて、なんだか温泉地のお祭りっぽい雰囲気に。境内ステージで演奏されてもすごく良かったかもしれない。
ラストはASA-CHANG & 巡礼です。あぐらをかいて演奏するスタイルの彼らお決まりの「低い位置から失礼します。」という文句で始まると、一曲目は数字のマジック「12節」。でたらめなようでいてでたらめでない数字の掛け合い。これでもう一気に異界へ引きずりこまれます。
続いてはタブラ全開の踊れる曲で、本堂立ち見客の数箇所が沸立ちます。本願寺本堂でタブラは単純に気持ちいいの一言。
メンバーの一員であるという謎のマシーン、巡礼トロニクスのコーナーではサンプリングされた様々な曲が、何かの契機でコロコロと移り変わっていき今度は笑顔を誘います。本願寺でマイケルがかかるのはきっと最初で最後でしょう。
そして「つぎねぷと言ってみた」に続いて、「影の無いヒト」。この曲を演奏している時のASA-CHANGはまるでインドの魔術師で、本願寺本堂のあのステージにはハマり過ぎでした。前述の「12節」や巡礼トロニクスコーナーもそうなのですが、ASA-CHANG & 巡礼のライブを見ているとどうやっているんだろう?と思う場面が多いです。それは魔法を使っているようにも思えるけど、よく考えると実は人力かも?とか実は手作りかも?という結論が占めてくる。結局実際はどちらかはわからないんだけど、この見えそうで見えない感じ、謎の手品おじさんに一本とられる感覚がクセになります。お母さんに「あんたまたあのオジサンのとこ行ってきたの!」と叱られるみたいな。(実はオッサンはめちゃインテリ。)
といった具合に、本堂ライブも四者四様で素晴らしかったです。会のほうも大きな問題なくスムーズに進行し、スタッフとしてもとても仕事がやり易かったです。また来年もやりたいなあ。
終演後から片付けまでの一瞬の隙をついて、足湯に浸かってみましたがとても気持ちよかった。夜風が涼しく、ぼんやり浮かび上がる本願寺の建築が美しい。束の間だったけど、足のポカポカが止まず温泉を実感。
それで片付けしてる時、ヒトもまばらで静かになってきた本堂で「まだ大友さん演奏してない?」というハナシに。
…実はそれは空調の音で、僕が「これ、パイプオルガンだけじゃないよね?」と思った音は、会場の空調の音だったのです!
そのまま本願寺さんにて打ち上げの宴にあずかり、誰そ彼スタッフ数名はいつものように両国へ流れます。ホルモンです。いつどうやって寝たかもよくわからず、頭痛とともに目覚める日曜の朝。東から西へ、一度家に帰って着替えてまたすぐに東へ。昨日はお疲れサマの他力P杉生氏と早々に再会して日比谷野音のカクバリズムイベントに行きました。もはやこれも打ち上げの一部です。
昨年の他力本願に御出演頂いた二階堂和美さんのご縁で、イベントの詳細もよくわからずに伺った我々を待ち受けていたのは、なんとなーくのアウェー感。見渡す限り、Tシャツの似合う感じの若い女子達。「あれ?ここってカクバリズムだべ?イルリメだべ?キセルだべ??」なんて戸惑いつつ、取り敢えず野音にカンパイ!
じっと静観を決め込んだ後どうしてもよくわからなかったので、iのつく文明の利器を駆使して検索してみました。すると、これはカクバリズムとNiw!Recordというレーベルの共催イベント5周年記念版との事。なるほロケット。おしりムズムズ由来成分はそこらへんかしら。
そういえば他力も今回5周年だったとそこで気付く始末。なんかやればよかったね、とかイベント翌日に話しているという体たらく…。
パラッと降った小雨も止み西日が美しく野音を彩り始めた頃、二階堂和美さんが登場しました。夏の野音って、突然涼しくなる瞬間があると思うのですが、この日は二階堂さんの名曲「脈拍」の時。なんとなく忘れていたあの頃あの心を取り戻すせるような気のしてくる、澄んだ歌詞が風に運ばれて耳を掠めます。いいなあ。
そして本当に昼と夜の境目のたそがれ時のタイミングでキセル!このシチュエーションは最高です。女性ドラムと、エマーソン北村さんを加えた四人編成でまずは「ハナレバナレ」。しっかりタイトな演奏にもわっとダビーな音像で、やや緩んでいた会場の空気がグッと引き締まります。全5曲と短かったですが新曲もありつつ、僕が一番好きな「ベガ」や、正に今!な「夕凪」など。ビールと共に最高の一時。
気付けばすっかり夜が落ちて暗くなった会場、キセルの演奏が終わった途端に流れた聞覚えのあるイントロは「デイドリームビリーバー」タイマーズ!DJはクボタタケシ!!
思わず立ち上がって拳を上げてしまう。なんかもう夏の夜!お祭り!!
そして今日のハイライトとも言える選曲は Original Loveの「Jumpin’ Jack Jive」!!まさか野音でこの曲を聴けるとは思えず、僕もPも年甲斐も無く大はしゃぎ。つい先日のクアトロでも聴いたばかりなのに。ここだけはオッサン達のホームという感じになって、斉藤和義「歩いて帰ろう」を大合唱させたり、中原めいこ「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」~ラッツ&スターの「め組のひと」という大定番をドロップしたり。踊ったなあ。
帰りは帰りで銀座にグッとくる感じの中華を見つけて大満足。黄ニラと豚肉炒め、ニラ海老水餃子、となんかニラばっかオーダーしてしまったがどれもとてもおいしかった。銀座にああいう避難場所は貴重です。名前は忘れちゃったんだけど、カレーのニューキャッスルのとなりのとこ。▼
August 11, 2009
サマソニ09感想
*「サマソニに初めて行ってみました。Vaselines, Teenage Fanclub, Sonic Youth, Flaming Lipsがひとつのステージで見れるというお値打ち感につられ。
今年は10周年らしく出演ラインナップを見てみるとびっくりするくらいギャラ高そうなアーティストがこれでもかとブッキングされてるのですが、会場に着いてナットクしました。広告の量がすごい。都市型フェスとはよく言ったもので、フェスに来ているはずなのに、まるで街にいるかの如くやかましい宣伝や多量な広告で情報を捩込もうとしてきます。
企業がブースを出したりもしてて、メールアドレスなどの個人情報と引き換えにグッズがもらえたり抽選に参加できるような仕組み。お土産と一緒に大量のDMを手に入れてしまうという。
だけど面白い事もあって、ジャックダニエルが出店してたのですが友人がそこでコーラ割りを買ったらスクラッチカードをくれたらしい。削ってみたら、いかにも「作り過ぎて余っちゃった」みたいなジャックダニエルのビミョウなTシャツを2枚ももらって、「…これは当たりなのかどうか疑問」という話に。
もう一度買いに行ってみたら、今度はスクラッチしてないのにもれなくTシャツ2枚を渡してきたので、「これは確実に嫌がらせ」という判定がくだされました。
とまあなんだかんだと文句をつけても結局はライブを見に行ってるだけですから、演奏が始まると黙るワケです。
コンピ『Dark was the night』でFeistと共演していたバンド、Grizzly Bearの肉食獣とは思えぬジェントルな歌心に半睡で身を浸した後、待望のVaselinesが登場しました。ユージン、若い頃から危うかった生え際が後退しているせいか、結構老けて見えました。今何歳なんだろう、と思った瞬間に一曲目は"Son of a gun"!一気に人塊が崩れてジャンプ・ジャンプ・ジャンプ!ビールが舞って、水も撒き散らされてあっというまにずぶ濡れです。
CD一枚におさまりきっちゃうくらいの持ち曲だけど、全てが名曲の彼らなもんで、みんなで歌って踊って大盛り上がりでした。もちろん"Molly's Lips"も、"You think you're man"もあって、ラストは"Dum Dum"でシメ。
ユージンのソロにいちいちシビれ、フランシスのMCでの物言いになんとなくニンマリする、そうかこれがVaselinesか~と嬉しくなりました。飄々とした二人の佇まいが素敵過ぎます。
"Molly's Lips"の時にTeenage Funclubのノーマンがでてきて自転車のパフォパフォ役をやってましたが、彼らは結成以前からのグラスゴー繋がり。VaselinesはSonic Youthからの影響を公言しているし、そのSonic YouthとFlaming Lipsは80年代から米インディーズでやってきた盟友であるというこれらの様々な関係性を思うとなんだか良いブッキングだなあと思いました。(この後のFlaming Lipsのライブでは一曲 "beautiful" Sonic Youthに捧げられた。)
Teenage Funclubはパーフェクトな演奏と歌で凄い安定感。PAがまずくて割れてたりしたのが残念ですが、選曲もヒットソングを惜しみ無くやってくれて大満足。本当に良い曲しか書かない人たちだ。
続くSonic Youthはもうアイドルなもんで、出てきた傍から久々に見るキムのダンスに大熱狂。こっちもPAが下手糞で音が小さかったり、ライブ全体の尺が短いなどサマソニならではの残念さもありましたが、演奏は相変わらずかっこいーです。ほとんどが新作からでしたが"Stereo Sanctity"とか"Hey Joni"とかやってました。そしてラストの"Death Valley '69"は文句ナシのかっこよさ。
そしてFlaming Lips!セッティングをやっているローディー達が全員レスキュー隊みたいな統一されたオレンジ色のユニフォームを着ていて、セットの配色ともマッチしているし凝っているなあと感心しながら待っていたのですが、実は本当にレスキューされなければいけない人が…。御存知の方も多い事でしょうが、ボーカルのウェインは透明の風船の中に入った状態で登場しそのまま観客上をごろごろ、ごろごろ、戻ってきて風船から脱出、といったイリュージョン風の登場方法なのです。酸素、酸素!
そこから大名曲、"Race for the prize"へのお約束の始まりは出オチにならないか心配なくらいの大解放なんです。頭上を跳ねまくるたくさんの風船と、噴出の後に舞い散ってくる紙吹雪、ポリゴンも真っ青のフラッシュtoフラッシュ、打ち鳴らされるドラムスは、「歓喜」という言葉以外に相応しい言葉が見つからない。
"She don't use jelly"はなかったけれど、ラストの"Do you realize??"の至福は忘れられません。見てはいけない系のモンスターのお友達や、カエル、NARUTO、そして猫耳のお嬢さん達が応援する中、ウェインのあの声で繰り返される「do you realize - that you have the most beautiful face」というフレーズを思い出すだけでまた目頭が熱くなってきます。
そして、自分の汗か涙か他人の汗か涙か、クリスタルガイザー(ビヨンセボトル)か、ビールかその他何かわからないものでとにかく着ているものがびしょ濡れになってしまった僕らは、お揃いでジャックダニエルのTシャツを着て帰るのでした。▼
August 05, 2009
Your Silent Face、オバQ
*「SHM-CDだとかHQCDだとか、新しい素材のCDが出てきたせいか、相変わらず再発ものが止まないという印象があります。
90年代以降の作品まで、デラックスエディションとかいってオマケをつけて売り出したりして、もう大体やりつくしたのでは?くらいの感じですね。90年代なんてつい最近のような気がするのに…。僕も、CDの素材が変わって紙ジャケでっせーくらいならわざわざ買い直したりしないのですが、これに"最新リマスタリング"なんてキーワードが加わると検討してしまいます。
誰そ彼PA担当のFLY_SOUND 福岡くんが言っていたのですが、特に80年代~90年代にかけてのCD登場時の頃は技術的に未成熟だったので、音が良くない(マスターの再現性が低い)し、音量のレベルも異様に低かったりして色々と不便だったりします。だから好きな作品ならば欲しくなるっていう。
先日リリースされた忌野清志郎追悼盤、『青山ロックン・ロール・ショー 2009.5.9 オリジナルサウンドトラック』は葬儀で流れていた楽曲をその曲順で二枚組に収録してあるのですが、全曲ZAKによるリマスタリングが施されています。これが、すごく聴き易くてかっこいいバランスとなっていて、立体的且つ鮮やか。デビューシングルの "宝くじは買わない" から遺作となった "Oh! RADIO" まで、70年代から2009年までが全て同じ空気感のまま通して聞けるのが嬉しいです。オリジナル盤のCDから寄せ集めただけでこうはいきません。当たり前ですが。
で、結局南極80~90年代のCDの再発もつい買ってしまって新譜が買えないという凄く長い言い訳じみた前置きだったのですが、今度はNew Orderです。
『Movewent』から『Technique』までの5作品がデラックスエディションとして再発されましたが、個人的に好きな『Power, Corruption & Lies (権力の美学)』と『Brotherhood』をHmv Orderしました。
2007年の初夏、伊東温泉に程近い宝専寺さんにて「お寺と温泉ライブ あじさいさい」を開催しました。客入れ時の選曲は誰そ彼スタッフ担当という事で、なんとなく温泉をイメージしたMIX CDを作成して行きました。まあ、とても美しい庭のあるお寺さんで、開場後どたばたしつつも会場に流れるXTCやMorrissey、David Byrneの名曲たちにうっとりしていると、既に楽屋入りされていたあがた森魚さんが会場に出てこられていて、「この曲はいいね。誰の曲?」と聞かれました。それがちょうど、New Orderの "Your Silent Face"。これは僕はNew Orderの中で一番好きな曲で、"温泉"をイメージして選曲する際に何故か最初に連想した曲だったので、とても嬉しかったおぼえがあります。
そしてその時のあがたさんのライブで演奏された "港のロキシー" も、海に近い会場にぴったりで凄く良かったなあ。そのせいか、"港のロキシー" も僕にとってはすっかり温泉イメージな一曲となっています。
ライブ終了後、誠に恐縮とは知りつつも自作MIX CDを進呈…「ちょうど今レコーディングしてるからなあ。」なんて言って受け取ってくださいました。久保田真琴さんと『タルホロジー』を録音されていた頃のハナシ。
再発としては漫画界において全集モノのビッグ・プロジェクト。F先生大全集の刊行が始まりましたが、僕はQちゃんをちゃんと読んでみたかったので、すかさず飛び付いてしまいました。
Qちゃんキュート過ぎる!バツグンのKY加減です。ちょっとウザめに押しているかと思えば、素晴らしいタイミングで気付いてコッソリ気をつかう。出たり消えたり正にオバケにしか為しえないトリックで笑わせたり泣かせたり。上手としか言いようが無い。たまに妙にアヴァンギャルドな構図や実験的なコマ割りがあったりして、実はそれは子供の目線で見易いような工夫や遊びなのかも?と思える部分もあったりで。とにかく楽しんで読んでます。
クーラーの効いた部屋でガリガリ君を食べつつ、New Order聴きつつ、オバQ読むのが最高過ぎる。イノセントにまみれて、オバQみたく透明になっていくようで、まるで夏休み。▼
July 29, 2009
フジロック09感想、大名丼
*「フジロック行ってきましたー。
[木曜日]
早朝の高崎線に乗り18きっぷでのろのろと苗場へ。毎年この方法で苗場に行っている友人いわく、水上駅での乗り換えがフジのクライマックスと言っても過言では無いとの事。確かに水上に近付くにつれ、車窓の風景はこれぞローカル線の旅と言ったような田園や山河が広がり気分が盛り上がってきます。
そして、水上着。ここは温泉街故に多少ひらけているものの、恐らく今日明日が一年で利用者のピークではないかと思われるような、のんびりとした田舎の駅です。乗り換えの待ち時間を利用してすかさずビールで乾杯。天気も快晴で、ビールが本当にうまい。これからフジロックかあ!というテンションが最高潮です。
ここからトンネルをひとつくぐる度にどんどんと天気は下り坂…毎年そういう傾向のようで、水上クライマックス説にナットクしました。
しかし、18きっぷの道行きは景色も楽しめるしビールも飲めるし交通費も安い。フジ前後も休みがとれる人にとってはとても良い行き方なのでオススメです。
[金曜日]
昨晩からの強い風雨が続く中、心細い気持ちで見たASA-CHANG & 巡礼。序盤のタブラメインの踊らせる曲はたたき付ける雨とヘブンのステージがマッチして幻想的。ただ、楽しむ余裕がどうしても生まれてこない過酷な現状でした…。
早速折れそうになる心をコーヒーや甘味で癒しつつグリーンステージに移動。THE UK!といったサウンドのDOVESで雨が弱まり段々と楽しくなってます。熊、若しくは西川のりお風のベース/ボーカルはきっといい人なんだろうな。続くLilly Allenでは西陽が眩しい程になり心にも余裕が生まれ、なかなか良い曲を書くなあと感心。パフォーマンスも堂々としていて見た目もかわゆいので、終演頃にはみんなしてトリコ仕掛けになってしまいました。
そしてようやくお待ちかねのPatti Smith!!これは素晴らしいステージでした。Pattiの生声で既に大感動ですが、山々をバックに奏でられるアコギの音の美しさといったら。後半はエレキギターも持って凄い音を出していて、レニー・ケイとトム・ヴァーレインとのトリプルギターなんて鳥肌モノ!トム・ヴァーレインは終始座したまま、刺激的なサウンドをグループ内に持ち込んでいました。
選曲はベスト。"Redondo Beach"も、"Easter"も、"Because The Night"も、"Gloria"も、"Rock n Roll Nigger"もでオデお腹いっぱい。
Patti Smithの余韻に浸ってだらだら歩いていると、ヘブンでは既にTortoiseが始まっていました。Tortoise見たいのをこらえてもっと奥のGongを目指す。ボードウォークという森の中にこしらえられた木の夜道を伝ってGongに向かう中で聴こえてくるTortoise、というなんとも贅沢な状況。これがフジロックの醍醐味かーと実感。
デヴィッド・アレンは71歳とは思えないくらいの元気老人でした。歌って弾いて踊ってと大ハッスル。スティーヴ・ヒレッジの居るGongが生で見れるなんて、Gongを知った学生の頃は夢にも思わなかったので、オレンジコートが桃源郷のように感じました。散々踊ってお腹が減ったので、後ろに退いてご飯を食べていたら、お隣のヘブンからTortoiseのスゴイ音が聴こえてきました。ジェフ・パーカーのギターの音が異常な模様。「カッコイイー!」と途端にシビれてしまい、ヘブンにダッシュ。Gongは中途半端に辞してしまったワケですが…Tortoiseのアンコールが素晴らしかったんです。統制の取れた世界を美しく崩していく瞬間のTortoiseはホントにかっこいい。
雨に相当体力を奪われながらもグリーンに戻り、Oasisを観戦。ドシャ降りでも大合唱です。やっぱりなんというか佇まいだけで相当説得力があるバンドですね。これも1st、2ndに新作を織り交ぜつつくらいのフェス向け選曲で大団円。
[土曜日]
なんとか雨は止み午前中は快晴、The Birthdayでスタート。この日のライブは先日亡くなったアベフトシさんに捧げられました。
木陰のシートで横になったらすっかり気持ちよくなってしまい、夢うつつでSEUN KUTI & EGYPT 80~UAを聴きました。それでホワイトステージで筋少。初っ端からダメ人間で会場がジャンプします。第一声「どんだけアウェイなんだー!」というオーケンの叫びで、僕らの心はガッチリ掌握されました。印度に高木ブーにイワンに、僕でも大体知っているようなメジャーな選曲且つ、自分達のフジでの立ち位置を上手く活用した流石の話術で、「これをきっかけに筋少のライブにもきてくれよー」というオーケンの目論見は見事達成したと言えましょう。胸に刻まれた「ナゴム魂」の文字が頼もしい。
そのままホワイトでMELVINS~ZAZEN BOYSを鑑賞。MELVINSの潔さはとても気持ちが良い。計画スラム都市っていうか、緻密に設計図の引かれたうるさい音ってどうしてこんなに気持ちが良いのでしょうか。BUZZ OSBORNEの髪型がムーミンのご先祖様風なのも○。
続くZAZEN BOYSはフジロック・シティーを現前させる演奏に成功。結成の当初はイメージの中のアーバン・フィーリングがまぶしてあるようなヴァーチャルな印象を持っていたのですが、しばらく見ていないうちにそれが柱となり屋根となり、家やビルが立ち並んで既にひとつのZAZEN都市を形成しているのだとわかりました。スゴイ。
くたくたになってグリーンに戻ると忌野清志郎オーケストラ。冒頭、ブッカーTが歌う"ドッグ・オブ・ザ・ベイ"で早々とグッときてしまう。彼が"好きだった歌"を演奏するなんてズルい。しかも凄い豪華なバンドで。
そして本当にキヨシローが出てくるんじゃないかと思わせる演出で、"JUMP"が映像とともに演奏されるとうわぁーって感じで「ダイナソー準備の為にご飯食べてくる。」なんて逃げの態勢に。グリーンステージを横切る道で"デイドリーム・ビリーバー"の歌詞が聴こえてくるともう多摩蘭坂でこらえきれませんでした。
ダイナソーJr.は「Who is Kiyoshiro?」なゲージンさん達で異様な熱気。圧巻のマーシャルご一行様のお姿をご拝見するだけで僕もテンションが高まってしまいます。J先生の室内を埋め尽くす見事な轟音に身を浸していると、突然クリアな"Feel The Pain"のイントロが!もうエモーション爆発でモッシュ&ダイブ。人影があまりにも美しい青春の1ページ。嗚呼、また涙が。追い討ちをかけるように"Wagon"の連続投下で完全に降参です、先生。
土曜日ラストはやっぱりPublic Enemy!! ステージ到達寸前で聴き慣れたあのサイレン音が鳴り出した!「ベイス!」「ブリングザノイズ!!」思わず走り出すとステージ上はなんと生バンド。とてもグルーヴィな演奏に、Chuck Dの生声がのると体を動かさずにはいられません。フレイヴァは諸事情で来れなかったのが残念だけど選曲は初期中心で、Queenの"Flash"サンプリングでターミネーターXのポーズができた瞬間のよろこび。
途中はマイケルへの追悼式もありました。オーディエンスに携帯を掲げさせてDJがかけたのは"Billie Jean"。みんなで合唱して、Chuck Dの「彼はKing of Popで、Prince of Peaceだ。」との言葉が締め括ります。
DJ & ダンスのパートを挟んだりしてまさに Public Enemy Show といった具合のコッテリ感でした。ラストは"Fight The Power"で大満足。
[日曜日]
日曜も天気はまずまず。とりあえずSTREET SWEEPER SOCIAL CLUBで戯れにモッシュピットへ溶け込んでみる。M.I.A.の"Paper Planes"のカヴァーなんかもやっていたりしてなかなか面白い。兎に角トム・モレロのギターがかっこよすぎて、彼は僕ら世代のギターヒーローだよなあと改めて実感しました。
日曜日はどうしても見たいっていうのが特になかったので、酒量を増やしながら奥地「パリ」周辺にて激辛ラーメンの食べ比べをしたり、みんなで打楽器セッションに参加してみたり、幾人かの友人に会って乾杯をしたりしていました。
サニーデイサービスと、これも僕ら世代のギターヒーローを擁するROVOを少しずつ見た後はホワイトステージで高橋幸宏を見ました。初っ端ツインドラムでフュージョン風味のインストを叩き上げたかと思えばビートルズを歌ってみたり、右に左に忙しいユキヒロ氏。途中からメンバーとして小山田圭吾が紹介されました。Corneliusでは弾かなさそうなギターソロとかあって面白かった。ここにも僕ら世代のギターヒーローがひとり。
雨上がりの暮れ空に雲がたなびいて、響くエレクトロニカ風味の楽曲がすごくマッチして本当に美しい瞬間が訪れました。
ここで昼間の激辛ラーメンが祟って急激な腹痛。きれいめなトイレを求めてゲート付近まで一時退陣しました。ついでにこの空いている時間に昨日入れなかった風呂にもはいっちゃおうと、苗プリの苗場温泉まで行って湯船を独り占め。極楽。
Weezer待ちで賑わうグリーンを横目に、奥のほうのステージまで急いで戻ってSeun Kuti。これは移動だけで相当疲れますが、途中のボードウォークで流れてきたAnimal Collectiveのサウンドがまた美しい。再度贅沢な道行きとなりました。
そしてEgypt 80のアフロビートはやまない。この本能的な反復の快感は何でしょう。それは遠く昔から続いているような、ロマンチックな幻想に浸ります。Seun Kutiのパフォーマンスもパワフルながら歌も乱れず素晴らしい。観客の踊りが特に多様で、演奏中にみんなが新しい踊りを編み出しているのを見て幸せな気分になります。やまないでくれ、アフロビート。
幸せな時間は無常にも過ぎ去り、終わりに向かうこのお祭りに惜別の念すら生まれてきます。最後の瞬間を共にしたいのはなんといってもクロージングアクトのBasement Jaxx!!
流石に動かないであろうと思われていた体がまたも動き出す、凄いテンションのBasement Jaxxの演奏。こちらもバンドセットでとにかく豪華且つ賑やか!DJ的なダンスのツボを抑えつつも、単調にさせないクルクルと変る楽曲の表情が豊潤過ぎます。もうちょっとこのビートでお願いしますのお預けを何回もくらう感じというか。マンガのキャラクターみたいに個性的なボーカリストが変る変る登場するし、最後は妙なカニっぽいきぐるみまで登場しました。ここまでのクオリティで相当お金のかかっていそうなステージをVery Special Guestだなんて贅沢過ぎるよ、フジロック。そして本編ラストの"Where's Your Head At"で大往生。
[月曜日]
テントを畳んで友人の車に乗せてもらって、僕らは今年のフジロックを終わらせる為にとある場所へと向かいました。目指す先はハツカ石温泉 石打ユングパルナス。日帰り温泉施設で、恐らく空いているからという感じの理由で数年前から行き始めたようなのですが、ここの「大名丼」なるメニューを食べるのが仲間うちでのシメとの事なのです。「大名丼」を完食するまでがフジロックってこと。
「大名丼」とはカツ丼meetsエビフライの『大名丼 カツ編』と、親子丼meetsエビフライの『大名丼 親子編』の二編があるようで。サイズは流行りのメガ盛り、いやギガ?テラ?テラ超えベタ??特にカツ編の揚げ↑揚げ↑↑ぶりは余程の事です。味も相当濃いらしい。体験者の中から「エビフライが邪魔」という名言が飛び出る程の飽食加減は正に大名級!年貢よこせ!!
会場で散々ジャンクなフードで痛め、弱り、既に麻痺さえしていそうな胃袋に、モアジャンクで獰猛凶悪なブツを流し込んで完結するという悪ノリ、いや、美学?これにトライする為に朝ごはんを抜き、温泉で身を清めた総勢12名の男女がテーブルにつき、
満を持して「いざ大名丼じゃ!大名丼を持てぇい!」と、
斬り込もうとした刹那のツバメ返し、
「ご飯が足りなくて大名丼つくれません!(バッサリ)」、
「えーーーーーーーーーーーっ??(一同、アゴが地面まで)」▼
May 01, 2009
誰そ彼スピーカーその後、怪 Vol.26、1990
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*「誰そ彼スピーカー、先週末はこんなんなってました。前の所有者が空けた穴(壁吊り用?)を埋めるべく工作。木棒を小さく切ったものを詰めたのですが、ボンドがなかなか乾かなかったので照明を当てて乾かしました。木棒がハミだしているので、スピーカーの片耳から耳毛が4本づつ出ているような見た目になってます。奉行所でちょっとした羞恥プレイになっているのが可哀相なので、近々カットしに行ってやりたいです。
今日はスピーカースタンドが光明寺に届いたようです。ちょっとずつ一人前になっていくスピーカー達に愛着が湧きます。

