August 03, 2008
文藝怪談実話
*「夏でなくとも年中怪談は好んで読んでいますが、夏となると出版が多くなるので特に嬉しいです。中でも東雅夫さん編の文豪怪談傑作選シリーズはとても面白いのでいつも楽しみに読んでいます。この7月に出たのは特別篇第二弾の『文藝怪談実話』。これが兎に角恐くて素晴らしいので読み終えたばかりですけど紹介したいと思います。
まずはタイトルに掲げられている"実話"という二文字。これは、その文章の書き手が実体験した、または人づてに聞いた実体験を記したものであるという事を示しています。怪談実話は創作怪談または怪談文学とは似て非なるものであり楽しみ方も違うのですが、時に怪談実話が怪談文学を超える詩情を垣間見せる瞬間があります。実体験だけに話に想いが宿っているのでしょう。そういう話が正に『文藝怪談実話』であり、この本に多く収められています。うまいタイトルをつけるなあと感心しました。
その視点で僕が気に入ったのは都筑道夫さんの『夜の寺』でした。お寺で百物語の会をやった後に参加者達が次々と奇禍に遭うという話で、最初に亡くなってしまうお寺の娘さんの何となく達観しているような物言いや、都筑道夫さんにとっての彼女の印象など。淡々と描きつつも愛着がこぼれていてとても切ない。
そして、"実話"と謳っている以上はやはりリアリティがあるので、恐がらそうとして書いている創作怪談を恐怖面で上回ってしまう事があります。
その線でいくと今回の目玉ともいえる、中盤の章「史上最恐の怪談実話!? - 田中河内介異聞」にまとめられている数篇が凄いです。"史上最恐"の文句に偽り無し!京橋の書画屋で行われた百物語会(泉鏡花も参加していたという)に突然現れた男が、タナカ・カワチノスケという寺田屋事件に関わった人物の最期を話したいという。これを知っているのはもう自分しかおらず話せばよくない事が起こると言って話し始め、全て話し終えぬうちに絶命してしまう…。ここまで書いただけでキーボードを打つ手が震えてきましたが、実際にあったというこの事件にまつわる様々な因縁や異説がいくつか掲載されています。異説が存在するというのは現代の都市伝説に近いものがありますね。
この数編についても言えるのですが東さんの話の配