怪 26号は二度目のリニューアルを迎えてサードシーズンに突入しました。水木先生の表紙がとてもいいです。特集は「文楽」と「民話」で、これがどちらも素晴らしかった。写真ページでは文楽の人形のキモとも言える首(かしら)を紹介していますが、酒呑童子の第二形態がトラウマものの恐ろしさ!瞳孔開いてる感じで白目の色が金色になるのがとても怖い。チャッキーみたいなアゴも人形ならではの不気味さがあるというか…。水木先生が「油すまし」や「タンコロリン」の姿のイメージとして重用されたというのもナットクです。
この特集、妖怪視点で捉えているのもあると思いますが、とても文楽を聞きに行ってみたくなりました。7月にやるという馬琴の『化競丑満鐘』なんて相当数の妖怪ファンが集まるんじゃないですかねえ。狸や河童の首は見てみたい!怪オススメの演目として紹介されている『本朝廿四考』の狐を見ても本当によくできているので、否が応にも期待は高まります。
民話特集では松谷みよ子さんのインタビューを掲載。前に黒姫童話館でみた松谷みよ子展では語られていなかったと思われる情報が…。坪田譲治先生との出会いのエピソードですが、松谷さんの学校の友人がお腹を痛くして転がり込んだのが坪田先生の家で、そのまま図々しく居座ってしまったとの事。その友人に誘われて坪田先生と松谷先生が出会う事にわるワケですが、その友人って?だって野尻湖ですよ!お腹こわして転がり込むって…かなり武辺者っぽいのですがどなたなのでしょう。
インタビューの後の『松谷みよ子の妖怪民話』もイイ話が3話収められています。最初の二話の出だしで共通して"深いとろりとした淵があって"という表現がされていますが、"とろりとした淵"とは絶妙な形容ですなあ。思わず迷い込んでしまいそうな、幻想的な風景がぼおっと立ち現れてきます。日本物怪観光協会の天野行雄さんの挿絵も雰囲気が出ていてとても良いです。『蟹の湯治』の蟹がみんながよく知っているあのカニ。
お元気そうな水木先生の姿がたくさん見られるのも怪誌ならでは。こう言ったらなんか失礼になってしまうかもしれないのですが、とにかくキュートなんです。実の娘さんである水木えつこさんによる『遠野とお父ちゃん』では遠野のお祭りではしゃぐ水木先生が目に浮かぶよう。やはり娘さんはお父ちゃんの事がよく見えてらっしゃる。水木先生による遠野物語漫画化はとても楽しみです。
現在連載中の『水木しげるの異界旅行記』もオモチロイネ。と、片かなで表現したい気持ちでいっぱい。おならを異界の入り口に出来る方は水木先生以外におられません!
巻頭の『水木しげるの激写博物館』も本当にいいコーナーだと思います。水木先生が撮影された写真が一枚載っていて、その横には"水木先生にはこう見える"とでもいうような、その写真の"妖怪解釈"による絵が掲載されています。このオモチロサは文字では伝えきれないので、是非みなさん本屋で怪 Vol.26の巻頭カラーページをめくってみてほしいです。

今日は会社帰りのユニオンにて買い忘れていたCDを購入、ダニエル・ジョンストンの『1990』です。前回のエントリーで紹介したベックの『One Foot In The Grave』に続く、"オンボロをリマスター"シリーズです。(勝手に命名)
僕はこの中の"Some Things Last A Long Time"という曲がとても好きなのです。映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』でもキーとして使用されていました。
以前、友部正人さんのトークイベントで友部さんがダニエル・ジョンストンの曲をかけていたので、友部さんならこの"Some Things Last A Long Time"をどう訳すのか質問したかったのですが、その時は場にそぐわぬ感じがして思いとどまりました。
僕なら"因縁"と訳したい。誰そ彼の活動の中で"ご縁"という言葉が浮かび上がってくる機会が増えてきた時に、松本坊主が法話か何かの中で"因縁"という言葉を使いました。CD付属の歌詞対訳では「ずっと消えないものもある」となっていましたが、『悪魔とダニエル・ジョンストン』を観た時に"消したくても消えないもの"、"消したくないから消えないもの"、"意識せずとも消えないもの"、といった風に"因縁"のカタチもさまざまなんだと思ったのです。たくさんの"ご縁"で人々が繋がれているイメージが漠然とあった時に、それとは違うレイヤーで"因縁"という目に見えないネットワークの世界が表出したような気がして思わずハッとなりました。
"因縁"というとあまりポジティブなイメージの言葉ではないのですが、"腐れ縁"のような関係を自嘲気味に"因縁"と言ったりしますし一概には言えないと思います。『悪魔とダニエル・ジョンストン』においては、彼の周りには様々な"因縁"がめぐらされていて、それはふりほどきたくてもふりほどけなかったり、解きたくないのに勝手に解けていったりしていました。人の意思では操作できない"作用"。「Oh My Lord」なんて歌いたくなるキブンの時は"因縁"が脆くもかかり続けるつり橋の様にも思えるのです。
僕は"腐れ縁"を自嘲気味に言う"因縁"はカッコいいから好きですし、脆くもかかり続けるつり橋の様な"因縁"を信じ続ける橋の傍のダニエルにも大きなシンパシーを抱くのです。▼
April 22, 2009
誰そ彼のスピーカー、湯浅湾再び、One Foot In The Grave
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*「誰そ彼6年間の活動でこつこつ貯めたお金でスピーカーを買いました。誰そ彼PAのFly_sound 福岡君の眼力で見出された中古品6発。安くて良い品が買えました。
週末に光明寺へ運び込んで、簡単に組んで音だしをしてみたのですがとても誰そ彼向きの音。
2発だけだとLowが抑え目な気もしたのですが4発、6発と増やしていくと全く変わります。6方を囲むようにスピーカーを配置して満遍なく音が行き渡るので、それぞれが小さめの音でも合わさってちゃんと聴こえるし、音に包まれる感じがとても心地好い。階下への影響は少なそうなので、正にあの場所にぴったりという気がします。
6発もあるので、4方を囲んで2発はモニターとしたり、サラウンドにしてみたり、演奏形態やジャンルに応じて色々使い分けも出来るのも嬉しい。
今までにも、安く引き取ったり、有難く譲り受けた機材などがあるので、誰そ彼サウンドシステムが大分整ってきました。通称"奉行所"と名付けられた誰そ彼倉庫も手狭になってきちゃいました。
そして日曜の夜は吉祥寺ユニオンで湯浅湾のインストアライブを見ました。時間ちょうどに着くと、あのユニオン前に人だかりが出来ていて、その日の吉祥寺の街の中でもちょっとした熱気を発している。なんとなく見た事のある顔もちらほら混じっている。
前回のSuper Deluxでの湯浅湾体験が不完全燃焼だった為に、今回はとても満足しました。インストアだけに曲数は少なめでしたが、あの場所で湯浅湾が演奏しているという風景がまずグッとくる。スピーカー無しの演奏というのも似合っています。
CDも購入し、歌詞カードを見ながら何度か聴くと、湯浅湾に対するもやもやとした不思議な部分がするするっと解けて一旦体に馴染むのですが、すぐまた隠されてしまう。まるで潮の満ち引きのようです。とある時間だけ歩いて渡れる島への道とか、湯浅学さんが僕の『音海』にサインと共に書いてくれた"ゲル状のネコ"みたいな。
湯浅湾の魅力を語ろうとすると、何故か表現が抽象的になってしまいます。それはこちらのページで読める、色んな皆さんからのコメントにも言える事。みんな胸を張ってアブストラクトに語っておられます。
『シェーの果て』という曲は、漫画『おそ松くん』の世界を今の日本に現前せしめる唯一の楽曲という気がします。ここまであの空気感と同じものを放つものは他に無いです。イヤミの靴下の先っぽの曖昧な伸び方をギターであらわしています。
そして僕はやはり、『傷口は傷口でしかない』という曲の歌詞に大変共感します。こんなに強い歌があるだろうかと思う一方、こんなに諦めた歌があるだろうかとも思う。正に"Deserter's Song"。どうやらニール・ヤング先生を通じて繋がっているようです。
今日は、Beckの『One Foot In The Grave』のリマスター再発盤を買いました。Beckのアルバムの中で一番好きなやつで、ボロい中古の輸入盤を高校の時くらいから聴き続けていたので買い直したいと思っていたところ。どうやら廃盤になっていたらしい。

まず、ジャケが最悪というか醜悪になってしまっている点についてはご安心を。外側のスリーブだけなので取り外してしまえば、いつものベックとベックの友達っぽい人のジャケになります。スリーブはすぐに捨ててもいいし、中身を守る用の鎧としてとっておいてもいいかと思います。盤面にはちゃんと「K」のマークが入っています。

リマスターについても、「このアルバムをリマスタリング?」と、ちょっと不安になったりもしたのですが、一度最高のマスタリング・エンジニアに任せたところ「新しいマスターは、まるで唇をふっくらさせる注射と、しわ取り治療をしたような女性みたいだった」(ベック談)との事で、ベック監修の元この作品に適したマスタリングにし直したのだそう。確かに全然悪くない。
本編以上の曲数となる未発表曲達も聴き応えがあり、また面白い発見もあります。
『Heroes』という企画CDでディランがベックを指名したというのがとても納得がいく感じというか。▼
April 11, 2009
湯浅湾、羅針盤
*「一昨日はとあるご縁で「湯浅湾」のライブを見ました。湯浅湾とは評論家の湯浅学さんのバンド。僕は学生の頃から湯浅学さんの文章のファンで、湯浅さんの著書は愛読していましたが、音楽を聞くのは初めてです。
会場は六本木Super Delux。早速バーカウンターでビールを求めると、なんと昨年誰そ彼にsawada + harada with TSUTSUIとしてご出演くださったVJのTSUTSUIさんがカウンター内に。そういえば働いているとは聞いていましたが、思いがけぬ再会になんだか嬉しくなりました。
この日は湯浅湾が3時間一生懸命演奏するという企画で、前座もなくいきなり湯浅湾が登場します。「弾かないかもしれないけど持ってきた、散歩みたいな感じ」、と言ってギターを何本か並べているのはとても湯浅さんらしくて良いなと思いました。
演奏が始まると、湯浅さんの本で紹介されている様々なロックの名盤が頭を巡るような感覚に襲われます。ご本人達もMCで言っていましたが、ニールヤング!ローリングストーンズ!といったバンドのジャケットが浮かびます。でも必ず楽曲の文末には(文・湯浅学)とあるような感じがします。湯浅さんの音楽レビューを読んでると、まるでその音楽を聴いているような気になってくるのですが、今度は逆に湯浅さんの音楽から湯浅さんの文章が浮かび上がってくるような…。
ギターの音の粒度がなんとも気持ち良い、湯浅さんの朴訥とした歌声もいい、そして歌詞が素晴らしい。
一時間過ぎたくらいから段々とバンドがあたたまってくるのが実感できました。次の予定があったもので中座せねばならない事を惜しむ耳に次の歌詞がはいってきました。「傷口は傷口でしかない」という曲の最後に「悲しみは妬みでしかない」という歌詞。一見、虚無的でネガティブな印象ですが、それが湯浅さんの口からつぶやかれると、何故か希望の光のようなものが感ぜられ、静かに心うたれる想いがしました。
翌日、会場で頂いたチラシ「湯浅湾 アルバム『湾』によせて」を読んでみると、各界の色んな方々がコメントを寄せていてました。大友良英さんが「オレにとっての世界三大歌手は山本精一、PHEW そして他でもない湯浅湾のリーダーの湯浅学なのだ。」と書いているのですが、確かにライブ中僕も何故か山本精一さんの歌が頭をよぎりました。そして、大友さんの続く言葉「3人とも永遠に手のとどかない憧れなのに、なんか簡単に手がとどきそうなところがいい。他の2人はとどきそうな手をばっさり切り落とすような存在でもあるけど、湯浅さんの場合は、簡単に握手してくれそうでさらにいい。でも実際の湯浅さんはそんな甘っちょろい存在ではない。握手したら最後、湯浅湾とともに無限アングラ地獄に落ちてしまうからだ。」この言葉があのライブを見たせいか、帰宅途中の僕の背中にずしーっと乗りかかってきて、無性にまた湯浅湾が聴きたくなってしまいました。僕も握手してしまったという事なのでしょうか。
ライブ会場では湯浅湾のCDを買う暇も無く出てきてしまったので、今日は久々に羅針盤を聴いています。羅針盤も本当にいいよなあ。小さな音でイヤホンから流して街を歩くととてもいい。地下鉄に乗るとスネアの音しか聴こえなくなるけど、乗車シートに埋もれてうとうとするとまるで宇宙に居るかのよう。
僕が羅針盤で一番好きな歌「小さなもの」を(またも)引用して締めくくろう。
つながれてた 糸が切れて
一人だけになると
支えていたものが 取れて
誰の顔もおぼえられず
それは 小さな 小さな 小さな事
何も変わるところがない
~
先送りに されたものが
しだいに 意志を持って
切りはなされた 糸を結び
また つながれていく ▼
March 27, 2009
スチャダラパー、田島貴男

*「スチャダラパーのNewアルバム『11』、Amazonさんから届いたので早速聴いております。前作『con10po』から顕著になったビター感が更に増量中。ビターの中にもスイートなノスタルジアを潜ませていた『con10po』でしたが、本人達も強調しているようにアラフォー We gotta goな彼らは微糖 無糖の方向性のもよう。珍しく女性ゲストボーカルを迎えているも、bird、ハルカリ共に甘さ控えめなのです。木村カエラの存在も、このアルバムの中で聴くと妙に浮いてしまっていて、輸入菓子の色付き合成甘味料といった按配。
だけになんともしっくりきます。トラックがまるで『The 9th Sense』の「EXTRA エクストラ」を未来へ暴走させたような、テツ向けスチームパンク「Station to Station」はロボ宙さんとの連結が安心安全のSmoothなノリ心地です。アニの"A"列車が"B"のSURE SHOTまで駆け抜ける疾走感。それで一気に銀河から、じゃなくって銀座から築地までの数分間な失速感、はたまた駅弁横目にディスカバリーな失踪感もあったりと、めまぐるしいライドに酔っ払うのが気持ちいい。
苦味が象徴的なのは2曲目「Antenna of the Empire」か。"替えろ 替えな 買いだ 買いだ バカでかいメーカー まさにエンパイア"というフックは本当に今の気分を言い得ています。"とにかく またお金が必要 エコと便利という名の横暴"なんてフレーズも。
最近田島貴男さんの日記で大共感した名文があって、僕は自分の最近のもやもやした気持ちをこんなに分かり易い言葉で素直に表現されている事に感激してしまい紙に出力して持ち歩いているんです。全文ここに引用したいくらいなんですが簡単に要素を抽出すると、何かにハマっている人はとりあえず元気で、感性が生きていて、外の対象に心が開かれている。反対に、なにもかもいろいろ飽きてしまってなにをやるにもめんどくさいという状態は、すこし死に近い、危険な状態なのかもしれない。という前置きをしつつ、資本主義が進んだ状態というのは商品やサービスや情報が行き渡り過ぎたせいで、あらゆる物の価値が下がり消費者も食傷気味で何もかも飽きちゃった状態であると。そんな感覚がみんなに蔓延してきているのが今の時代なんじゃないかと。
ほんとそう思います。自分も実際問題面白がれるような何かが無いんです。オモロなラップを身上とするスチャラカでスーダラなお兄さん達もきっとそうで、世にオモロが無いからこそ今はシリアスでシニカルなモードなのかなあと。垣間見える希望がレトロフューチャーなラスト曲「Good Old Future」というのがなんとも切ない…。
改札がまだハサミだった頃
電話が携帯できなかった頃
まだゲームがカセットだった頃
まだ女子の眉毛が太かった頃
まだタバコが何処でも吸えた頃
まだ大体国営だった頃
そんなGood Oldな空気がもう一回未来でつながるように、いつか痛快な未来がくるように、僕らは「でもやるんだよ」精神を忘れないようにしよう。と、思ったのです。▼
::リンク::
Tajima's Voice (3/11の日記)
January 08, 2009
2008年の10曲
*「2008年、印象に残った10曲
・Antony & the Johnsons / Another World
2月のbjorkの武道館ライブにとても感心し、最新作『Volta』を愛聴していました。そのアルバムでbjorkとデュエットしているAntony。その曲は何度も聴いていたくせに共演相手の作品を全くチェックしておらず、友人の薦めにより遅ればせながら手を出しました。聴いてみるとやはり素晴らしい。その声はモチロンのこと、身体の中枢にダイレクトで刺し込んでくるようなメロディー、最小限で最大限の効果を出しているアレンジとアートワーク(テーマごとに統一されていてなんとなくSmith ~ Belle & Sebastianの流れを思わせます)…などなど。
『I'm not there』のサントラで"Knocking on Heaven's Door"をやっていたという事にも後から気付き、確かに異彩を放つ不気味なヘヴンズドアだなーとナットク。Lou Reedの『Raven』では"Perfect Day"を歌っていてこれもドがつくほどのはまりっぷり!カヴァー集でも出したら相当よさげですな。新春早々には新譜が出るらしいので楽しみです。
・Aki Takase & Silke Eberhard / Folk Tale (Live at 新宿ピット・イン)
2008年は高瀬アキさんの来日公演に一日しか行けなかったのが大変心残りです。(特に多和田葉子さんとの『飛魂』は今年も見たかった!)唯一見れたのが新宿ピット・インにてドイツ人サックス奏者のSilke Eberhardさんとのライブでした。2006年に二人はデュオで『Ornet Coleman Anthology』というOrnet Colemanの楽曲のみを演奏したアルバムをリリースしていて、その披露ツアーとなっていました。天真爛漫なキャラクターのSilkeさんと高瀬さんのコンビネーションは抜群で、ゲストとして登場した盟友 井野信義さんのベースもマッチした文句無しの素晴らしい演奏。Ornet Colemanの名曲ってこんなにあるんだ、と勉強にもなりました。
・Bjork / Wanderlust (PV)
Antonyの項でも触れた通り2008年はBjorkをよく聴いていたわけですが、この"Wanderlust"のPVがとても良かったです。恐らくは各所のPV大賞なんかで沢山受賞していると思われる大作なのでご覧になられた方も多いかと思います。国づくり神話のようなストーリー仕立となっており(Bjorkが砂場で遊ぶように山を手で削って河を造ったり、まるでポピュラス)、諸星大二郎先生の漫画にでも出てきそうな奇妙なキャラクター達が登場してきます。今までに観たことがないような独特な質感のアニメーションとキャッチーな色彩は、観ているだけで気持ちがよく、何度も繰り返し観てしまいました。この世界観に唯一生身で出演しているBjorkはつくづくベラボーな存在ダナーと思うわけです。
・David Byrne & Brian Eno / Strange Overtones
"バーンとイーノが再共作!"、このニュースが2008年夏以降の僕の心の拠り所であった事は間違いありません。ダウンロード先行販売に手を出す気持ちをこらえて、待ちに待ったこのCDは期待を裏切る所が無い大満足なものでした。前作『Bush of Ghosts』からは想像し得ぬ程ド直球の歌モノアルバムで、神々しくも暖かみに溢れるバーンの歌唱と全体を覆うイーノのアンビエンスマジックが聴き所です。(なんとなく前述のBjorkのビデオと繋がるテクスチャー)この曲にはRobert Wyattもフレームドラム(片面太鼓)で参加してます。Taking Headsが解散してなかったらこんな感じの曲をやっていそう。年明けの来日公演はモチロン突撃します!
・The BPA / Toe Jam (Feat. David Byrne, Dizzee Rascal)
バーン関連作が続きますが、Norman Cookの新プロジェクトThe BPA(The Brighton Port Authority)にバーンとDizzee Rascalが参加した楽曲です。この3者の取り合わせというのが絶妙に良いのですが、PVもまた絶妙です。好きな人にはたまらんフザケ具合。このBPAはコンセプトからしてフザケていて、高田純次を思わせるオッサンぽい適当さ加減が面白いです。(詳しくはコチラを参照)曲の方はTom Tom ClubのNorman Cook Remixといった感じのラテンフレーバーにて、気分が大変盛り上がります。こちらも1月にアルバムがリリースされる予定。
・小西康陽 / おそ松くん remixed by 小西康陽
この曲も収録されているトリビュートCDによって赤塚アニメ作品のテーマソングの歌詞に再び触れたわけですが、赤塚先生の作詞には先生のお人柄や人情が凝縮されているなあと発見しました。特にこのおそ松くんの歌では「六人そろえばなんでもやるぜ」と威勢のいい六つ子に対抗し「一人だけでもなんでもやるぜ」と息巻くチビ太の姿に勇気づけられます。「六本おでんをたべちゃって」と、一人だけでも有利な点があるという。まあ、最後は「みんなの仲間だい おそ松くん シェー(イヤミ)」で大団円なワケですが。
・Stereolab / Magne-Music
今回の作品はドラムループから曲作りが始まったとあり、確かにトラックだけ取り出すと最早ヒップホップです。そこにいつものあのメロディーと歌声と端整な演奏が加わるとStereolabの一丁あがり、そんなプロセスが見え隠れするのが楽しい。彼らのクラフトマンシップが伝わってくる好盤だと思いますが、ここ数年の安定感とクオリティコントロールは実は凄まじいものがあるんじゃないかと思います。才能以上の努力があるハズ。
・Radiohead / House of the Cards (Live at さいたまスーパーアリーナ)
Bjorkと同じく、Radioheadも久々に盛り上がりました。ここ数年あまり聴いていなかったのですが、最新作『In Rainbows』がとても気に入って来日公演にまで足を運んでしまいました。『In Rainbows』では久々に名曲と思えるような楽曲が生まれていて、ライブでの演奏も精巧ながらあたたかみを感じ取れます。それは過去の楽曲の演奏やアレンジにも影響しているようで、全体的にグレードが一段あがったような印象があります。あと、BjorkもRadioheadもチケットの値段が高いなあと思ったのですが、どちらも大きい会場であるというデメリットを緩和するような工夫(セットや照明、スクリーンなど)がしてあるのが好印象でした。こういうアーティストならばたくさんお金を持っても自身の表現や観客の楽しみに有効活用してくれるので、少し高くてもまたお金を払おうという気持ちになります。
・ロボ宙 & DAU / HEATWAVE (Live at 誰そ彼 Vol.12)
2008年は3回誰そ彼をやりそのどれもが印象的でしたが、特に以前の職場の諸先輩方と久々に組めたのが楽しかったです。サーファーズ オブ ロマンチカの宮原さんとやったVol.12では、曽我部恵一さんやロボ宙さんなど僕が学生時代からよく聴いていたような方々に出演頂き大変光栄でした。この日の個人的なクライマックスは、ビールで首まで真っ赤のロボ宙さんがとても照れながら放った、誰そ彼インザハウス。
・友部正人 / 地獄のレストラン
これも最初にライブで聴いて心動かされた名曲。幻想的だけれど日常で、上品だけれど妙なおかしみがある。詩がやはりいいです。ご本人の人柄も詩世界と地続きのようで、以前参加したトークショーの事などを思い出しながらこの歌を聴き、よく口ずさんでいました。
2009年も誰そ彼はやる予定です。告知やご報告などは、当ブログでも行なっていきますので今後ともご支援の程よろしくお願い致します。▼
::過去の関連エントリー::
2007年12月 - 2007年の10曲
2007年1月 - 2006年の10曲
2005年2月 - 2004年の10枚
July 29, 2008
またまた今年も他力本願で行こう!
*「今年も他力の季節がやってまいりました!!
いよいよ面子発表となったので、こちらでも告知しまーす。
『本願寺LIVE 他力本願でいこう!2008』
【日時】8月23日(土)16:30-21:00
【場所】築地本願寺
【出演者】
二階堂和美
DE DE MOUSE
KAN
いとうせいこう&ポメラニアンズ
Hair Stylistics(=中原昌也)
サワサキヨシヒロ!(DJ)
COTOBUKI(VJ)
http://www.hongwanji-shutoken.net/live2008/
いとうせいこう&ポメラニアンズ≡さん、KANさん、Hair Stylisticsさんは
下見を兼ねて最近のライブにお邪魔させて頂いたのですが、僕の見た限り
"バラバラでいっしょ"という毎年のコンセプトを今年も体言できていると思います!
これに、今をときめく二階堂和美さん、DE DE MOUSEさんも加わり
かなり異色且つ濃い内容の夏フェスとして楽しみ頂けるかと思います。
勿論入場料は無料!(おそらく早朝の整理券配布となります)
8月23日は今から空けておくベシ!!!
誰そ彼のほうも準備中です。近いうちに告知開始できそうです。
こちらは9月27日にやりますので、同じく空けといてくださ~い。▼
July 01, 2008
久住昌之&BlueHip→いとうせいこう&ポメラニアンズ≡→サーファーズオブロマンチカ
*「6/22は近所の居酒屋、ジーンズキッチンにて久住昌之&Blue Hipがライブをするというので見に行きました。久住さんは昨年末の誰そ彼でお世話になって以来だったので再会も楽しみでした。実はこのジーンズキッチンで久住さんのバンドを見るのは二回目、繁盛店の旨い生ビールや枝豆と一緒にライブを楽しめる素敵な催しです。
アルバム『自由の筈』に収められたナンバー中心ですが、それ以外にも未収録の名曲「ゴム」や「ABCの歌」、新曲も数曲披露されました。中でも録音中のソロアルバムに入るという「I gotta money」は夕方にグッとくる良い曲で是非とも誰そ彼で聞きたいと思いました。
いつも盛り上る「落ち武者」は今回も客席含めての大合唱。"落ち武者っていいな~♪ 矢が刺さって痛そう~" と合唱している居酒屋はちょっと他にないです(お寺も然別)
居酒屋仕様のコンパクトな機材でも遜色なく盛り上がれるようになっている、楽曲と演奏陣の腕前が素晴らしいと思いました。その中心にある紅一点ゴッチさんの歌声と久住さんの笑顔によって更にビールがすすむ具合です。ホロ酔い加減で口ずさみつつ歩く気持ちの良い帰途となりました。
6/26は縁あっていとうせいこう&ポメラニアンズ≡を見にユニットへ。遅れて会場に入った頃にはライブも良い塩梅でいとうせいこうさんが青白い照明にゆらゆらと浮かんでいます。久々に胸にくるダヴィーな音の塊が空きっ腹にずしりと。
そして、最後に登場したゲストに「≡」の意味を知りました。いとうせいこう&ポメラニアンズ≡についての前情報が全然なかったもので、かせきさいだぁ≡が参加しているとは知りませんでした。ぐぐっとみんなのテンションもあがり、金曜日の気分がやってきます。
但し、ユニットの生ビールは3番目のやつだったので不完全燃焼。中目黒は藤八さんに移動して本物の大杯を空けました。
6/29はサーファーズオブロマンチカのライブでO-NESTへ。見るのは多分一年ぶりです。ラウンジで正真正銘の本物モルツを飲みつつ談笑していると、もう始まるとの事で階下へ急ぐ。ドアを開けると子供のナレーションに続いてなんとも素敵なレゲエがかかります。ステージ上では宮原さんのDJが始まっていました。既にサーファーズの空気が充満しまくっていて、思わず顔が綻んでしまいます。他のメンバーも登場し、DJそのままの雰囲気を維持したまま演奏が始まるのが凄い!宮原さんの帽子とパーカーが極彩色に見えてきた。
反復するフレーズは穏やかな波のようで、リズムは太陽の光みたいにポカポカとしています。宮原さんが以前mixiに掲載していたアラスカや富士山の写真がスライドのように目の奥に次々と浮かんできます。
ライブ後半、客席から突如ステージにあがる特別ゲスト出現!少なくともかせきさいだぁ≡ではない…(今日は日曜日)只管フロアを煽る謎のゲストに対し、あれは誰なんだ?という疑問がみんなの頭をよぎりつつも演奏はどんどん盛り上がっていき、最後に謎ゲストはコンクリートの海へダイブ!
ラウンジに戻り、嘘偽り無しのリアルモルツを飲みつつ話題はやはり謎のゲストについて。通りがかった宮原さんに聞いてみると、"少なくとも友人ではあるだろう" という大方の予想を裏切り「まったくの初対面」であった事が判明しました。想定外のエネルギー誕生に当人達も困惑しつつ気を遣ってなかなか演奏を終えれなかった、と語るその姿にまたもアラスカの写真がフラッシュバックしてきました。
帰りはスペイン坂のピエトロで生が100円!?との噂を聞きつけて直行。100円だけにセカンドビアではあったものの、ついついレストランであるという事を忘れて飲み屋使いしてしまい白い目で見られつつ…。
さてさて、夏以降僕達もライブイベントをやっていきます。まず、毎年恒例の築地本願寺『他力本願で行こう!』は8/23開催。出演者も大体決定しています。下記のサイトで順次発表されていきますのでご確認ください。今年は土曜日開催で勿論フリー。ライブ以外にもお楽しみ要素を考えていますので今から空けておいて損はさせませんぜ。
http://hongwanji-shutoken.net/live2008/
誰そ彼は、サーファーズの宮原さんとの共同企画を久々にやります。日程は9/27(土)。宮原さんのDJが久々に光明寺で聴けます。また宮原さんご推薦の出演者もとても楽しみなラインナップとなりそうです。こちらも確定次第いつものサイトで発表しますのでヨンロスク~▼
http://www.higan.net/blog/tasogare/
May 30, 2008
マルオト in the sky
*「土曜昼下がりマキシマム・ジョイの再発を試聴中の僕を捕まえた電話に連れられて、月曜夕立の六本木Super Deluxeへ。誰そ彼第一回の記念すべき出演者であり、その後も着実に出演回数を増やしている西出剛大と名古屋の仲間たち、マルオトのライブでした。寺の本堂で行われる誰そ彼では見られないフルバンド5人編成のマルオト、僕が見るのは実に一年ぶりです。
ライブ前に西出さんと話していると、最近はよくダイナソーJRと米米クラブを聴かれているとの事。間も無く始まる本日の演奏にもその要素が反映されるとの宣言があり、とても楽しみ!
微音で美音なびよんびよんノイズで幕を開けるマルオトの演奏。あっちのドアが開いたりこっちのドアは閉じたまんまだったり、せわしないようでいて実はとても調和のとれた音空間が広がります。マルオトのノイズはいやなところがない、かといって気にならない事もない、寧ろ気になってきて右や左を向いてしまう人懐っこい音なんです。正にマルオトという名前がしっくりとくる。そんな気持ちのよい音の波間に漂っていると、閉じた扉の向こうでゆっくりとカウントをとっていたPOCAさんがドラムを打ち始めます。この瞬間がなんともいえぬ至福のシーンです。そこから徐々に曲が形作られていきます。シムアースというゲームや、プレ・ヒカシューの『サンセット・ワールド』という曲を思い出しました。リズムで曲が始まった気がするのは刷り込みのようだけれど、自然に体も動いてきて…アレ?コレ、コメコメ??
ドコドコ進んでいくリズムに執拗なまでのギターカッティング、それに乗る上モノは時間を超越したかのような桃源郷の音色。その合間を文字通り縫合していくバランス感覚は西出氏のベースが担当しているように見えました。米米なら石井竜也、トーキングヘッズならデヴィッド・バーンのポジションです。2曲目はマルオト流ファンクネスが見え隠れする、宣言通りならば米的影響大な新境地を感じさせました。
普段はとても緩やかな空気が流れているマルオトですが、演奏はとてもロマンチックに構成されていてかっこいい。
5人編成で、こんなに良い演奏を聴いたばかりで残念な気もしたのですが、このライブを境にしばらくは3人編成になるそうです。でも、3人ならば3人なりのマルオトでまた素敵な浪漫飛行へin the skyしてくれるはずです。ネクスト・フライトは是非光明寺でお願いしたい。▼
May 03, 2008
アイム・ノット・ゼア
*「火曜日にアイム・ノット・ゼアを観ました。祝日だったので渋谷は混むかなーと思って立川の映画館へ。案の定、コナン君目当ての家族連れと映画館の列に並んだわけですが、すぐ後ろのマダムもといおばちゃんデュオは映画の上映開始時間で見るプログラムを決めているご様子…。つまり、今すぐ観られるやつの中で選んでしまおうという、ある意味優雅なおばちゃん脳。『寿司王子はさすがにねえ…、クロサギって映画のほうがまだ…』みたいな話をしているのですが、思わず『アイム・ノット・ゼアも12時半からですよ。一緒にどうですか?』と声をかけてみたくなりました。勿論そんな勇気はないのですが、ボブ・ディランに興味の無い人から見たらどういう映画なんだろうという想いが(結局おばちゃん達はクロサギへ)
広告を見ると"ボブ・ディランが6人!?"なんて謳っていて目をひく感じで、広告だからそれでいいのですが、実際は"6人"ということよりも"六面体ディラン"とか"ディランアパート六部屋あります"みたいなのがしっくりくるナアと思いました。ボブ・ディランのある時期、ある一面をキャラクター化した6人の主人公のお話しを、時間軸を無視して混在させることで多面的なディラン像をひとつに浮かび上がらせるという手法なのですが、それぞれのお話の"閉じたセット感"が気になりました。セットというのは、撮影用のセットのセットです。おそらく意図的にミニチュア/ジオラマっぽく感ぜられる絵にしてあり、見ている側としてはとあるテーマで確立された部屋をいったりきたりしているような感覚になります。遊園地のお化け屋敷で、生首の転がる長屋を歩いたと思ったら次の部屋はいきなり洋館でフランケン風の男に追いかけられたり、とりあえず墓場だったり、だけど外に出てみると『ああ、お化け屋敷だったなあ』なんて感想だけが残る、みたいな。
6つの部屋をごちゃごちゃと細い線で繋ぐわけではなく、ある程度ひとつのテーマで確立させておいて、必要なところにわかりやすい太い通路があけてあるという点に好感をもちました。(ベン・ウィショーの役どころや、ウディ・ガスリーのギターケースなど)
キャストについては、リチャード・ギアはどうなのよなんて意見もありますが、デフォルメという観点と6部屋の個性化という部分ではそんな飛び道具もありかと…。(リチャード・ギアが6人の中で最もファンタジー方面担当という点は居心地悪いですが)
それとやはりケイト・ブランシェットの作り込みは見所だと思います。イーディ役はひどい。そこだけいきなり自主制作映画風。そっちはそっちで別の映画がやるからいいのかな。にしてもヒドい。
音楽は、サントラも凄く楽しめた手なのでよかったと思います。ディランをディランじゃない人が演じていて、歌もディランじゃない人が歌っているというのは凄く自然で理に適っています。(勿論ディラン本人の歌唱も使われています)とはいえ、アーティストの色が濃く出ているカヴァー(Yo La TengoとかSufjan Stevensとか)や、本人が出演してしまっているシャルロット・ゲンズブールによる"Just Like A Woman"など劇中流れない曲も多数でした。個人的に気に入っていたスティーヴ・マルクマスの"Ballad of a Thin Man"が重要なシーンで長く使われていたのはよかった。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、その曲の口パクを担当するキャストが…(略)…なのも良いです。
ボブ・ディランという名前が登場しないというのは徹底していました。もし、件のおばちゃん達が見たらどういう感想を持っただろうか。気になります。▼
March 22, 2008
山本精一 大友良英←Bjork
*「昨日の夜は山本精一さんの単行本『ゆん』刊行記念ライブへ行ってきました。会場では今の期間氏の画展も開かれており、絵に囲まれながら演奏を聴く事ができるという正に山本づくしの素敵なイベント。山本さんの演奏はボアダムスやROVOなどで何度も見ているのですが、大友良英さんと二人きりという小さな編成で至近距離というのは今までになく、僕は意味も無く緊張して臨みました。
ステージには二台のアンプと二本のギター。きっとステッカーのたくさん貼ってあるボロめのストラトキャスター(黒)が山本さんので、隣のエレアコが大友さんのだろう。エフェクターはなんだか色々と繋いであり、ゆるゆるっと登場してきた二名がそれに触り出すと徐々に空気が異化していきます。昨年の高瀬アキさんらのピアノ二台イベントの時も思ったけれど、二つの同じ楽器のかけあい演奏というのは、一つの時や他の楽器との合奏の時よりも"音って空気の振動なのだ"という揺ぎ無い事実をよく思い出させてくれます。一つの小さな波を起こしそれを電気で増幅させ色々な模様や音を描き出す、シンプルな事だけど二人のような巧者でなければ表現できないニュアンスがあります。
そして、前述の同楽器二台という編成のせいか、または演奏者の技術の賜物か、楽器ごとの個性も滲み出てくるようです。僕の好きな想い出波止場のアルバム『VUOY』の1曲目は『SPIRITS』というタイトルで、ただギターを「ジャーーーン」と1回鳴らすだけの曲なのですが、何度聴いたか数え切れないそのCDの「ジャーーーン」のシーンが何度もありました。僕はギターを弾かないのでギターの個体識別なんて今まで意識した試しもないのですが、ユニークなギターはわかるんだという事がわかりました。
二部はトークショーで、サイン会もありお腹いっぱいの一夜でした。例によってミーハー丸出しでサインを頂戴したのですが、時計の顔の男が連れた犬が大きなカップヌードルを背負っている絵を描いてくれました。
絵画展のほうは思ったよりも点数が多く、色のついた大きなサイズのものからFAXの裏紙の紙片の殴り書きのようなものまで、氏曰く"かき集めて"展示されてありました。インターネットには書いちゃいけないタイトルのついた、題名オチ的な一面を省いても(笑)魅力的な絵が多かったです。少し漫画っぽい画風で、メルヒェンな感性と淡い色使い等はどこか諸星大二郎先生を彷彿とさせ、僕好みでした。画展はまだやっていると思うので、お薦めです。
久しぶりに筆をとったついでに、遡って先月見たライブについても書きます。先月はビョークの武道館公演を見に行きました。仕事で行けなくなってしまった人の代打として行ったのですが、これがとても良かったです。ビョークは『Vespertine』以降あまり聴いてなくて、最近の曲はティンバランドとやった曲くらいしかチェックしておらず今どんな感じなのか見当もつかなかったのですが、まずはマーク・ベルがまだ居た事に一安心。選曲も頭からヒット曲出し惜しみ無しのパワープレイです。ビョークは原色の衣装を纏い、同様に派手な衣装のブラスバンドを大勢連れています。このブラスバンドとマーク・ベルという組み合わせが絶妙で、特にArmy of Meのクレイジーなアレンジや、Hyper BalladのLFOマッシュアップで武道館が踊る姿は圧巻でした。件の衣装やステージセット、ライティングも相俟って、これが噂のモノノケダンスかといった具合です。
前にビョークを見たのが98年のフジロックでホモジェニックの頃だったのですが、今回はそのホモジェニックから結構やってました。ただあの時ストリングスだった音が全て金管になっているので緊張感やシリアスさが抜けて黄金色の温もりが出ています。しかしやはりどこか物悲しさを湛えているというか、なんともヨーロッパな音色。その物悲しい音色のせいか知りませんが、まるでセカンドラインの葬送曲に聞こえてきて、ビョークの声と踊りには何かに対する弔いの祈りのようなものを感じました。ホモジェニックはまっすぐな生の印象のアルバムでしたがどこか高いところに居るのに対して、どうも今回のアルバムは同じ"生"をテーマにしつつももっと身近で生々しいもの。裏返して"死"、また裏返して"生"みたいなストリート感が感ぜられるのではないかと。
…と、思って早速新しい『Volta』を聴かせてもらったらやはりそのように思えてきてならず、写真のビョークの妙な化粧も見知らぬ国の民族が死人にする化粧に見えてきました。▼
December 31, 2007
2007年の10曲
*「2007年、印象に残った10曲
・渋谷毅 / Skating In Central Park
2007年の買い納めCDは渋谷毅さんの『solo famous composer』でした。今年は2月、3月、10月と、3回渋谷毅さんのライブを見たのですが、特に良かったのが西荻窪アケタの店での深夜のソロ演奏。そして、その日とそんなに変わらない自然な佇まいの演奏が、このCDにも録音されていました。思わず、先生!と呼びかけてしまいたくなる雰囲気をお持ちで、その期待にそぐわぬ演奏や言葉や態度に、幾度ともなくドキドキしたものです。2008年もまたアケタの店に聴きに行こう。
・forro in the dark feat. David Byrne / Asa Branca
これは2006年の曲ですが、今年本当によく聴きました。ブラジル北東部のダンス音楽、フォホーを演奏するNYのグループ forro in the dark がデヴィッド・バーンをゲストに迎えてブラジル・スタンダード『Asa Branca』を取り上げています。あがた森魚さんも、次に紹介する最新作で同曲を日本語カヴァーされており、[ 2004年の10枚 ]にてなんとなく2者の作品を並べたくなった僕としてはにんまり。両者ともにブラジルの人でないのに、何故か"サウダージ"という言葉が自然と馴染む素晴らしい歌唱です。
・あがた森魚 / 骨
2007年前半の主な活動はサワサキヨシヒロさんのご尽力の下に行なった伊東 宝専寺でのライブイベント『お寺と温泉ライブ Vol.1 あじさいさい』でした。そして夏から秋にかけては誰そ彼初の2Days、『誰そ彼は誰 ~tasogare 2days special~』の開催の為に動きまわっておりました。前者にて、伊東の港を背に感動的な演奏をしてくださったあがた森魚さんの最新作に収められた曲ですが、作詞はなんと後者で初日のトリを飾って頂いた久住昌之さん。お二人と誰そ彼の関わりの発生は全く別の機会であり、またもご縁の不思議さを思いつつこの曲を聴いていました。
・Robert Wyatt / Hasta Siempre Comandante
待ちに待ったロバート・ワイアットの新譜が出ました。これが今までで一番かも!と思える程の名盤で大感激。3部構成に分かれていてそれぞれ趣きが違い、そのおかげでワイアットの魅力のほとんどが網羅されているような気がします。特に3部のラストにスペイン語で歌われる、キューバ人の作曲家によるゲバラ賛歌『司令官よ、いつまでも!』のアレンジが白眉。3部のテーマは"Away With The Fairies -妖精と共にお出かけ"とあり、ワイアットはイタリア語とスペイン語を使い、外国人に化けてしまいます。"外国"といってもイタリアでもスペインでもキューバでもない、正に妖精と共にあるような誰も知らない異国の音楽のようでとても気に入っています。
・Tracey Thorn / By Piccadilly Station I Sat Down And Wept
25年ぶりという、トレーシー・ソーンのソロ・アルバムより。EBTGも随分音沙汰がなく本作でもベン・ワットとの曲がないのは寂しいところですが、そこは夫婦であるせいかベン・ワットの昨今のDJ活動を思わせる曲が多かったです。中でもこの曲は80年代のEBTGにあったような、夜の街のあたたかさを携えており一人歩きながら聴くのにいいです。ついこないだ動物園の休憩所でラーメンを食べている時に何故かトレーシー・ソーンの歌が流れ、それが意外にシチュエーションにマッチしていたのもなんだかすごいと思いました。
・The High Llamas / Winter's Day
僕が高校生の頃から、ずっとマイペースにいい曲を出している人達だナアと思っていましたが、最近は更に洗練されてきておりますます好きになりました。ストリングスやコーラスのアレンジが美し過ぎるのは今も尚な上に、ちょっとモータウンっぽさも出てきたりしていてたまりません。ヴァン・ダイク・パークスというより、やはりフィル・スペクターなんだな、なんて思ったりして。この曲も、タイトルの通り冬のキリッとした寒さが感ぜられ、今の時季にぴったりの名曲です。
・Prince / Mr.Goodnight
相変わらずの完璧な演奏と録音。しっとりとした趣きのトラックと女性コーラスに馴染む殿下の落ち着き払ったラップ風ボーカルに痺れました。
・ハリー細野&ザ・ワールド・シャイネス / Flying Saucer Break Down
7月末に日比谷野音で行なわれた細野晴臣還暦記念ライブイベントで、最後に登場したクールなカントリーバンドが演奏していました。2007年も細野さんの歌を聴く事が一番多く、特にうたもののアルバムが出たのはとても嬉しいです。カヴァー曲ばかりでなく、新しい曲もどんどん出るといいなあ。余談ですが、同曲の歌詞から早速タイトル引用させて頂いたキャンプイベント『よい子になりますキャンプ』の記念すべき第一回目がとても楽しかったので、2008年もまたやろうっと。
・Aki Takase / The Sphinx
高瀬アキさんのライブも、来日ツアー中3回も見ました。そのうち2回は多和田葉子さんとのデュオ、1回は"ピアノ舞踏会"という8人のピアニスト達によるイベントでした。特に念願であった多和田葉子さんとのデュオが見られて嬉しかったです。このソロアルバムでは、オリジナル曲の他にセロニアス・モンク、カーラ・ブレイ、エリック・ドルフィーなどの曲も取り上げていてそれぞれが素晴らしいのですが、オーネット・コールマンのこの曲はキャッチーなテーマを導入に、静と動の入り乱れる高瀬さんの魅力爆発といった感じの演奏でかっこいいです。
・Van Dyke Parks / Four Milles Brothers (Live at 日比谷野音)
前述の細野晴臣還暦記念ライブに登場した"まさか!?"の地球の仲間、ヴァン・ダイク・パークス。レコード屋で働いていた頃によく聴いていた曲ですが、生歌が聴けるなんて"まさか!?"夢にも思わなかった!今年一番嬉しかった音楽的サプライズでした。ありがとう、空飛ぶ円盤。イベントのラストに出演者総出で演奏された『さよならアメリカ、さよならニッポン』も、なんだかとても象徴的でその光景を思い出すだけで目頭が熱くなります。細野さんはこの曲でパークス師匠からマルチトラックレコーデンングを習ったというんだから…。
2008年は暖かくなったら誰そ彼をやる予定です。他にも、誰そ彼周辺で新しい事を少しずつ始められたらなんて話しています。告知やご報告などは、当ブログでも行なっていきますので今後ともご支援の程よろしくお願い致します。▼
November 12, 2007
第2回ピアノ舞踏会
*「ベルリンから来日されている高瀬アキさんを追いかけて横浜、両国ときて先週末は吉祥寺に。11/11に武蔵野公会堂のホールでおこなわれた"第2回ピアノ舞踏会"を観に行きました。感想をささっと。
男性4名、女性4名が男女ペアでデュオを組みピアノ2台+αで演奏をするというものでした。前半に4組でた後に、休憩を挟みペアを組み替えてまた4組。事前にCDを聴いた事があったのは高瀬アキさんと三宅榛名さんだけだったのですが、前半のプログラムを聴き終えた頃にはそれぞれの個性がなんとなくわかってきて後半の組み合わせが楽しみになるという按配。なるほど~。皆さん、即興演奏は百戦錬磨といった感のある、個性豊かで自由な演奏ぶりでした。
特に、現代音楽畑と思しきパク・チャンスさんと三宅榛名さんの演奏が心に残りました。男性と女性では体重や体型の差は違えど、各々のスタイルで箱を鳴らし震わせ、音を出すための基本的な仕組みを実感させてくれる演奏だと感じました。
最後は個性豊かな8名が壇上に登場し、好き放題(笑)正に天衣無縫といった印象のステージ上の見た目とサウンド…あまりに自由な大人たちを見て、心底笑ってしまいました。こんな風に笑ったのは久しぶりだなあ。よかった。
さてさて、今週末は光明寺で誰そ彼です!
17日はfishing with johnさん、ゴトウイズミさん、久住昌之さんが登場します。18日は名古屋のマルオトさん、MY PAL FOOT FOOTさんにshibataさんasunaさん、横浜からアンソニーさんと仲間達、そしてBoys In Townさんが登場します。
それぞれ違った趣きで楽しめると思いますので、お時間ある方は是非二日間参加してください。気持ちばかりですがサービスも考えております。
詳細はコチラでご確認頂けます。よろしくお願いします~。
ちなみに、18日に出演するマルオトさん、MY PAL FOOT FOOTさん、shibataさん、asunaさんは17日にペンギンハウスに出演されるのですが、ペンギンハウスのスケジュールを見てビックリ。なんと17日に誰そ彼出演のゴトウイズミさんが16日にペンギンハウスに出られるそうです。ペンギンハウスさんと提携などはしてないですので(笑)これはなんとも面白可笑しい奇遇です。▼
November 05, 2007
阿佐ヶ谷ジャズストリート→音の間 ことばの魔→飛魂 [Ⅰ]
*「ここ最近また良いライブに恵まれているので、長くなりますがご報告。
先月末には阿佐ヶ谷ジャズストリートに参加しました。以前友人に連れられ神社で山下洋輔さんの演奏を聴いて以来で、今回は大好きな渋谷毅先生がエリントンを演られるというので。
東京は台風の日で、駅前の喫茶店に辿り着くだけでもう既にびしょ濡れ…勿論そのせいでいつものような人出は見られず、屋外での演奏も全て中止となっていました。残念です。そして豪雨の中多少迷いながら、渋谷毅エッセンシャルエリントンの演奏会場である産業商工会館へ到着。入場時にすれ違った渋谷先生は今日も学校の先生みたいに颯爽と歩いていてかっこいい。
エリントンばかりをやるバンドなので、1曲目はもちろんエリントン。優しさのあるとてもいい曲でした。曲名は残念ながら失念。次にやったのはエリントンがシェークスピアを題材に作ったアルバム『Such Sweet Thunder』からSonnet forとつく4つの小曲を続けて。これも趣きの違う4曲ながら、それぞれに特徴があって面白い。
…なんというか選曲が素晴らしいのです。エリントンだからいい曲がたくさんあるのでしょうが、その中でも特にセンスの良い楽曲を取り上げられているような気がします。
後半はボーカルにゲストとして清水秀子さんを加え、"Prelude To A Kiss"、"Caravan"などの定番を演奏しました。老若男女が集うジャズ・ストリートならではのはからいといったところでしょうか。ラストは"Take The A Train"で締めました。
峰厚介さんのソロや、松風鉱一さんの様々な楽器に持ち替えてのいぶし銀なプレイもとても印象的でしたが、今回特に残ったのは外山明さんのドラムです。特にソロはなんだか凄かったです。力の抜け方が絶妙でフシギとスリリング。渋谷先生も外山さんのソロ終わりのタイミングに戸惑って思わず笑っていらっしゃいました。渋谷先生のバンドにはこういう個性を持った方が必ず一人か二人くらいいらっしゃるような気がします。そういったところからジャズの良さが零れ落ちるようなのが好きで、また見に行きたくなってしまうのです。あとは、MCで"アンコールという作業が面倒なので続けてA Trainを演奏して終わります。ありがとうございました。"と言ってらして、アンコールを作業と呼んでしまうような、アーティストというよりもやはり学校の先生を思わせる物腰に惹かれます。
ホールを出た後も強い風雨でしたが折角フリーパスを買ったので、頑張って小学校の体育館での演奏を聞きにいってみました。そこで何故かケーブルテレビ(J-COM)の人に声をかけられインタビューを受けました。インタビュアーがケーブルテレビらしい素人お姉さんという感じで、僕らもきっとオンエアーを見たら赤面してしまうようなシロモノになっていそうですが、一行3名で出演しております。いつ、どうやったら観れるのかも知りませんが…。
先週末は二日間連続で同じアーティスト、ジャズピアニストの高瀬アキさんと作家の多和田葉子さんによるデュオを観ました。二人はベルリン在住なのでこれは来日公演という事になります。昨年、この二人のCDや本を貸してもらってからずっとはまっていて、高瀬さんに関してはこちらのエントリーやこちらのエントリーでも少し触れています。
この二人によるライブがとてもよいという事は常々聞いていたのに、昨年の公演は行きそびれてしまったので、今年は飛付いて思わず2公演分のチケットを買いました。
金曜日は神奈川県民ホールのギャラリーにて"音の間 ことばの魔"と題された公演でした。ギャラリーは地下にあり階段を降りていくと、まるで巨大蜘蛛が巣をはったかのように天井から床へ毛糸が張り巡らされ暗闇に美しく浮かび上がっていました。ステージ上のオブジェや聴衆の椅子までも糸に取り込まれており、見たことの無いような異空間と化しています。同会場にて1ヶ月間展示をしているこれまたベルリン在住の美術作家、塩田千春さんの作品の中でライブを聞くという趣向のようです。
いよいよ登場した多和田葉子さんと高瀬アキさん、静寂を破る待望の一音目、多和田さんは見た目と裏腹に芯のある不思議な声、とてもいい声。高瀬さんは見た目に違わずしなやかで、でも意外に繊細という、とてもいい音。何故か緊張します。
多和田さんの流れるように心地よい朗読に、高瀬さんの変幻自在のピアノが噛みつき、両者言葉をかけあい、もつれあっていきます。その様子は時に可笑しく痛快で、時に息を飲む程に美しい。多和田さんの批評性とユーモアを十二分に湛えたユニークなセンスと、高瀬さんの動物的な瞬発力と類稀なる技術がとても相性よく響きあいます。様々な日本語を集めてきてまな板の上に載せ、それらを音で切ったり、形で盛り合わせたり、ピアノの音を添えたり、またはその逆で高瀬さんのピアノの演奏に色々な言葉が味付けをしたり、絶妙のバランスで両者がまぜあったり…。
ステージ中央にあるオブジェは焼けたピアノです。元々黒いものですが、こんがりと真っ黒に焼けています。そのオブジェは塩田千春さんの作品で、このピアノを"黒神さま"という神様に見立ててそれに出会う夢遊病の少女のストーリーはこの公演ならではのものなのでしょう。幻想的なステージの演出と相俟って醸し出される少しの恐さと、塩田さんの作品を"黒神さま"に異化してしまうユーモアがとてもいいです。
続けて、饒舌なメロディーを持った高瀬さんのピアノに合わせて二人が「アーヤーメー」と歌う不思議な曲では多和田さんがアンチ・グルーヴな態度でマラカスを振るのがとても楽しく、そのマラカスの金色と多和田さんのちょっと傾いた姿勢が忘れられないかわいらしい一曲でした。そこで本公演最初の拍手が巻き起こるというのも楽しい。
そして圧巻だったのは高瀬さんのピアノソロパートです。ピアノの中にピンポン玉をたくさん流し込んでの演奏。鍵盤を叩くごとにピンポン玉がポンポンと飛び、見た目もさることながら音がすごいです。ピンポン玉が跳ねる度にピアノは金属的な音を伴なうわけですが、それが聴いているうちにどうも高瀬さんのコントロール下にあるような気さえしてくるのです。ピアノの中から飛び出すピンポン玉も後半は出そうとして出してるようにも思えたり…。
多和田さんの見所はテンポの早い、まるでラップのような朗読。Blackaliciousの曲にAlphabet AerobicsというのがあってABCの単語でラップをしていきそれがどんどん速度があがっていくという有名な曲なのですが、なんだかそれを思い出しました。
高瀬さんと多和田さんはこのようなことを日本語でピアノでやっていると言えば、二人のライブのおもしろさの一端をあらわせるかもしれません。
そして土曜日は両国にあるシアターXというホールで"飛魂 [Ⅰ]"と題された公演でした。『飛魂』とは多和田さんが1991年に出した小説のタイトルで、この公演はその朗読を挟みながら進行していきます。
シアターXは初めて行ったのですが、学校の体育館のような床が気持ちの良い場所です。二人が初めて日本で共演した場所らしく、それから毎年ここでライブをしているとの事で前日の公演よりリラックスしてやられているという印象を受けました。"あわだちそう"という演目は、二人が「○○くさ」と、くさのつく言葉を掛け合っていくという方式の即興演目です。いわゆる植物のくさで繋ぎながら、そうでない"くさ"を混ぜる事で二人の気持ちが交差するのが愉快でした。奔放且つ直感的に進める高瀬さんに対し、苦笑しながら「やりにくさ」と返す多和田さん、といった具合に前日には少なかった即興ならではの楽しみが散りばめられていました。
多和田さんの小説の面白さは、話の筋もさることながらそれ以上に言葉の選別の熟慮によるグルーヴ感があると思います。詩も沢山書かれる方であったり、日本語以外の語学もドイツ語をはじめとしてとても堪能であるという点などから、音にも相当の気を払われています。本公演のテーマとなった『飛魂』も、ストーリー的には割とフラットな印象がするのですが、言葉の形や色や音でその本一冊の起伏を作り上げているように感じました。小説なのに朗読に非常に適している。(話の中でも朗読が重要なテーマとなっています)しかし、形や色を楽しむという点ではやはり本がいい。…つまり一冊で多重に楽しめる本当によくできた本だなあと再感動しました。
シアターXでは公演後にロビーで談笑するお二人を見かける事ができたのもよかったです。神奈川県民ホールでの公演の後はワインとパスタ、両国シアターXの公演の後はビールにちゃんこという食事で締めたのですが、両会場の公演が会場の雰囲気や客層も含めてそれぞれの日の食事に意図せず対応していたような感じでした。どっちもとても良かったです。
次の週末は高瀬アキさんを更におっかけて、というか近所の武蔵野公会堂に来られるようなので是非とも聴きにいってみようと思います。▼
August 02, 2007
細野晴臣と地球の仲間たち ~空飛ぶ円盤飛来60周年・夏の音楽祭~

*「先週末、日比谷野音でおこなわれたイベント"細野晴臣と地球の仲間たち ~空飛ぶ円盤飛来60周年・夏の音楽祭~"を見に行ってきました。細野さんの還暦祝いということで、先日リリースされたトリビュートアルバムの参加アーティスト達が集まっての前半部、インターバルを挟んで後半に細野さんのバンドのライブ、という構成でした。長丁場でたくさんの人が出てきたので少しかいつまんで、またもやミーハーなレポートを掲載します。
開演早々にイエロー・マジック・オーケストラの三人が出てきて挨拶の後、これまた早々の登場となるヴァン・ダイク・パークスを紹介。デニムのオーバーオールを着てまるっと太った愛嬌のある彼は"Yellow Magic Carnival"でストリング隊を含む大所帯のバンドを指揮しました。ボーカルがヴァン・ダイク・パークスではなくサンディーだったのが少々残念でしたが、生ヴァン・ダイク・パークスのいきなりの登場に興奮してしまいました。
トリビュートアルバム参加者が入れ替わり立ち代わりで1曲ずつ演奏していく前半は多少間延びの感が否めず…でも、合間合間に竹中直人&緋田康人があらわれてコント風の司会(?)で繋いでいました。(それは相当面白かった)
日が暮れかけた頃に、東京シャイネスのメンバーの何人かがバックバンドとして演奏した"午前3時の子守唄"で、涼しい風とともに音が断然良くなって空気が引き締まりました。さすが。
休憩を挟んでいよいよ細野さんバンドの登場。一応、今回のイベントのコンセプトに合わせて、空飛ぶ円盤から細野さんが降りてきたような演出の後、曲は"未知との遭遇"でスタートしました。バンドは東京シャイネスから数名のメンバーチェンジを経てワールド・シャイネスとなり、楽曲は全て"クールな"カントリーとなっています。MCでは、「60になったのでテクノはもうやめました。これからはカントリーやります」、「(前半にSketchShowの曲をやったCornelius+坂本+高橋を指して)あの3人かっこよかったよねぇ、あれでやってったらいいんじゃないかな?」とか、「ポリリズム?めんどくさい」なんて発言も飛び出していました。"ボディー・スナッチャーズ"までカントリーにアレンジされていて、新曲も含むクールカントリーな数曲を披露した後、再度ヴァン・ダイク・パークスが登場。そしてなんと僕の大好物『Discovery America』から"Four Milles Brothers"を歌ってくれました。人前で歌ったのは初めてということで、まさかこんなトコロで生で聴けるとは!と感動しきり。本編ラストは仲良しのユキヒロさんと"スポーツメン"(無論カントリーアレンジ)をデュエットして幸せそうな細野さんでした。
それでアンコールはいつもの"幸せハッピー"の後、こういったイベントのお約束である出演者総登場です。ヴァン・ダイク・パークスはアコーディオンを抱えて出てきて、彼と細野さんのはっぴいな記憶、"さよならアメリカ、さよならニッポン"を皆で合唱してHAPPY ENDと相成りました。
還暦祝いイベントというには、トリビュート・アルバムの参加者ばかりで、もっと色々な時代の関連アーティストが出ればいいのにナアと思いましたが、ヴァン・ダイク・パークスの生歌やユキヒロさんとはしゃぐ細野さんの楽しげなお姿が見られて満足でした。
9月リリースのハリー・ホソノ&ザ・ワールド・シャイネスのアルバムはカヴァーやセルフ・カヴァーが中心のようで、もっとたくさん新曲を聴きたいのになあ…。▼
::過去の関連エントリー::
2006年3月 - さよならアメリカ さよならニッポン
2005年12月 - 細野晴臣&東京シャイネス@九段会館
March 20, 2007
渋谷毅Orch→Yo La Tengo→小林洋子Duo→マルオト→渋谷毅Solo
*「最近には珍しく、よくライブに足を運んでいます。Google様マイカレンダーに御伺いをたててみるとここ一ヶ月で5件。
2月 15日 Live: 渋谷毅オーケストラ - 新宿 ピットイン
2月 19日 Live: Yo La Tengo - 渋谷 O-East
3月 1日 Live: 小林洋子(p)+鈴木徹大(g) - 西荻窪アケタの店
3月 3日 Live: マルオト - 新大久保 EARTHDOM
3月 10日 Live: 渋谷毅ソロ - 西荻窪アケタの店
それぞれの感想を簡単に記してみようと思います。
● 2月 15日 Live: 渋谷毅オーケストラ - 新宿 ピットイン
この日のメンバーは、渋谷 毅(P.Or)松風鉱一(Sax,Fl)片山広明(Ts)津上研太(As)松本 治(Tb)石渡明廣(G)上村勝正(B)古澤良治郎 (Dr)
今回だけテナーサックスに片山広明さんが入った渋谷毅オーケストラ。個性豊かな前四人を指揮る渋谷さん、という構造が印象的でした。片山さんの豪快な出音、非常に器用に楽曲を色づけていく津上さん、芯があり鈍く光る松風さんのアルト、4人の中では冷静にひっぱっていく松本さんのトロンボーン…。後半、ロック寄りのギターにつっ走っていく石渡さんに聴衆のみならずメンバーからの注目がどっと集まった瞬間の空気にジャズの良さを想いました。渋谷さんを先生とするクラスメイト達みたいな感じで微笑ましい。
演奏されたなかではジャコ・パストリアスの曲がとてもよかったです。
ちなみに片山さんのブログがかわいい。
● 2月 19日 Live: Yo La Tengo - 渋谷 O-East
来日アーティストのチケットをとったのは久しぶり、ミーハー丸出しで出かけたこのライブで気になるのはやはり演奏曲。初っ端が僕の一番好きな曲"Way To Fall"で、それから新譜一曲目の長尺サイケギター曲へという流れは良かったのですが、東京初日のせいかあまり調子がよさそうには見えませんでした。MCで「昨日は東京マラソンに参加したので疲れてる」なんて冗談も言っていたし。
しかし段々と調子はあがってきて、本編終盤のノイジーな"Big Day Coming"~"Little Honda"辺りはとてもかっこよかったです。お決まりのアンコールでのカヴァーも、Kinksを2曲(!)、"Fakebook"収録のフォーキーな"Griselda"など味わい深くいただきました。"Upside Down"なんて古めの曲のリクエストにも応えてくれて僕のミーハーメーターは満たされたのでした。
ちなみに、ジェームスはサンエックスファン。そうとう嬉しかった様子。
● 3月 1日 Live: 小林洋子(p)+鈴木徹大(g) - 西荻窪アケタの店
僕が昨年より騒いでいる高瀬アキのCDを貸してくれた友人がジャズピアノを習い始めたというのでジャズの老舗アケタの店を初体験しました。
このデュオは非常に清潔感のある演奏でとても気持ちが良かったです。小林さんのピアノは密度が濃く、ずっしり詰め込んでいるのにこの清涼感は何故だろう。鈴木さんのギターはとてもピュアなジャズギター。ロックを中心に聴いてきた僕の耳にはとても新鮮に感じる演奏でした。演奏したのはオリジナルを中心に、モンクやエリントン、アンコールリクエストではオスカー・ピーターソンなど。アケタの店の雰囲気もとても落ち着ける感じですぐに馴染んでくつろいでしまいクセになりそうです。
ちなみにアケタの店のメニューにはいちいちダジャレが添えられていて和む。
● 3月 3日 Live: マルオト - 新大久保 EARTHDOM
誰そ彼にも何度か出演してもらっている友人の西出さんのバンドが名古屋から新大久保に来るというので見に行きました。久しぶりにバンドマン風の西出さんの演奏を見て気分がとても盛り上がりました。マルオトは見る度に大きな変化があって楽しいです。最近は機会が減ってしまったけど、やはり友達のバンドを見るのは刺激的です。
この日は他にstruggle for prideや灰野敬二さんのバンド(ドラムが吉田達也さん)やhairstylisticsなども出演したのでEARTHDOMは大混雑。灰野敬二さんのバンドの演奏を見て早々に退散しました。灰野さんはギターは言わずもがなですが、声もいいんだという発見が有り(楽屋が禁煙だったらしいです。カッコイイ!)吉田さんのドラムも凄かったです。久しぶりに情報過剰な音楽も気持ちが良いなあ。
ちなみに西出さんは先ほどパパに。おめでとうございます。
● 3月 10日 Live: 渋谷毅ソロ - 西荻窪アケタの店
前回味をしめたアケタの店を早速再訪。毎週末深夜1:00スタートの部があり、なんと1000円(with 1drink)で楽しめるのです。誰そ彼価格で渋谷さんのソロを聴けるなんてとてもオトク!階段を下りると入り口のパイプイスに座り新聞を読む渋谷さんのお姿があり「こんばんわー」と挨拶を交わして入場する感じがまたよいです。
渋谷さんは常にとても姿勢が良くまるで学校の先生みたいで、胸の筋肉が凄いのはやはりピアノ演奏に役立つのだそうな。モンクなどを流石の腕前の素晴らしい演奏で、何故かポカポカと体があったまり、温泉にでも入っているような気持ちのよさ。僕はうっとりしながら聴いていましたが、ピアノが弾ける人からするととても緊張するのだそうです。その二極の印象を自然に与える腕前というのは余程のものなのだろう。
帰りは既に3時近いのですが、我が家までタクシーで1500円くらい。良い所に住みました。
ちなみに、アケタの店のメニューには(以下略)、やはり気になる。
…といった具合にライブ鑑賞が続きましたが、いつもの仲間たちと昨年末から計画していたライブイベントのほうがそろそろお目見えする予定です。今週木曜日配布のR25にちろっと出るらしいので、拾った方は探してみてくださーい。▼
January 30, 2007
2006年の10曲
*「2006年に印象に残った10曲
・Dirty Dozen Brass Band / What's Going On Featuring Chuck D
Marvin Gayeの『What's Going On』を丸ごとカヴァーしたアルバムにて。カヴァーされつくしているであろう同曲でChuck Dを迎えるというニクい配役にシビれました。ジャケットからもわかるようにカトリーナから一年が経ったニューオリンズに捧げられています。
・スチャダラパー / ジャカジャ~ン
イントロを聴けばナットクのタイトルに想いが込められています。収録されている『con10po』はとってもビターなアルバムでした。個人的にも「マジかよ?」「それもアリかよ?」と思う機会が増えてくるお年頃なので、こういったCDにこそお金をつかってよかったなあと感じます。
・Kelis / Lil Star Featuring Cee-lo
流石に新鮮味も薄れてきてしまったプロデューサーを離れ、様々なヒトを招いてバリエーションに富んだ傑作を作りました。サンダービッチとか凄いニックネームで呼ばれていたKelisですが、"Crazy"が良くできていたCee-loをゲストに、とてもかわいらしい曲を歌っています。
・Morrissey / Dear God Please Help Me
モリ様の新アルバムはプロデュースがトニー・ヴィスコンティ、という情報を得て購入してみました。その中でもエンニオ・モリコーネがストリング・アレンジを手がけた楽曲が美し過ぎるモリコネクション。
モリ様は英語が苦手な僕チンにもわかりやすい英語で、微笑を誘いつつもドキッとさせる言葉を今でも紡いでいてかっこいいです。
・Charlotte Gainsbourg / Everything I Cannot See
深夜のラジオから流れてきた20年ぶりの新曲。ナイジェル・ゴッドリッチがプロデュースしていて、心落ち着く良いCDでした。参加陣が妙に豪華だし、ほとんど英語で歌っているのですが、かわいいのでまぁいいかという気持ちに。
・Senor Coconuts / Madmen Featuring Haruomi Hosono
昨年は今更ながら諸星大二郎の『マッドメン』にハマり、何度も読み返しましたがその時のBGMとして。
年を通じてたまに巡ってくる"なんか不思議なキブン"とマッチしていたような、気がする。
・田島貴男 / Be My Baby(Live at 池上本門寺)
去年はほとんどライブを観に行かず、大雨の中ふんばって待った田島貴男のソロライブが一番心に残っています。版権の関係で、CDでは原詩収録となってしまったのが悔やまれるこの曲。
・Daniel Johnston / Some Things Last a Long Time
2006年後半の気持ち面のテーマとなった曲です。"縁"という言葉と"因縁"という言葉の対比、"因縁"のカタチもさまざま。忘れないように聴き続けたいです。
・Darondo / Didn't I
ジャイルズ・ピーターソン先生によるグッドなリイシュー。70'sディープファンクの御仁で、どうやらレアらしい7inchをコンパイルしたものです。CDで買ったのですが音も満足で、内容は言わずもがな。光明寺本堂でも何度か流れたこの曲は光に満ち溢れていて全ての輪郭が吹き飛んでいるような印象をうけます。
・Aki Takase & Alex von Schlippenbach / You Are What You Is
昨年出会った音楽の中で一番刺激的だったのが高瀬アキのピアノでした。旧譜を何枚か貸してもらったのですが、この93~94年のライブ音源をよく聴きました。ここで取り上げているフランク・ザッパの"You Are What You Is"の美しさといったら!▼
October 19, 2006
some things last a long time
*「先日、『悪魔とダニエル・ジョンストン』を観ました。ダニエル・ジョンストンというアーティストのドキュメンタリー映画です。(彼は素晴らしいメロディーの歌を作って歌ったりイラストも上手なのですが、気の病があり時に信じられない行動をとる事がありました。中には犯罪に近い行為も…)
両親、特にダニエルが反発を抱いていたお母さんを、おそらく意図的に、恐ろしくみせるように撮っていると感じました。恐ろしい、とみえたのは決定的な"ずれ"のこと。いくら長く一緒に暮らしたって、筋立てて話し合ったって埋める事のできないずれです。両親の世界とダニエルの世界が違いすぎて悲しくなってしまいます。しかしそれは仕方がない事です。多分両親にとっての神様と、ダニエルにとっての神様が違う。よくわからないけど、アメリカの家庭においてそれは致命的な事なのではないでしょうか。それでも、一緒の暮らしは続いていくし、それぞれの暮らしも続いていく、そんなダニエルの事を思うと、ここ数年新譜をそれなりにコンスタントにリリースするようになって、ワールドツアーも行えるようになるなんて奇跡に近いです。
そのツアーで来日した時のライブをみに行って、演奏は奔放だし、気分で終演にしてしまったようだったし、彼岸にいるひとなのかとおもったけれど、決してそうではなく、日本で暮らす僕の世界とも地続きであるという事がよくわかりました。それをわかった上で聴くダニエルの歌とわからずに聴くダニエルの歌はまた違ってきて、それがいいです。だから観てよかった。
ラストのスタッフロールでは大好きなキャスパーの格好をしたダニエルが楽しそうにおどけているモノクロの映像が流れるのですが、それがなんだかとても寂しい。バックで流れているダニエルの歌は"some things last a long time..."と繰り返しています。永遠に想い続ける事、どうしたってくっつかないもの、揺ぎ無い物質、暮らしていく事、映画の中に見えるやりきれなさが瞬間にどっと襲ってきて、ダニエルの歌声がとてもよく響いたのです。その時に、彼はすぐ隣にいるようなとても身近で心優しいアーティストなんだなあと思いました。
"Some things last a long time"は映画のサイトで流れています。▼
October 03, 2006
のすたるじゃ

*「先日、人の薦めでP.K.ディックの短編集を読みました。ディックを読むのは10年ぶりくらい。SFだからもちろん時代設定は未来なのですが、つきまとうこのなつかしさは何故だろう?久々に読んだからとか、昔に書かれたからとか、そういうのではなくて作品の世界全体を覆う色彩が褪せている。ずっとアンティークショップの中を歩いているような心持ちでした。読み進めるにつれ、かつて自分がその世界に居たかのような錯覚さえおぼえ、これはディックの描くSFの世界にノスタルジーを感じているのだと気付きました。本に限らず、音楽にだって景色にだってそういうものがたまにありますよね。郷愁のような感覚。僕のここ数ヶ月のキーワードはその"郷愁"だったのです。
発端は更に遡る事ウンヶ月前、人の家で何気なく読み始めた坪田譲治先生の『せみと蓮の花・昨日の恥』。予備知識も無く直感で人の本棚からチョイスしたので、それが彼の老成期の作品を集めたものだという事は後から知りました。『せみと蓮の花』というお話、主人公(=少年期の坪田)を取り巻く環境は決して幸福ではないのに、瑞々しい感受性と素朴で美しい生活のシーンが描かれ、それを読んで何故だか自分に対する焦燥感のようなものを覚えました。過去の日々。この話は坪田譲治自身が80歳を越えた時に、今までの自分を思い出しそれまで常に自分に付き纏っていた「死」をテーマに綴ったものです。「死」の裏返しとして少年期のバーフェクトワールドを実体験に基づいて描いています。実体験。80歳にして尚鮮烈に残るほどの記憶、ちゃんと拾ってとっておいた優秀な脳みそがとても羨ましいです。それで、僕を含む万人を惹きつけ、何度でも帰りたいと思えるノスタルジアを築きあげたというわけです。僕も一生のうちにカタチはどうあれそんなものを遺してみたいともやもや考えていました。
これら2作品は僕が偶々短い期間に遭遇した自分自身のノスタルジーのツボなのですが、他の人が接したところで郷愁の片鱗にも触れなかったりするのでしょう。また、僅かに重なったりもするのでしょう。自分のそのツボが段々と判明していくのは楽しいです。脳みそのせいか環境のせいか時代のせいか、残念なことに僕は坪田先生のような美しい描写の素材足りえる記憶は持ち合わせちゃいませんが、こうやって外部から自分にとっての郷愁のエッセンスを拝借しながらパーフェクトワールドを捏造していくのは人生の楽しみとなるかもしれません。そして僕が妖怪好きなのも、郷愁収集の一端という事もあるかもしれない。
[以下、近況]

邪魅の雫を読みました。まだ読んでない方も多そうなので細かい感想は書きませんが、昨晩の雨の中人ごみを歩きながら傘から傘へ落ちる雫の動きを見て思ったのは、相変わらず事件のモデリングを凝ってらっしゃるなあと。美学、があるのでしょう。それと、前述した"自分の世界"、"パーフェクトワールド"というのが作中で一つのテーマになっていたので僕としては勝手にシンクロニシティ…。
他には三橋一夫先生のふしぎ小説にはまっています。これも僕の郷愁の雫。
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音楽は久々にジャズをよく聴いています。数年前に買ってよく聴いてなかったり内容を忘れたレコードがいろいろあったのでそれらを改めて。それと、人のお薦めでCDを借してもらったのですが高瀬アキというピアニストがとてもよかった。セロニアス・モンクやエリック・ドルフィーの曲をよく演奏していて、セシル・テイラーに共感を寄せているというピアニストなのですが、それらの方々のレコードを聴く時の気分によく似た印象を持てます。とんがっていて、あったかい、こんな人がいるなんて知らなかったなあ。ライブもみてみたいです。
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新譜ではケリスのやつが良かったです。暖かい質感のトラックやラップ風のヴォーカルに何故かTLCの2ndを思い出しました。ネプチューンズを卒業しキャラや飛び道具無しでもいけるという、KELISの実力が見れて安心。僕としては次のアイドルを探さねばという気持ちに。
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ROOTSも新しいのがでました。ここ数作品のサウンドの振れ幅をROOTSの真ん中の柱で吸収したような安定の一作です。DEF JAMに移籍してセルアウトと思われたくなかったとの事。なるほロケット。前半でクエストラブが叩きまくり、後半はサンプリング主体。RADIOHEADを使ったりJayDeeへの追悼曲などおセンチなROOTSとなっていました。
郷愁の音楽には近頃出会っていませんが、この秋めいた空気の中、カーティス・フラーが吹くベサメムーチョを聴いて運動会を思い出したりしています。
僕も邪魅だとか邪ズだとか、あまり邪なことばかりしていると…▼
July 25, 2006
ジギー・スターダストと恐竜と指環
*「まずはご覧の皆様にご連絡。僕のメールアドレスでethink.jpというドメインのものをご存知の方はお手数ながらご変更願います(平成電電が日本テレコムに事業譲渡となった為、引越し手続きが出来なくなり強制解約…)最初からそうしてればよかったと後悔しつつも今更quexpoドットコムドメインのアドレス作りました。enアットquexpoドットコムです。もちろんen-doアットヒガンドットネットも今まで通り使用しています。宜しくお願いします。
それでついでに、最近買ったCDを紹介。
Gnarls Barkley / St.Elsewhere

ちょっと前からラジオやTVでよくかかっている『Crazy』に驚いてチェックしてみたらデンジャーマウスとCee-looのユニットであるとの事。(Gnarls Barkleyという人物は実在すると言っているが、おそらく実在しない。デンジャーマウスお得意のアレ)今年のフジロックにも出るそう。観てみたいなあ。
んで、『Crazy』が相当ハイクオリティだったのでアルバムを楽しみに待っていたのですが、思ったより上下左右に忙しい曲が多くてiPodも悲鳴をあげています。Outkastの近作を彷彿とさせるリズムに、Gorillazにも通じる何ともいえない(UKっぽい)暗さ…。『Crazy』のように、スッカスカのトラックに真贋の判断が微妙な"黒さ"を感じさせる曲がもう何曲か聴きたかったところ。初期マッシヴ・アタックやSPACEKを楽しくいかがわしくSELL OUTさせたような。
Jurassic 5 / Feedback

最近恐竜のTシャツやらぬいぐるみに心を奪われ、ごく密かな恐竜ブームが起きてたのですが更にJ5の新譜が出るとは今年は恐竜づいてます。DJのカットケミストが離脱してしまったのはネガティブな要素ですが、もう一人のDJヌマークやゲストプロデューサー陣が頑張って多様性を押し出しています。オールドスクール本領発揮といったエレクトロなパーティーチューンもゴキゲンですし、カーティス・メイフィールドの声ネタをフックに使ったトラックにも思わず唸ってしまいました。カーティスのハイトーンボイスに絡む、スーパーロウトーンなチャーリ・ツナのMCは今作のハイライトとも言えるでしょう。ツナの声はもはやiPodがとらえられません。カットケミストが抜けたおかげで毎回ラストを飾る2DJによるアクロバティックな長尺インストトラックも短めになったのが寂しいところですが、ここでもヌマークがカヴァー曲で渋味の新局面を提示していてそれもまた良し。ゲスト陣は少なめながらロックファンにもアッピールするモスデフとデイヴ・マシューズ・バンド(!)デイヴ・マシューズ・バンドとの共演曲『Work it out』は心が穏やかになるいい曲です。なんかかわいくてなごむ、お父さんの海賊カレーみたいな味わい。
また来日するといいなあ。前作の来日公演@SHIBUYA AXを観に行き、2DJによるパフォーマンスコーナーが相当楽しかったのですがそれも観れなくなってしまうのは残念…。やはり穴は大きいか。
Darondo / Let My People Go

年始にラジオでジャイルズ・ピーターソンがこの人をかけていて、とても気になっていました。アナログで買おうと思いつつもレコード屋に足を運ぶのが面倒で怠けていたら店頭から消えました。仕方ねえCDで、とhmv通販のキャンペーンを利用して購入。
70年代ディープファンクの方で、7インチを3枚しかリリースしておらずレア且つ伝説の御仁らしいです。ジャケットの写真はかなり味のあるフェイスで、指輪がかっこいい。歌も顔に同じと言えばかなり伝わり易いかと思います。サウンドはヒガンに向かうスライ&ザ・ファミリーストーンといった風で、かなりの光量でとろけているか、かなりの漆黒でうごめいているかのどちらかです。2曲目に聴いた事も無い音のギターが鳴っていますが、iPod上ではただの塊でした。
というわけで、どのCDも家のステレオで聴くと幸せです。▼
May 23, 2006
明日の神話

*「田島貴男ソロ観たさに応募した池上本門寺でのライブイベントのチケットが当たりました。それで先週の土曜日は本門寺に行ってきました。
開場時のSEとしてジミヘンがかかると、寺でジミヘンというシチュエーションに『特攻の拓』を思い出しおおっと一人盛り上がりましたが、音はいまいち…住宅街のどまんなかでやる苦労が偲ばれます。そして開演30分前から例の豪雨!持参したレインコートを着て傘を差し木の下に非難するというちょっとしたフェス体験です。スタッフさんもかなり大変そうでした。
開演後も雨は降り続くも、田島さん観るまでは帰れないと木の下で寒さに耐えていました。3組目の斉藤和義の出番の頃にようやく晴れ間が差し、五重塔に虹がかかります。虹を見て少し元気を取り戻し、席に戻って田島さんの出番を待つ。
日がちょうど暮れた頃にいよいよ4番手の田島さんが登場しました。デカイ!長い手を伸ばしてアコギをがしっと掴み、登場早々演奏したのはなんと『接吻』大ヒット曲を出会い頭にかますといういさぎのよい男ぶりに惚れ惚れします。颯爽と豪快な登場に胸が躍る。
続いてエレクトリックギターに持ち替え『ティラノサウルス』を披露しました。CDではリズムがドラムンベース風ですが、それをギター一本のアレンジでパフォーマンス。演奏が相当達者で歌唱のリズム感も完璧。
アコギで演奏された『死の誘惑のブルース』ではシンガーソングライターらしき佇まいを見せ、CDで感じる詩の世界とは一味違った印象を持ててとてもよかったです。
そしてピアノに移り、ローリングストーンズ『Ruby Tuesday』の日本語カヴァー『さよなら、ルビー・チューズデイ』を演奏しました。背後のスクリーンに若き日のミック・ジャガーが映り、ピアノ弾き語りの日本語で歌われる“今は新しい君であっても ずっと君が好きさ”という一節に、田島さん訳はストレートで純粋な良い和訳であるとつくづく実感しました。
カヴァー二曲目はロネッツの『Be My Baby』でした。CDでは和訳の許諾がとれずにオリジナル歌詞で歌っていますが、ライブではタジマ訳バージョンで歌います。ツアーを観に行った友人からライブではタジマ訳でやると聞いていたので実際耳に出来たのがとても嬉しかったです。CD未収録が惜しいくらいこれも良い和訳で、サビのコーラスの無い独唱ピアノアレンジも趣きがあって良かったです。
そしてまたギターに戻って、『Yen』『夜をぶっとばせ』『或る逃避行』をやりました。『Yen』はCDでもパーカッションとギターだけのシンプルな曲なので弾き語り向けですが、まるでCDを聴いているかのような丁寧な演奏に驚きました。お寺でお金の歌というのもおもしろい。『夜をぶっとばせ』はストーンズの『LETS SPEND THE NIGHT TOGETHER』ではなく、オリジナルラブ(ピチカートV)のほうです。初期の名曲。今回のライブイベントのコンセプトが、“偉大なミュージシャンへの敬意”というもので、各出演者がカヴァー曲を演奏するのが決まりだったようで、それと結び付けての選曲だったのかもしれません。『或る逃避行』はストーリー性のある歌詞で、曲のほうもそれにあわせて大胆なリズム展開があるので、この曲を弾き語りで演奏しようと思うのも信じられないのですが(前述の『ティラノサウルス』も同様)、男・タジマさんは悠々とやってのけます。試みは見事に成功していました。自身の世界観の確立/確信ぶりが人並みはずれている。そしてそれに見合った技術力もちゃんと持ち合わせている。正にアーティスト!
ラストは新曲、『明日の神話』でした。タイトルからわかるように現在修復中の岡本太郎の壁画『明日の神話』をみたあとに作った曲だそうです。歌詞に“太郎と敏子のように僕らもなれるかな”というフレーズが登場するロマンチックなラブソング。星空の下、ピアノ弾き語りでこの曲が聴けるなんてとても贅沢な一時であると思いました。
田島さん最高です。気分が盛り上がり過ぎて、今更ながら自部屋にORIGINAL LOVEのポスターを貼ってしまいました。中学生の頃から好きですがさすがにポスターを貼った事はなかったなあ。今は我が家の壁で水木しげる先生のポスターと向かい合っています。▼
March 26, 2006
さよならアメリカ さよならニッポン
*「僕が最近知って嬉しかった事のひとつに“さくまあきらが学校の先輩だった”というのがあります。ジャンプ放送局で育った世代ではありますが、特別ファンというわけではなく、桃鉄は好きだけど買った事は無い。では何故嬉しかったのかというと、同じ経済学部を卒業していたからなのです。桃鉄の産みの親と同じ経済学部、なんとなく自分も何か作らなきゃという妙な使命感に駆られると同時に誇らしい気分、誰かに自慢したくなるような気分になりました。
というのは前置きで、有名人が学校の先輩だったくらいのハナシはどこにでも転がっているでしょう。それはミーハー気分で他人に話すくらいの役にしか立たないのですが、一方的な親近感を一歩越えて“ご縁”くらいになったら「やったね」ってなもんだと思います。
さて本題。卒業して数年たつものの、学校自体とはまだ腐りかけの縁が残っているようで、たまに貴重な情報が転がり込んできたりします。今回キャッチした情報は、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科の連続講演会第4回の講師が細野晴臣さんだというものでした。確か細野さんも立教大学卒業生ですので、これも一方的に親近感を感じていた有名人のひとり。喜び勇んで駆けつけた会場は、僕が所属していたサークルもライブに使っていた9号館大教室でした。ここにもまた一方的な親近感がひとつ。
そんな、母校を介した僅かなご縁なのですが、お蔭様で貴重なお話や音源を聴くことができました。
立教大学大学院 異文化コミュニケーション研究科 連続公開講演会第4回
「異文化の音、自然の音 - 音楽を<異化>する」より
生まれおちた時点で家にあったという大量のSP盤、“タイコのレコード”と呼んで気に入っていたブギウギのSPを聴いて育った幼少時代。掘っても掘っても尽きなかったであろうアーカイブに囲まれているという羨ましい境遇の細野青年が受けた最初のショックはBuffalo Springfieldだったそうです。ただそこにあるものでもない、エンターテイメントでもない、アートでも片付けられない“Something Else”に音楽のマジックを感じたそうです。例えば、とプロフェッサーロングヘアのルンバブギーを挙げていましたが、カリプソのリズムのスイングとブギウギピアノの8ビートが出会った時に生じたエネルギー・興奮のように、違うものが出会う場所が非常に大事であるとおっしゃられていました。そんな境界音楽の代表例として、細野さんがご自宅から運ばれたというSPプレイヤーから流れてきたのはナント『Hong Kong Blues』!!9号館大教室で細野さんと一緒にホーギー・カーマイケルを聴けるなんて光栄な事です。しかも異様に盤の状態がいい。この曲は『泰安洋行』でも取り上げてらっしゃいましたが、聴いて以来東京の景色が面白くなった(少し頭がオカシくなってしまった)きっかけの曲だそうです。
他にも、セニョール・ココナッツによるYMOのラテンカヴァーや、Van Dyke Parksが『Discovery America』内で取り上げていた『Bing Crosby』(という曲)のカリプソ原曲など、興味深い音源満載でした。
貴重な体験というと、コメンテーターとして参加なさっていた三上敏視さん(東京シャイネスのアコーディオンも担当)と共に公開リハーサルも披露してくださいました。公開リハーサルとは、リハーサルなので間違えても良い、譜面をみても良い、というライブで間違えがちな細野さんならではの発明のようで、昨年末の九段会館でも試みられていました。今回のリハーサル楽曲は前述の『Hong Kong Blues』と『Chattanooga Choo Choo』でした。『Hong Kong Blues』は『泰安洋行』バージョンよりもホーギー・カーマイケルの歌に寄せた具合でとてもかっこよかった。
音楽をつくることについての説明が細野さんらしくてとても良かったです。
例えば印象的な夢を見た時、覚えておきたい夢を見た時に、その夢についての手がかりとなるようなキーワードを探す事があると思います。しかし言葉にすると、自分が見たあの夢とはどうも違ってきてしまう。全体像をキーワードの集合で捉えるのではなく、ホログラフィーのように覚えておくのが夢を記憶に残すという事、思い出すという行為であるとおっしゃられていました。そしてその行為と音楽をつくる行為がとても似ていると言うのです。自分の中に眠っている夢のような何かを、メロディーではなく響きにしていくというのが細野さんの音楽観という事でした。
またレコーディングという事についても興味深い意見を述べられていて、子供の頃にグレン・ミラー・オーケストラを生で観に行った時にレンジが広すぎてつまらなかった、自分が夢中で聴いていたレコードと違ったのでつまらなく感じたそうなのです。やはり、その時代の空気感というものが確実にあって、その音をカタマリとして記録する、周波数帯域で切り取りひとつの世界をつくりだす事で、音楽のマジックを呼んでいるのだと。
…僕は音楽的なボキャブラリーの少なさを抽象化やイメージ化によって補ったり、そういった聴き方をよくしてしまいます。そんな僕にとってはこの“音楽のマジック”の話はとても頷けるものでした。そして確かに、周りで特に古いレコード(SP盤)好きの人はよくこんな話をしているのです。▼
March 16, 2006
小沢健二 "毎日の環境学"
*「待望していた小沢健二の新譜『毎日の環境学』がでました。勿論発売日に渋谷HMVで購入しましたが、昔のように生写真やポスターは付きません。(今日買ったストーンズ紙ジャケには何故かポスターがついていたというのに…)
今回は全編インスト。内容を大まかに言うと昨今の黒いエッセンスがちりばめられたフュージョンという印象です。前作『Eclectic』の楽曲もとりあげているので、延長線上という捉え方ができます。生演奏エディット感のせいかYesterdays New Quintetのアルバム『Angles Without Edges』を思い出してしまいました。
ユーザーレビュー等をみていると"エレクトロニカ"なんてキーワードも登場していますが、それで敬遠してしまう人は気になさらぬよう。どちらかというとペンギンカフェオーケストラ辺りを想起させる無邪気な音色やメロディーが耳に残るという具合ですので。
それで演奏者のクレジットを見ると英語の名前の方しかいないのですが、ジャズ畑の方々らしく演奏が上手い。録音がむちゃくちゃいい。小沢健二は作曲・プロデュース、ギターとドラムプログラミングを担当している様子。曲名といい、最早"コンポーザー"なんて肩書きがしっくりくるような手合いです。
欲を言えば彼の言葉がのっかった作品が聴きたかったなあ。
それにしてもドナルド・フェイゲンの13年振りの新作と時期をあわせたかったのだろうか。。。
春にして健二を想う。▼
January 28, 2006
ふたつのカバー(雷道と王道)
*「近頃は新譜を買ってもすぐに飽きてしまうことが多く、なんとなく紙ジャケリイシューにばかり手が伸びてしまいます。先週末はHMVがトリプルポイントデーだったので、久しぶりにはりきって買い物をしました。そして、いつもの紙ジャケ達に加えて珍しく新譜を二枚購入したのですが、気付けば二枚ともカバーアルバム。リリースが近かったというだけであまり繋がりはないような気もしますが、無理矢理“日米カバー対決”などと銘打ってご紹介したいと思います。
まず先攻はTortoise and Bonnie "Prince" Billyの『The Brave and The Bold』です。トータスをバックにウィル・オールダムが歌うというなんともお徳感溢れる企画。取り上げている楽曲は新旧ジャンル問わずといった具合で、ミルトン・ナシメントやエルトン・ジョンから、2000年以降の楽曲まで多彩に並べられています。
僕はトータスとボニー“プリンス”ビリーのどちらのライブにも足を運んだ事がありますが、明らかに演奏・楽曲の魅力のベクトルが違うので、その差異を人様の楽曲を演奏する事でどう吸収しているかが気になっていました。1曲目のミルトン・ナシメントの楽曲はそもそも歌も楽器の一部のような位置付けであり、両者のど真ん中のバランスをまず聴かせてきます。トータスのめくるめく音の万華鏡にウィル・オールダムの歌声が絡まるという、本作を象徴するレインボーな幕開けです。ミルトン・ナシメントのブラジル感はどこへやら、なんともファンタジックな色合いのジャケットとも重なります。続くブルース・スプリングスティーン兄貴の名曲「サンダーロード」はミルトンの楽曲よりも明らかに歌比重が高いですが、これは歌に寄った演奏。とはいえ、やはりどこかひっかかるイントロ・アウトロの音響的なアプローチがアクセントになっています。M4(エルトン・ジョン)、M5(ラングフィッシュ)は正にトータスの本領と言えそうな加工が施された音像にウィルオールダムの歌声が閉じ込められているような不思議な肌触りです。そしてM6(ダン・ウィリアムス)のアコースティックなアレンジで一呼吸置いた後に、突然登場するDEVOのカヴァーが凄まじいです。まるで10年未来のバンドが1980年のDEVOの楽曲をカバーしたような、表現しがたいトラック。この1曲を体験するだけでもこのアルバムを聴く価値があると思える程です。その次の米国フォークシンガー、メラニーのカバーでの演奏が実に精緻且つ洗練されているもので、映画のサントラ風。前曲とのギャップを狙った配置かもしれませんが、この振れ幅の広さには流石に驚かされてしまいました…。
そもそもボニー“プリンス”ビリーの歌声がもっていた謎の郷愁感のようなものが、トータスコーティングによりひんやりとした温度を得、ファンタジックな方向性で開花していて面白かったです。
後攻のオリジナル・ラブは端からコンセプトくっきりな選曲となっています。ローリング・ストーンズ、ドアーズ、ピンク・フロイドなど60'sロックの定番や、ロネッツ、ペトゥラ・クラーク「ダウンタウン」など正に60'sポップスの定番から選曲。きっと一人で選ぶのは絞りきれず大変だったのでしょう。
サウンドは前作「街男 街女」を踏襲したような感触ですが、そこはロックの名曲を演奏する喜びかラフっぽさもありたまらないです。歌もそれと同じ空気感でフレッシュなノリが良い方向に作用しています。当時のロックの、若々しい恋の喜びや哀しさを歌った歌をストレートに日本語訳していて、そんな歌詞も背中を後押ししているよう。
アルバム中2曲はスカパラが演奏していてスカ/レゲエのエッセンスを導入しています。これは好みが分かれる所もありますが、アレンジのバリエーションや先行シングルのインパクトとしては正解かと思います。男臭いコーラスも賑やかで楽しく、アルバム全体の風通しを良くしています。
ルビー・チューズデイの印象的なドラムスやビー・マイ・ベイビーのコーラスなどマナーとも言えるポイントはきちんとおさえつつ、たまにやんちゃなギターや突拍子もないチープな電子音などの遊びゴコロを織り交ぜたりと田島流解釈を爆発させています。
今作でのキーワードは、唯一日本人のカバーであるフォーク・クルセイダースの楽曲名に含まれている“青年”でしょうか。田島さんはおいくつなのかわからないけれど、こんなかわいいおじさん他に居ないと思いました。全10曲で30分程度というところも、とてもいい。
以上、並べてみたら全くアプローチの違う二作ですが、どちらも聴きどころたっぷりでオススメですよ。ただ、個人的な気分でいうとよく聴くで賞でOLに軍配でしょうか。ルビー・チューズデイとかカラオケで歌いたいなあ。▼
December 28, 2005
細野晴臣&東京シャイネス@九段会館

*「今年はライブとの縁が薄かったような気がします。一月にあがた森魚さん×岸野雄一さん、二月のダン・ヒックスまでは調子がよく、月一くらいは行きたいななんて思っていたのに、三月に楽しみにしていたレッド・クレイオラ×サーファーズが納期直前の為にいけなくなってしまい、それから暫らくライブを観に行く機会がありませんでした。結局このblogにも書いたスチャダラ出演のHMVイベント、ゲイ・サーファーズ・オン・アシッド、Shiba in car …などなど指折り数える本数で十二月を迎える事となり寂しくおもっていました。しかし、年の最後に運良く細野晴臣&東京シャイネスのチケットが手に入り、ド寒い年末の夜空に良い宴を期待して会場の九段会館へと向かいました。
細野晴臣&東京シャイネスとは夏に狭山で行なわれたハイドパークフェスティバルに出演したバンドで、細野さんが久々にギターを持ってボーカルをとっているという話題のバンドです。楽曲も73年の『HOSONO HOUSE』からのチョイスが中心らしく、あの頃を懐古する年代の方から、あの頃に夢を膨らませる若者、コーネリアスの子供までお客の年齢層は広かったです。会場の九段会館は初めて行ったのですが、建物は古くてかなり良い感じ。正月飾りもしてあって年末の雰囲気漂う場所でした。どうも関係者札の方が多いような気がしたのですが…e+一般予約な僕は3階ぬ列、3階はかなりの急勾配でステージを見下ろすようなロケーションです。なんだか山の斜面にたまに突然設置されているお地蔵さん群みたい。
前座のKAMA AINAは青柳さん1人でかなり変な事をやっていました。遠目だったので抽象的な表現になりますが、HIPHOPメソッドでワールドミュージックを切り貼り再構築しているように見えました。世界各地の様々なビートをがしがしと差し替えしつつ、これまた世界のどこかのメロディーをまるで上モノトラックのように重ねていくというもの。全て人力、しかも一人。なんとなくDJ SHADOWのライブを想起しました。オタク受けしそうな怪演なり。眼前に広がる九段バレーの闇は深い。
そして開演から30分きっかりで細野晴臣&東京シャイネスが登場しました。1曲目「ろっかばいまいべいびい」のイントロが始まった途端に大歓声。続くのは「風をあつめて」~「暗闇坂むささび変化」~「僕は一寸」と、出し惜しみ無しで全開ですが、早々に「風をあつめて」の歌詞をとちっていました。はっぴいえんどでのレコーディングの時から歌ってないのだそうです(ホントか?)YMO「LOTUS LOVE」~「恋は桃色」の後は、演奏のニューオリンズ度が高まり「Pom Pom蒸気」、公開リハーサルと称してブルースの名曲のカヴァーへと突入。まあ難しい曲をシャイなみなさんとても上手に演奏なさる。特に浜口茂外也さんのドラムが素晴らしかったです。細野さんの唄も、練習し過ぎて声が出ないとおっしゃっていましたが段々調子があがってきたようで「チャタヌガチューチュー」はかなり凄かった!いつものおとぼけキャラクター炸裂のMCもよかったです。「夏なんです」あたりではよく聞いていた頃を想い出して胸が熱くなり、今の季節にぴったりの「終わりの季節」~本編ラストの「はらいそ」と夢のような演奏が繰り広げられました。やはり「はらいそ」は今でも唄ってもいいと思えるくらいに思いいれの強い曲なのだそうです。
アンコールでは歌詞をとちってしまった「風をあつめて」をもう一回やり、ゲストに環太平洋モンゴロイドユニットのメンバーを加えての坂本冬美「幸せハッピー」、そしてSKETCH SHOWの楽曲で締めくくりました。
あまりに惜しみなく演奏される名曲のオンパレードは圧巻で、懐かしい日々の想いでと共にとても気持ちよい年末のひとときを過ごせました。今夜はDVD撮影も行なっていたのでそのうちリリースされると思います。また、コンサートパンフによると、2006年に11年ぶりのボーカルソロアルバムを出すとの事。御年57歳、ますますご清栄で何よりです。▼
September 23, 2005
The Rolling Stones "A Bigger Bang"
*「前回のエントリーにも書いたようにリスナー歴たかだか10年の僕は、リアルタイムで“かっこいいストーンズのアルバム”の発表に立ち会った事がありません。おそらくオリジナル盤でいうと『ヴードゥー・ラウンジ』と『ブリッジズ・トゥ・バビロン』…なので、ずっとベスト盤止まりでした。それで数年前レコード店で働き始めてから漸くアルバム単位で遡ってみて、やっとその偉大さを想いました。愚かな事に。
しかし高校時代に読んだSF小説のせいであれほど憧れたブライアン・ウィルソンの『スマイル』だって、おじさんの声で今更録音されたってなんとなく夢が壊れてしまったような気がしていたし、況してストーンズなんて90年代以降の作品が実際問題あまり聴けないだけにもう…(略)そんな気分で新作の噂を耳にしても特に気に留めていませんでした。しかし、ラジオから流れてきたストーンズの先行曲になんとなくいい予感がして、その後もぽろぽろとオンエアされる新作からの楽曲を聴き、これは傑作だ!と確信。アルバムの発売(CCCDでないUS盤)を待ち望むまでその期待は高まりました。
“今の音”と所謂“ローリング・ストーンズ”がいい塩梅で折衷しているというか、悪い意味でなくスリリングというより安心感のある作品です。良い音で聴けるロック・サウンドは紛れも無く今ならではの楽しみの在り方だと思います。そして単純明快に気持ちの良いリフとサウンド、グッとくるメロディーと声、まるでロックンロールの醍醐味をただ愚直に吐き出しただけのような。それでいて、たまに今っぽいスパイスが効いたサウンドが登場するのは、ドン・ウォズの仕事でしょうか?当初はミックの口から“ダスト・ブラザーズ”なんて名前も登場していたようです。それはそれで聴いてみたいとは思いますが、またドン・ウォズだったのが吉と出たという気もしてなりません。彼の手腕でコントロールしてるのかはわかりませんが、セル・アウトの度合いがなんとも絶妙です。例えばM-4のドラムなんかはピザとコーラでMTVなキッズ達にもアピールできそうですし、M-5のようにもろに日本人が好みそうなバラードもあります。かと思えば続くM-6はブルーズだったり、M-9のキースヴォーカル曲もこの秋味わい深い1曲。全部で16曲もある長尺アルバムなのにわりと飽きずに聴ける、今の僕にはとても安心感のある一枚です。▼
September 12, 2005
Back to the 90's
*「持ち前のライトなピカっとした頭でブログ本も出ちゃうらしい、俗界に明るい松本・ドライ・坊主のお導きで『Back to the 90's』なるライブイベントにお邪魔しました。HMV15周年ということと、文字通り90年代回帰がコンセプトのイベントらしく、出演はクレイジー・ケン・バンド、スチャダラパー、LAMP EYE、YOU THE ROCKなどでした。(他様々な面子が代わる代わる出演しながら全国をツアーしていたようです。)
金曜の夜、仕事を終えてから会場のSHIBUYA AXに到着すると、既にLAMP EYEが点灯中でした。ビールを飲みながらロビーを行き来しているとなんともいえない懐かしい気持ちがこみ上げてきます。会場にベビーカーをひいてくる界隈ではちょっとした'顔'っぽいクラバーママ、同じくライブハウス耐性をつけさせた我が息子を関係者に紹介して歩くストリート感残るパパ、SONIC YOUTHのWASHING MACHINEをはじめとするなんとも90'sな Tシャツ(!)…などなど、同行者曰く90年代コスプレパーティーな会場に胸をしめつけられる想いがしました。
そして始まったスチャダラパーのライブ。BOSEもMCにて「今日はあの頃っぽい格好をしてきました」との事。なるほど、今日は90年代同窓会だったのか!客層を見回すと確かに20代半ばより下はあまり居ない模様でした。ライブは90年代後半のアルバムから3曲程やった後は、昨年出た新作から2曲を披露。何故か縁が無く、今まで見る機会が無かったスチャダラパーのライブですが、長く続いてるだけあるさすがの実力で、期待を裏切られるような事はありませんでした。そして、ロボ宙をセンターに据えたアグレッシブなトラックに引き続いて流れてきたのはボビー・ハッチャーソンのビブラフォンのあの音色…『サマー・ジャム2005』。前日リハ時の快晴っぷりを見て演目に入れたという10年越えのサマーアンセムにすっかり(以下90年代っぽく)ヤられちまいました、ねえ。
『サマー・ジャム'95』から10年、音楽を色々と聴きだしたのが94年だったので、僕も既に10年選手かあと感慨に浸ってしまいます。当時中3の僕は雑誌に載っている渋谷系のお兄さん達の推薦盤を地元の光が丘WAVEで購入。そこに売っていないものを探しに池袋のタワーレコードやHMVに行くのはちょっとしたイベント枠でした。色々想い出すと嬉し恥ずかしな思い出がたくさんあります。同世代のみんなで当時買ったCDを持ち寄って、90年代反省会でもやりたいなあ。▼
August 04, 2005
ローカル・バトン(B編)
*「NY在住、髄までBが沁み込んだTENKA IPPIN BOY ITARAKIより、ミュージカル・バトンならぬ「Bバトン」が回って来ました。B好きはチェック・イット・アウト!
1,コンピュータに入ってるBのファイルの容量
2092KB:毎年僕の誕生日のちょっと後にITARAKIとサイランが届けてくれるCDには、彼らによるB'zのカヴァーが収められています。その『あいかわらずなボクら』のカヴァーバージョンを、ネット上でレア・ライブ音源と偽って流出させるべく取り込んだファイル1曲のみ。
2,今聞いている、もしくは最後に聞いたBの曲
BEAT ZONE 2005:ITARAKIとサイランがNYでRECしたラジオ番組「BEAT ZONE」(TOKYO FM 赤坂泰彦のミリオンナイツ内)の2005年ヴァージョン。
3,初めて、最後に買ったBのCD
初めて:Lady Navigation - "僕らの目覚まし人"という歌詞がありますが、どんな人だろう?小学生の頃の想像ではドリカムのCDを全部持っていて、主にセロリとアクエリアスだけで生きているようなWOMAN。
最後:The 7th Blues - ブルースではなくブルーズと読ませる辺りに、本物志向の彼らのこだわりがとれるブルーズの構図のブルー。おこづかい的には厳しい二枚組。
4,よく聞く、または特別な思い入れのある Bの5 曲
1) B ・U ・M
KOHSHIのキックするライムがあまりにもCOOL過ぎて、英語をカタカナで紙に書いてRAPの練習をしました。その後僕が思わずadidasを履いてSTREETに出たのもKOHSHIの影響。マジペクトKOHSHI!
2) BE THERE
なんといってもイントロ。後にPREFUSE 73が踏襲するCHOPの手法もここに原型があります。そしてFATなブレイクビートでGet down!
3) DA・KA・RA・SO・NO・TE・O・HA・NA・SHI・TE - OFF THE LOCK STYLE
恐らく当時のDANCE系12inchの風潮に乗じたMix Version。洋楽志向のB'zは、ついでに英語に換えて歌っています。妙に長いイントロは早く歌が聴きたい年頃の僕らには妙にアーティスティックにうつったものです。TAKもNEW ORDERとか聴いていたんだろうか?
4) Boys in Town
まるでプリファブスプラウトのようなこの青春の眩い感じ。いつになく繊細さを表に出しているKOHSHI。シャッターにもたれて憂鬱な始発を待っている僕らのポケットの中の七日間戦争。TOKYOの空とLONDONの空は繋がっている。
5) BAD COMMUNICATION
B'zのWILD & EROTIC SIDEを象徴する1曲。Gimme Your Guitarと書いてキミはギターと読ませる力技には笑うしかない。身も蓋も無いオトナの世界に一抹の不安を覚えました。
5,Bの曲のなかで好きな歌詞(複数可)
◆「天国のジミヘン達と スポット浴びて同じステージ」GUITAR KIDS RHAPSODY :当時、これを聴いてジミ・ヘンドリックスのベストを買いました。サイケデリックへの入り口もBが切り拓いてくれた。ステージ上にはジミヘンの他に誰が居るのかがとても気になる曲。
◆「マーヴィン・ゲイじゃなくて、エアロのビッグ・サウンド」CRAZY RANDEZVOUS:当時、これを聴いてマーヴィン・ゲイのベストを買いました。初めての黒人音楽もKOHSHIが教えてくれた。マーヴィン・ゲイってバンゲリング・ベイと似てるなー、と思っていたあの頃。
◆「デビッド・ボウイ貸りたまんまだね、いいの?」It's Raining:アーバンなマンションの一室、彼女と電話でのトレンディな会話。KOHSHIの妄想は最早狂人の域です。勿論当時、これを聴いてデビッド・ボウイのベストを買いました。そして大学にはいってITARAKIと出会い、一緒にデビッド・ボウイのコピーバンドをやりました。
◆「得意なのは統一された洋服とダンスのステップ だけど、悲しいかな最先端の話題は地球と自由と革命のカラミ」HOT FASHION:右脳派をきどりつつも、政治的な色をちらりと垣間見せるKOHSHI。博識だなあ。
◆「全てがSparkling 飲み干そう 自己嫌悪も今のうちに 乾杯 TO ME HOLY NIGHT KISS 今夜はデカすぎる夢を語るよ」HOLY NIGHTにくちづけを :楽天も真っ青の楽天家の一面をモロに見せるKOHSHI。軽薄だなあ。
◆このほかにもB'zは帯文句が素晴らしい
例:「エンドレスで、かまわない。止めるまで、DANCE空間。」「マインドも進化する」「最先端から加速する。」など
6,バトンを渡す5名
稲葉孔子、卓松本、明石昌夫、坂井泉水、MAI.K ▼
June 21, 2005
ミュージカル・バトン
*「フリスクさんより回ってきたMusical Batonに答えます。
音楽に関する様々な質問と回答です。
・コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量
10.2GB (MP3/WAV)
・今聞いている曲
http://soundresearch.narod.ru/engcassettedj.htm
・最後に買ったCD
「Be」 COMMON
・よく聞く、または特別な思い入れのある5曲
「夢が夢なら」 小沢健二
歩きながら聴くのにいい曲。高校生の時の通学路を想い出します。1曲の中で季節が変わっていくのは細野晴臣の「四面道歌」方式。日本ならでは。
「Blue Monk」 Thelonious Monk
レコード店で働いていたときに店でよくかけていました。“モンクが好きなヤツは変人”というのが定説にされていました。アルバムの始まりの曲としてのインパクトは凄い。確かに変。
「Everyday」 Yo La Tengo
始発電車や夜明けを走る夜行バスで聴くと心地よいまどろみが得られます。この曲で始まるアルバムは、旅には必ず持っていく一枚。
「Let Me Turn You On」 BIZ MARKIE
みんなのアイドル、ビズ・マーキー。部屋で踊りたくなったらこのレコードをかけます。とても楽しい。
「Shipbuilding」 Robert Wyatt
ロバート・ワイアットはどの曲を選ぶか迷ってしまいますが、「1982-1984」というレコードの1曲目にこの曲が入っています。ジャケットのイラストがかわいらしく、友部正人さんによるライナーがついていて、とても気に入っているので。
・バトンを渡す5名
立教大学卒業生(?)
KeN-∞1さん(HP/mixi)
→学生時代、共に行ったライブは数知れず、彼のライブを見に行ったのも数知れず
Imharuさん(HP/mixi)
→Massive Attackのライブの時マッド・プロフェッサーをマッド・プロデューサーと間違えて呼んでいたエピソードを気に入っている
ゴトウイジャクさん(mixi)
→ライブ会場でばったり率高し。クアトロのトイレでは2,3回ばったりしているし、よみうりランドTPCやヨシカミでも
てるさん(mixi)
→高校時代のほとんどのライブは彼と。嵐のファースト・フジロックも共に凌いだ。
サイトウヨシアキさん(HP/mixi)
→ほぼ立教生枠なのでエントリー。最近のライブはすれ違いばかり、ダン・ヒックスは彼が行けなくなり、レッド・クレイオラは僕が行けなくなり…
以上。
面倒でないかた、よろしくお願いします。
June 15, 2005
COMMON "Be"
*「カニエ色に染まレビュー第二弾、先ごろリリースされたCOMMON待望の新作 "Be" です。John Legendで自らのアクの強さと素材の持ち味の両立を成し遂げたカニエ隊長、次にハサミをいれるのはCOMMONのアルバムで、しかもテーマはバック・トゥ・ベーシックだという。
COMMONといえば、前作で多彩なゲスト(MARY J.BLIGEからSTEREOLABのレティシアまで)を迎え、プロデュースはクエストラブという正に意欲作な "ELECTRIC CIRCUS"をだしています。比して今作"Be"はウッドベースの暖かいソロに導かれてスタートします。王道なサンプリングループが流れ出しCOMMONのラップが乗れば、それだけで過剰な装飾は必要ありません。ゲスト陣も Feat.Kanye West and John Legend以外はLAST POETS(!)しかいません。あと、"THE KIDS"。これは本当に子供達で、ラストの曲でそれぞれの "I Wanna Be..." を語ってくれます。この曲だけプロデュースはジェイディラを起用しています。
John Legendのアルバムと比べて、カニエ隊長の仕事としては本領発揮といった具合で、一緒に考えながら作ったというよりは、一緒に楽しみながら作ったという空気がよく伝わってきます。バック・トゥ・ベーシックでありながらも、新しい風をとりいれるという意味でカニエ隊長の起用は成功だったのではないでしょうか。流行りのプログラミングビートが度合いを増し、いささか過剰気味となってきた中、こういったHIPHOPの昔ながらのサンプリングビートの楽しみが味わえる良作は貴重です。長く聴く一枚になりそう。▼
June 14, 2005
John Legend "Get Lifted"
*「昨年末~今年頭にラジオでもよくかかっていたJohn Legend、Kanye Westプロデュースのシンガー・ソング・ライターデビューという触れ込みで僕も期待して購入しました。あくまでJohn Legendの歌とピアノと曲を聴かせるという、カニエ隊長の“アクが強いくせに気配りプロデュース”が功を奏した名盤となっていました。
サンプリングループの上で呪術的な響きを発するピアノ、曲によってはボブ・マーリーの面影をうかがわせる歌いまわし、この辺りの要素はカニエ隊長大活躍といったトラックと非常に相性が良いと思います。
逆に、70年代のソウル・ミュージックや、時にThe Bandなんかのバンドのスケール感も感じさせるとにかく“いいうた”系の曲は、ピアノと歌を中心にすえたアレンジでカニエ色は後陣へ。それでもストリングスやコーラスのアレンジなどはよく練られてあり、ゴスペルのような壮大な楽曲も素晴らしい仕上がりです。
個人的には、ブートのライブ盤で聴いたTalking Headsのカヴァー“Burning Down The House”に心をえぐられたので、あのライブのようなバンド編成でガシガシ演るJohn Legendが聴いてみたいです。次回は是非生バンドのみでの録音を期待。▼
June 12, 2005
Tokyo No.1 Soul Set "Outset"
*「弟が買ってきたTokyo No.1 Soul Setの新譜を聴きました。今回はハウスアプローチの楽曲が目立つせいか一聴した限りでは“クラブ・ミュージックの権化”みたくなっています。3人が同じ方向を向いているのか、誰かに合わせているのか、なんとも洗練されていて、とても今風。昔のような三者三様のいびつさは感じられず、全体的に漂うのはまさにZOOT SUNRISE SOUNDのようなイメージ。そして夜から明け方へ。
ZOOT SUNRISE SOUNDのボックスセットを作るっていう会議でスチャダラアニが発言したという「ZOOT 16なんだからずーっと16才の気持ちで」は名言ですが、僕が初めてソウル・セットを聴いたのも確か16才前後だったなあ。大ネタぶちかますかんじのDJに、ダサかっこいいかんじの男気ギター、そしてなんかつぶやいてるかんじだけどやけに耳につくフレーズを吐いてる人。風貌も異様で、たそがれてる東京の若者なんだなあという印象でした。それに対して、明け方を想起させる楽曲がちょうど良いスペースで収まっている今作、なんか落ち着いている、と思いながらビッケの歌詞に目をやると、これも同じくでした。夜に臨みやり場の無い感情を内部にこもらせているというよりは、希望の朝日を迎えたような視野的に広がりのある言葉達…。サウンドも含め、「ずーっと16歳でって言ったじゃん」などとは言わずとも、少し馴染めぬ自分に少しの寂しさもおぼえ。▼
April 26, 2005
Fishmans "空中" "宇宙"
*「フィッシュマンズのベスト盤+レアトラック集「空中」「宇宙」買いました。「なんでも売り物にするね」というごもっともな意見を背にうけつつもやっぱり、若々しい佐藤慎治の声が聴ける"Blue summer"の宅録デモや、「空中キャンプ」の魔法に近付けそうないくつかのデモバージョン、ライブや関連イベントでしか聴けなかった未CD化音源等はファンにとっては嬉しい限りです。あとはなんといってもリマスタリング!過去の名曲がいきいきとよみがえり、フィッシュマンズ自身の選曲でメディアレモラス/ポリドール音源問わず並列に並べられているという事が素晴しい。"ナイトクルージング"以前/以降で分けて聴かれる傾向があるような気もしますし。
リマスタリングとなるとやはり収録曲が気になってしまいます。"自身の選曲"がミソ故にあまり文句はつけられませんが、個人的によかったところは"Melody"がシングルバージョンで収録されていること。HAKASE大活躍のシングル版のほうが好きなので、こちらがリマスタリングされているというのは嬉しいトコロでした。逆に残念なのは、"チャンス"と"ひこうき"がどちらもライブバージョンを収録しているということです。実質1stから収録された曲は無し。1stの録音のリマスタリングを聴いてみたかったです。
こうなったら全アルバムリマスタリングしてほしいです。好事家向けのボックスセットとして多少高価になっても買ってしまいそうです。
April 08, 2005
Beck "Guero"
*「2005年初頭はBECKの『Midnight Vultures』とPrinceとOutkastと岡村靖幸とN・E・R・Dをシャッフルで聴いていました。すると、声が出てくるまでは誰なのかよくわからないというむずかしめのイントロクイズ集"プリ色に染まれ"になってしまいました。そんな素敵な『Midnight Vultures』ですが、発売当時はフジロックでの生デボラの興奮も冷めてしまった頃でなんとなく購入しませんでした。しかし今更借りて聴いてみると楽しくてよく出来たアルバムだという事がわかりとても気に入っています。学生時代は『ONE FOOT IN THE GRAVE』などフォーキーなベックを好んでいたので、趣味の移行も関係しているかもしれません。
そこできた陽サイドのこのアルバムは僕にはジャストタイミングで、期待感も募りつい限定盤を購入してしまいました。DVD付きというだけで国内通常盤とUS盤が買えちゃうくらいの値段の嗜好品ですが、ディジーラスカルのRemixが興味深く、また収録されている『E-PRO』のまんまナイトメアビフォアクリスマス・ワイヤーフレーム版といったPVもなかなか気に入ったのでフンパツ。DVDのほうはビデオクリップ2曲の他に全曲のDVDオーディオトラックと、全曲のVisual Mixが収録されています。このVisual Mixは、要はアルバム収録曲にVJ映像がついているという代物で正直中途半端です。DVD Audio再生プレーヤーを持っていない僕としてはDVDの内容はちょっととっちらかっているように見えます。Remixの4曲は、"まあなんだかんだでRemix"という感じなので、通常盤購入でも問題なさそうです。あとは日本盤ボーナストラック3曲が派手めな曲(本編より目立っている)ので国内盤買ったほうが長く楽しめそう(Destiny's Childの近作もそう思ったなあ…)
本編の内容はもはやベック内タイムレス。よく言われているように、キャリア総括といっても過言ではない程の紛れもないベック印。それこそ彼が登場してきたときのブルース/ヒップホップ/フォーク等のゴッタ煮サウンドやら、その後現したブラジル音楽テイストやら、プリンス趣味やらがここそこに顔を出してきます。特に『Odelay』の時の砂っぽい暑さとクーラーが効き過ぎている部屋が両立している空間というか、90年代バリバリのジェネレーションX感覚もよみがえってくるサウンドが懐かしいです。『Broken Drum』辺りは特に、東武東上線志木駅から学校への果てしない(と思えた)道のりを思い出します。追試の追試、グエ。
それこそ『Odelay』の10年ぶりのアップデート版という感じですが、随分お金かかってそうだし、なにより音楽への愛情がこもっている一枚です。限定盤はDVD-Audio付という点も含めて長く楽しんでねという配慮が感じられます。アートワークも本のようで凝っているので、"BECKが青春時代のアイドル"という世代は迷わず限定盤いっときましょう。今ならまだAmazonで買えてしかも安くなっています。▼
April 08, 2005
Mercury Rev "The Secret Migration"
*「今年の夏にはフジ・ロック・フェスティバルでの来日も決定しているMERCURY REV、3年ぶりの新作は、幽玄壮美な装飾音の霧と樹々に見え隠れする引き締まったバンド・サウンドに注目です。
95年発表のアルバム"See You On The Other Side"「向こう側で逢いましょう」なんてヒガンじみたタイトルで夜明けの来ない世紀末的狂騒音楽を鳴らした彼らは、続く4作目"Deserter's Songs"「見捨てられた者の歌」にてアメリカン・ゴシックの闇の中で妖しげに光を放つサイケデリアを垣間見せました。5作目のタイトルでは"All Is Dream"、つまり「全ては夢」宣言をし、ストリングスを多用した夢心地過多なサウンドを展開。一躍現代のヒガン・ロック・バンドの王座に君臨しました。その楽園志向がファンタジーを超え、もはや居心地の悪さまでを感じさせるが故に、6作目となる今作での展開には期待がかかっていました。結果、肩透かしをくらってしまった人も多そうなある意味でのスケールダウン路線が一筋縄ではいかぬ彼らの奥深さを感じさせます。
"See You On The Other Side"を入り口の作品と捉えるならば、この作品は出口のようなイメージです。一時は仙人になりかけた彼らが柔軟性に優れたしなやかな実体を得て還って来たような感じがします。マジカルなパワーは残しつつもロックバンドならではの肉体性を活かしたアンサンブルを中枢に据え、その絶妙なバランス感覚が今の空気と非常にマッチしています。"往って、返ってきた"というにおいが音全体から放たれていて、正に両岸の味があるヒガン・オンガクと称すべき一枚です。▼
February 21, 2005
2004年の10枚
*「2005年もひとつきと三分の二くらい過ぎて何を今更といった具合ですが、なんとなくエントリーしぞびれていました。新年の予告を大幅にオーバーしましたが所謂ミュージックマガジン的なアレ、“ベスト・アルバム2004 ~遠藤選~”を今此処に。
2004年は特に歌がたくさん入ってて楽しいやつをよく聴きました。中でもプリンスが一番良かったです。Stereolabの新譜が良いというウワサを耳にして久々に聴いてみたら凄くよかった。今までのやつで一番好きです。相変わらずの作りこみもさることながら、曲がとてもいい。スチャダラは長期間ためただけあるsure shot。Two Lone Swordsmenは昨年買った唯一のパンクアルバムでした。しかも、会社帰りに。Giant Sandはヒガン・ロックの塊と化したハウ・ゲルブのアウトサイダーパパっぷりが相当男前。Jeanne CherhalはSonic Youth好きのシャンソン歌手という仏若手実力派で、とても良い曲を書くSSWです。ケリスは可愛いのでいれました。遂にNASと結婚してしまったけれど…。ORIGINAL LOVEは中学生の頃からのファンですが、ここ数年の作品は特に好きです。彼岸も此岸もその間も、境界構わず駆け回る街男の大傑作。大味な狂いっぷりに惚れます。そして、年末はあがた森魚さんとデビッド・バーンをよく聴きました。ワールドミュージックをまわってきた二人の男性の歌声を聴いていると、間違いなく世界の空はつながっていると感じました。
追記:
忘れていないライブはBonny "Prince" Billyと陽気なヤツら@NEST。
忘れちゃいけないと思った人が再発したんだろうとナットクしたCDはLizzy Mercier Decloux"Press Color"
忘れてたけどそういえば出てないCDはRobert Wyattの発掘ライブ盤。いつでるやら。▼
December 26, 2004
Giant Sand "Is All Over the Map"

*「 枯れている。枯れているからデザートロックなんて呼ばれるのでしょうか?キャレキシコの二人との別れ、なんとも渋いカバーアルバムを経て、もう届かないかと思われた砂漠のバンドからの便り。冒頭から硬質なドラムスと過度に金属的に変換されたギターの音が、他を寄せ付けぬ孤高の響きを放っています。そしてハウゲルブ独特のしゃがれ声。この砂漠の語り部の声から滲み出る様々な情報は、ロックンローラー・ハウゲルブのストーリーを妄想するに充分です。弾き語りのシンプルなソロアルバムの経過を踏まえれば納得な大胆なアレンジ・奇抜な録音のハードロック曲から、趣向を凝らした編成とリズムながらメロディーの美しさが際立つ静かな楽曲まで、カバーアルバムで垣間見せたハウゲルブの膨大な引き出しから出した材料をざっくり男の料理。この、"休日にパパが腕を奮ったような無骨だが美味な食事"の後には、ハウゲルブの実の娘さんが歌声を披露して(曲はアナーキーインザUK!)砂漠に水、正にデザート代わりと花を添えています。この曲だけは、枯れていない、甘いデザートロック。▼
November 18, 2004
DJ百物語@盤町皿屋敷
*「呼ぶのか?呼ばれるのか??百枚目のレコードの回転が止まった時、道玄坂に怪異は起きるのか!?
■A子さん(18)の証言
「友達の友達から聞いたんだけどね、その子の先輩が、あの道玄坂のクラブでDJやった時に、なんか不思議な事が起きたんだって…
■B太くん(16)の証言
「ありえないよ!30人なんて、それなのに、100人だなんてもっと無理だよ!きっと何かよくない事が起こるよ…
■C美さん(21)の証言
「私はやめたほうがいいって言ったの…そんなのよくないよって、でも、アイツがやるってきかないから…
■D野くん(20)の証言
「で?100枚目が回り終わった時、ナニが起こったの??
★以下、"T"RUST OVER 30 recordingsより転載
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初めての宙!君とchu!
『"T"RUST OVER 30 recordingsプレ旗揚げ興行
/30人以上DJ数珠繋ぎロイヤルランブル240分1本勝負』
~やいやい、恥ずかしがらずにお前も一曲持って来いや!~
2004.12.11(sat) 17:00~21:00 @渋谷 宙
♪ 1年生になったら1年生になったら 友達100人できるかな?♪ 世田谷区立多聞幼稚園年長に上がると毎日のように唄わされた歌。30歳を超えてなお、この歌が頭に響く。と同時に、携帯電話のメモリーには確かに400近い人々の電話番号、 それは小さなボタンを数回押せばその人とつながれる最新のコミュニケーション。果たしてこの中の何人が”友達”なのか?いい大人になった今、友達100人できているのだろうか?試みは今一度、友達100人化計画・・・。
第一章、30人以上DJ数珠繋ぎロイヤルランブル240分1本勝負!
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参加者全員、一曲ずつ持ち寄って入り口で引いたくじ引きの順にそれを数珠繋ぎでかけて行く。そして酒を飲む。ただそれだけです。奮ってご参加ください。
ここに顔出してくれることでなんか新しい”人の輪”ができれば嬉しい。
~参加者皆様へ~
□キャパ60人の大変小さな箱です。事前予約で定員に達することが予想されます。お早めに“T”RUST OVER 30 recordingsまでメールでご参加の旨をお知らせください。後でキャンセルされても構いません、その際はまたメール下さい。
□当日は思い出の一曲、オリジナル曲等、全員にくじ引き順で一曲ずつ曲を流していただきます。音源のお忘れなき様!
□チャージは千円(ワンドリンク込み)の良心価格に挑戦しようと思います。お友達お誘いあわせの上、是非ご参加ください!
□詳細は随時"T"rust over 30のHPにアップします。
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…僕が以前、道玄坂の宙でイベントをした時、全体のノルマが30人だったので、「じゃあ30人が全員DJだったらタダ?」という愉快なとんちが実態を得ました。この頃、目出度く"T"rust over 30というレーベルを立ち上げたシオミ氏先導で、新レーベル立ち上げイベントとして通称”30人以上DJイベント”をやることになりました。(レーベル名とイベントコンセプトが別発想なのにガッチリ握手しているし…)
勿論ディージェイ妖怪えんらえんらも参列します、音盤百鬼夜行。みなさんも奮って参加してください。1曲だけ選ぶっていうのは、とても難しく、そして楽しいものです。帰り道は夜の道玄坂をレコードジャケットの百鬼夜行にしましょう!▼
November 06, 2004
Neil Young "greendale (film)"

*「試写会のチケットが手に入ったので、見てきました。Nヤング翁、DEVOと撮ったやつ以来だからほぼ20年振りの劇映画作品。まず驚いたのが会場である吉祥寺バウスシアター前に並ぶ人々!人数が多いとかそういうことではなく、なんともインパクト大きめな人々がズラリ。目の前に並んでいたイイ顔系の初老の男性はBOSSジャンをお召しになっていて、正にジャパニーズ・リアル・Nヤングといった装い。これは魂(ソウル)。ネルシャツにハットに髭というNYコスプレのステレオタイプな出で立ちのシルバートラクターが似合いそうな中年男性も注目度大といったところ。これは形(スタイル)。そんな、気合いの入った懲りないメンメンはとにかくツラがどれも個性的で良かったです!
会場に入って、そういえばCDの”greendale”を聴いたことが無いなーなんて思っていたら、受付でもらったチラシの裏にNYからのメッセージとして「もちろん、どの街でも、どの国でも、オーディエンスはみんな、昔の曲や、ヒット曲を期待して会場にやってくる。なぜかというと、TVとかメディアに誘導されているからさ。~(中略)~新しい作品についてはほとんど関心を示そうとしないし、たとえば僕のオーディエンスはみんな”孤独の旅路”を聴きたいと思っているはずだ、という前提で番組を作り上げていく。」と、書いてありました…ごめんなさい!NY…。
そんなNYの言葉にうたれた僕は、うわっついた気持ちを引き締めてスクリーンに向かいました。内容はCD”greendale”に映像をつけたというもので、言ってみれば長いPV。松本零二とDAFT PUNKの"インターステラ5555"みたいな感じ??チラシ情報によると「環境破壊、マスメディアの問題、ホワイトハウスや大企業への批判も厭わない反骨精神、そして未来を担う若い世代への希望…」なんてキーワードがつらつらと…。
見終えると、NYのそのキラキラした瞳が未だダイヤモンド(DM)のように光り輝いている事がわかり、ちょっと胸が熱くなります。なんだ、NYは"Rockin' In The Free World"のPVからちっとも変わっちゃないんだ…と本気で思わせてくれるような映画です。彼はみんなから愛されていて、こんな映画を作れてしまう所が凄い。極東の島国の試写会にネルシャツwithハットのイイ顔系を集めてしまうところが凄い。兎に角、ニール・ヤングという人物の器のベラボーさが不思議な角度から眺められる映画です。
観客の撤収の手際がやけに良くて、みんな妙な余韻と眠気を残しながら動かずにはいられないといった感じで出口へと向かう中、明るくなった館内に流れたのは"My My, Hey Hey"。まんまとメディアに誘導されてしまっている僕なんかはバウスシアターのはからいに思わずニヤリ(NY)▼
October 27, 2004
羅針盤 "いるみ"

*「序盤、特に3曲目などはジョン・ケイルとモーリン・タッカーが乗移ったか?というほどのミニマル・ロック。居心地のむず痒いテンポのビートとギターの刻みに載せるきれいなメロディーが正にベルベット・アンダーグラウンドのよう。ジャーマンロックのアンダーグラウンドの湯加減ではなく、アメリカン・サイケの温度感と言った方がしっくりくるのは何故かしら。山本精一さんという存在がシンガーソングライター的な文脈も捉えているから?
羅針盤は前作 "福音" である種のストイックさを携え、次のステップに進んだというような印象を受けました。その要因として考えられるのはタイトルや歌詞にも顕著ですが、宗教的と言えるほどの神々しさを垣間見せていた点も挙げられます。それまでの彼岸のひだまりを抜け出して、天上から差しこむ眩い光りで空間を飽和させてしまう瞬間がいくつかあったように思います。今作に関しては天上の光りは教会のステンドグラス越しに和らいで届き、"福音"以前とは質感の違う親和性を獲得しているような気がします。ピアノに導かれて始まり美しいギターノイズで終幕を告げるラストの曲 "チャーチ" がとても感動的です。
「神は今 地に降りて この世の果ての教会で祈る」 ▼
October 17, 2004
彼岸レビュー:Sandy Hurvitz"Sandy's Album is Here at Last!"
busse posse issue vol.3 (04/09/18)
彼岸ディスク・レビュー欄より

*「ロックからしてみたら稀代の怪作とも言えるフランク・ザッパの「アンクル・ミート」その架空のキャラクターのモデルになったというだけで、聞いてみたくなるサンディー・ハーヴィッツのデビューアルバムです。プロデューサーだったフランク・ザッパは意見の食い違いで途中降板するもののジャケットに登場しています。内容は見事なまでの彼岸フォーク。ジョニ・ミッチェルやCSN&Yにも影響を与えたというソングライティングの才能は流石です。時折現れるフルートの音色が幽玄でひんやり気持ち良い。後にエスラ・モホーク名義で出した作品はフリーソウルで再評価されたという普通にいいうたですが、やっぱどこかヘン。▼
January 25, 2004
オリジナル・ラヴ "踊る太陽"

*「一曲目のイントロから田島貴男がストーンズ趣味を
全開にしていて、まずいい予感。"Rainbow Race"を思い出させる
乾いたギターの刻みに心が躍りました。
"L"からの、打ち込み導入、時流を意識し過ぎたような時代は
混迷の時期と言わざるを得ませんが、
松本隆との傑作シングル「夜行性」で全てふっきれた感があります。
そして、続いてリリースされたアルバム「ムーンストーン」は
個人的にはオリジナル・ラヴ史上最高の名作だと思っています。
僕が中学のときに買ったカーティス・メイフィールドのCDは
"WILD AND FREE"という二枚組の編集盤で
WILD SIDEとFREE SIDEに分けて選曲されていましたが、
今作"踊る太陽"と"ムーンストーン"は正に月と太陽。
"昼と夜"、"WILDとFREE"で対をなしているようです。
(ライブでヴァン・モリソンの"MOONDANCE"をカヴァーしていた様ですが
それで"踊る太陽"と付けてしまう豪快さ!)
このギターとシャウトで紛れも無くオリジナルラヴ印だと言わんばかりの、
田島貴男の快笑が聴こえてくるような、いびつで不気味な
最高のロックンロール集になっています。
マーヴィン・ゲイの"I want you"の邦訳を
友部正人がてがけているのですが
"欲しいのは君さ"としてしまうあたりが彼らしく
それが田島貴男のイメージとも合っていて、ナルホドにやりの共作。▼
January 12, 2004
Ben Watt "North Marine Drive" / Tracey Thorn "a Distant Shore"
![]()
![]()
*「僕にとって"2003年思わぬ嬉しいプレゼント大賞"となったこの再発。
EBTGで現役活躍中のベン・ワットとトレーシー・ソーンが80年代前半に
リリースしたソロ作、言わずもがなの伝説的大名盤です。
この二枚の再発の"プレゼント性"はその重さ、
なんとうれしい180gram重量盤(回転時、安定するし深く彫れるし音が良い)
ジャケットやインナースリーヴもいい紙でしっかりとしたつくりになっています。
そして"north marine drive"は、ロバート・ワイアットとの競演作
"summer into winter"5曲をお尻に追加した便利ヴァージョン。
どちらもギター、ドラム、ピアノ程度のシンプルなセットで
"うた"を中心に据え、尺も短め、末永く聴ける一家に一枚盤です。
ベン・ワットはボブ・ディラン、トレーシー・ソーンはヴェルヴェッツの
カバーを含み、ロバート・ワイアットも絡んでいるとあっては
ヒガンオンガクの枠としても推薦しないわけにはいかぬ越境の美。
誰そ彼を三回開催した2003年の年越しは
この静謐なミニマルサウンドと共にしっとり暮らしました。
今年はどんな年になるんだろう。▼
January 12, 2004
OUTKAST "SPEAKERVOXXX/THE LOVE BELOW"
*「2003年の年末はこのアルバムをよく聴きました。
CD二枚組、アナログだと四枚組という大作で
アンドレとビッグ・ボーイの二人がそれぞれソロで作った作品を
カップリングした内容になっています。
同じく暮れに素晴しい名作をリリースしたリッキー・リージョーンズは
インタビューで「今、最も新しい音楽を創り出していると思うアーティスト」として
アウトキャストを挙げていました、異ジャンルからのラヴコールも
さることながら、大ヒットシングル曲 "Hey Ya"は様々な場面で
耳にする機会が多かったように思います。
相変わらずHIPHOPを逸脱してブッ飛んだサウンドを
披露しているビッグ・ボーイによる"SPEAKERVOXXX"は
従来のアウトキャストのイメージに沿った傑作。
しかし、驚いたのはアンドレによる"THE LOVE BELOW"
はみだし者のOUTKASTが、はみだすどころか
ニュー・スタンダードを成し遂げてしまったと言える程の
新鮮な驚きに満ち溢れています。元々サントラ用に作っていた
もので、"LOVE"をテーマにしているというだけあって
HIPHOPというよりは、JAZZやSOULを主軸にした歌モノが
多くを占めています。70’s SOULの名盤一枚に匹敵するような
美しいメロディーの充実ぶり、
90年代を軽々と乗り越えたベラボーなビートマナー、
バックグラウンドとして想起される音楽の多様さといったら!
このアルバムがビルボードチャート上位を占拠しているのもかっこいい。
"Hey Ya"なんて僕の思う「未来のポピュラーミュージック」の限界を
もう随分と超えていっています。
間違いなくニュースタンダード。どんどんやってくれ、アウトキャスト!
ATCQの"THE LOVE MOVEMENT"に始まり
砂原良徳の"LOVE BEAT"、sndの"TENDER LOVE"
"LOVE"とつく作品に心惹かれる事が多いなあ。▼
December 13, 2003
ROYCE "SUBTLETIES OF THE GAME"
*「シカゴの良質なヒップホップレーベル、ガラパゴス4から
TYPICAL CATSのROYCEのソロアルバム。
オープニングのダビーなドラムから
キレの良いMCが入り込んできて
二曲目のイントロのハモンドへの流れが
Poets of Rhythmを彷彿とさせます。
そうくると、生演奏ヒップホップ~ファンクを安易に
想像しがちですが、流石はガラパゴス4
一筋縄ではいきません。
シカゴという土地柄も影響してか、丁寧で繊細な
サウンドプロダクションの歌モノあり
90年代を通過した新型アシッドジャズもあり、
万華鏡のようにクルクルと、ここ数年の記憶の断片を
爽やかに感じさせながら展開していきます。
そしてそれらひとつひとつの要素のうち、どれも半端には終わらず
ROYCEなりに消化して全体を塊りとして違和感を感じさせないのが
凄い。全編生演奏という点も、なかなか飽きない仕掛け。▼
*「ジャイルズピーターソン、ジョン・マッケンタイア、クエストラブ
この3人が好きな人は絶対ツボ。必聴です。▼
http://www.galapagos4.com/product/roycesubtleties.htm
November 20, 2003
DIVERS "ONE A.M."
*「チョコインからダイヴァースの1stアルバム。
今やプロデューサーとしてひっぱりだこのRJD2が
7割のトラックを手がけています。
登場時はスティーヴ・ライヒのサンプリングで話題になっていたRJD2も
蓋を開けてみれば、その前後に出回っていたMixTAPEからも
滲み出ていた70'sSoul~Funk趣味が前面に。
DJ Shadow直系なロック志向のトラックはごりごりとWildで良いのですが
期待していたキャラクター性に埋没してしまったような感もありました。
EL-P周りも絡めてしまうと特に。
そんなRJD2色が全編に渡り展開されていて、
正直これまでリリースしてきたシングルの方が
拡張の可能性がビンビンと伝わってきてスリリングだったと思います。
今作に収録されているPrefuse73によるシングル曲"Jus Biz"は流石、
シンプルなワンループが心地よい好Mixとなっています。
Madlibは妄信の域なのでコメントは差し控えるとして
k.kruzのトラックもなかなかの秀作。
ジョン・ヘーンドンがプロデュースしていたデビューシングルに
グッときていた、僕としては、
アルバムのラストを締めるに相応しい
シカゴアンダーグラウンド周り、ジェフ・パーカー作曲で
ロブ・マズレクも参加している
D-3"in accordance"が、ジャジーアブストラクトな生演奏トラックで
期待していたDivers像に一番近いと思いました。▼
November 15, 2003
キリンジ "For Beautiful Human Life"
![]()
*「枚数を重ねるごとに研ぎ澄まされ洗練されていくキリンジですが、
今回もその例に漏れずに突き進んでいます。
やれーやっちまえー、って思う部分もありつつ
その隙の無さ具合に、自分的にどうもしっくりこない点も否めないというか
なんだかちょっと寂しい気もしました。
それはこないだディスクユニオンでスティーリー・ダンの新作の中古が
早速ずらっと並んでいるのを見てしまった寂しさから
勝手に引き続いているのですが…。
ジャケットの顔も凛々しく、"3" の「うわっ!この顔」のひっかかりから
比べると、ちゃんとしていてなんだかそういうモードなのかなあと邪推してしまう程。
そしてびっくりするぐらいサウンドも引き締まっていて
Sagaシリーズに例えると、パワードスーツ系一枚でがっちり防御。
炎も氷も効かない鉄壁の守りだけど、僕としては
かぶともよろいもぐそくも自分なりにチョイスした上で、
炎はダメージ受けても氷は跳ね返しちゃうゾ位の
キリンジがいいんだけどなあ。
そのチョイスが絶対スティーリー・ダンには陥らないであろうキリンジの
強みだろうと思っていました。
まあ全部モード、全部シニシズム、って切返しが可能なアビリティも
持っているだろうし杞憂なのですけど。
これだけ上手に出来る所を見せたキリンジもかっこいい。▼
*「そして、インタビューでアルバムの配曲に言及していたのを見てなんだか安心。
ココナッツディスクに買いに来てくれているキリンジの姿がそこにあった気がしました。
ラストのクライマックスである"echo"、この曲は今作の方針を
煮詰め切ってゴロッと転がり出た「なんだか様子のおかしい」、
けど、透き通っているという美しい矛盾を孕んだ傑作なんですけど、
そのままシンプルなアコギの弾き語り"カウガール"に流れ込む
エンディングのねらい。映画は一旦終了して、エンドロールに
"スウィートソウル"がかかるというイメージで説明していました。
その流れの見事さは実際体験してみると、この冬の寒さにとてもマッチしていて
光明寺で酔いつぶれた起き抜けの朝に大江戸線から這い出て来た
半分ゆめもぐらの鼻水も止まりました。
ひきしまっていて透明なウィンターチルにキリンジの音楽を
映しこんで歩きながら、ああ、キリンジの二人の鼻筋にも
光るなにかが流れていればなあと思っていました。▼
October 16, 2003
Five Deez "Kinkynasti"

*「ベルリンに拠点を移したファット・ジョン率いるファイヴ・ディーズの
待望のセカンドアルバム。Scape~のPoleとの共作を経て
今年のフジ・ロックで来日もしたファット・ジョンが用意したネクストステージは
前作より一層ハウス方面に拓けていました。
相変わらずの極上ビーツは曲によっては四つ打ちに変化し、
上モノもシルキーで滑らかです。
女性ボーカルとして以前競演経験もあるVenus Maloneを多用している点も
’ハウスっぽさ’に拍車をかけています。Stones Throwから最近デビューした
Dudlley Perkinsをフィーチャーし、ファット・ジョンがピアノを弾き
奥で盟友J・ロウルズが歌っている贅沢なトラックもうれしいところ(凄く短いケド)
前作を多様性という点に重きを置いたファーストらしいファーストとするなら
今作はある程度的を絞り、彼ら自身としても時代としても’今’を捉えた
まとまりのある芯の太い作品だといえます。
妄想し過ぎと言われるかもしれませんが
Black×Whiteのハイブリッド・ダンス・ミュージックを
創造しているという点で90年代初頭のWild Bunch~Massive Attackに
似た雰囲気を感じてしまいます。
Massiveがレゲエのバックボーンを多く抱えているのに対し
Five Deezはジャズシフト、ヒップホップというフォームをお互い採りつつ
セカンドでabstractへ行ったMassiveと
セカンドでHouseへシフトしたFive Deez。
土地柄と時代の差があって、この結果。面白いなあ。▼
*Link = Five Deez.com
October 16, 2003
Dick Williams' Kids "Sing for Big People"

*「今年の春にユニバーサルからリリースされた
'アコースティック・スウィング・コレクション'、彼岸レビューでも紹介した
ビング・クロスビーの"blue hawaii"を含む全10タイトルがCD化され
僕の財布を苦しめました…。ここ数年間のアコースティック・スゥイング・ブームの
根幹となる、40~50年代の音源が一部でも手軽に楽しめるようになったというのは
僕のように導入部を探していた者にとってはまたとないチャンスでした。
また、"オールディーズ"なんていかにも懐古的な言葉で括られ
その輝きをくすませていた音盤達をこういった形でカタログ的に紹介し、
内側の光りを今の時代にまで新鮮に繋げるという
大変ロマンチックな仕事であったと思います。
そしてこの秋にその第二弾が発売されました。
今回は ’エキゾチカ・コレクション’ として、モンド視点を
取り入れ選ばれた10枚。どれも前回よりやや異質な趣を放っていて
大変興味深いところです。▼

*「まず僕が買ったのは、Dick Williams' Kids の "Sing for Big People"
これはもう既にジャケ買いに近い、、、というか
かわいいですよね、子供。
ジャズのスタンダードを10歳に満たない6人のキッズ達が
うたっているという、知られざる名作です。
自分が子供の頃のジャズのイメージといったら、
体験の不可能な家庭環境に育ったせいか、かなり貧困なもので
特にテレビやラジオから聴こえてくるジャズボーカルなんてのは
<お酒の匂いがして、甘そうで、>目を向けるのもなんだか気恥ずかしい
ようなイメージだったと思います。しかし、それはそれ
練馬区のファミコン・ボーイと、ショウビズの子役チャン達とは
ワケが違います。彼らは大甘な歌詞だってプロ根性で
いっしょうけんめい背伸びして歌っています。
このレコードの発売日翌日のクラスメイト達からの
扱いが気になるところ、どんな風に育っているんでしょうかねえ…。
スゥイング・ジャズをバックに健気にスキャットする小学生、
モンドもストレンジもなんのその!とにかく楽しい一枚です!▼
*今回のラインナップはコチラから↓
Universal Acoustic Swing Exotica Collection
September 15, 2003
彼岸レビュー:Jad Fair and Daniel Johnston
busse posse issue music side (03/09/13)
彼岸ディスク・レビュー欄より
Jad Fair and Daniel Johnston "Jad Fair and Daniel Johnston"
*「奇しくも今年は両者のライブを別々に見る機会があったのですが
ダニエル・ジョンストンに特に彼岸を感じました。
僕の印象では、ずっと橋の欄干の上に登って歌っている人。
うたに演奏を引き寄せてしまうほど、
イメージを伝えようと真摯な格好が良かった。
ダニエル、ジョアン・ジルベルトやブライアン・ウィルソン等
橋の上から歌っている人は本当に良い曲を書くと思います。
そしてこのアルバムは88年に録音したジャド・フェアとの競演盤。
大好きなビートルズの"Tomorrow Never Knows"を
とんでもなくローファイ解釈なトラックで奔放に歌ってみたり、
大好きなオバケ、キャスパーについての楽しい歌
"Casper The Friendly Ghost"も収録されています。▼
September 08, 2003
Crank Case"Sam's the Man"
*「ジャズのカテゴリーでファラオサンダースの"jouney to the one"を
紹介したので、クランクケースの12inchも紹介したいと思います。▼
Crank Case "Sam's the Man (12')"

*「西海岸ロングビーチの3ピースファンクバンド、クランクケース。
ブラックサバスとミーターズを同時にカヴァーしていたという彼らに
同じく西海岸の人気HiphopグループUgly Ducklingの
Andy Cooperが参加することにより注目を集め始めたそうです。
B面でファラオ・サンダースの
"you've got to have freedom"をカヴァーしているのですが
可も不可も無い無難なファンクカヴァーに納まっていて少し残念。
しかし、固めのベースサウンドは割りと好みで
タイトル曲の"Sam's the Man"でのタイトなアンサンブル等は
トータスを引き合いに出されても頷ける感じです。
とにかくライブが楽しそうで、Poets of Rhythmや
StonesThrow周り、ミーターズは勿論、RHCP好き辺りにもお勧めできそう。▼
September 08, 2003
彼岸レビュー:Pharoah Sanders"jouney to the one"
*「誰そ彼で配る簡単なフリーペーパー用に
彼岸ディスクレビューを書いていまして
どうせだから、ココで出力しておこうと思いました。▼
pharoah sanders "jouney to the one (2LP/CD)"
![]()
*「まもなく国内紙ジャケCDも発売となる
言わずと知れた名盤"jouney to the one"
やはり注目はSIDE THREEの"you've got to freedom"なのでしょう。
このファラオのテナーは何度聴いても心揺さぶられます。
うっかり涙さえもらしてしまいそうなブロウ…
例えば他に挙げるならキャノンボール・アダーリィ”something else”に収録されている
”autumn leaves”でのマイルス・デイヴィス。
「きあいのはいった」程度の表現では到底及ばぬ「たましい」を感じます。
圧倒的な音の存在、ビックリしちゃいますよね。▼
*「このアルバムは1~4面それぞれの印象が独立しているのが
名盤たる所以のひとつだと思いますが
誰そ彼的推薦面はSIDE THREEではなくSIDE TWOです。
”KAZUKO (PEACE CHILD)”は琴がフィーチャーされ
ウインドチャイムも鳴っていて"和"の要素が強く打ち出されています。
続いて取り上げているのがジョン・コルトレーンの”AFTER THE RAIN”
ピアノとテナーサックスのデュオ編成で美しくも儚げな印象を受けます。
そしてラスト”SOLEDAD”はファラオのオリジナルですが、
今度はシタールとタブラを使い、瞑想的な響きの中で
ファラオのテナーが躍動的に生命感を伝えてくれます。▼
September 04, 2003
Poets of Rhythm"summerdays"
*「「サマーアンセム」なる心くすぐられるキーワードを駆使した
店員コメントには毎年翻弄されがちな僕ですが、
9月に突入してしまい、夏ももう終わり…
そんな「レイトサマーアンセム」
もしくは「アーリーオータムアンセム」(こっちはライムだ)
成り得る名曲がリリースされていたので、紹介します。▼
quannumのpoets of rhythmの新曲
"summerdays ('7)"、
*「彼らにしてはかなりメロウな曲調に意表を衝かれ
美しいエレピのメロディーと、暑過ぎぬどこか風通しの良いボーカルが
過ぎし夏の日々を歌い上げてくれます。
緩い己の現在のスタイルから見ると、夏の日々は眩し過ぎる…
光量過多で輪郭ボヤけちゃってます。
”シラフなマッドネス”が、ちぐはぐであやうくって、倒れてしまいそうな程。
夏はベタでいいでしょう。
涼しくなってきたし、日も落ちてきたら
こんな曲を流してビールでも飲みましょう。おつかれーって。▼

























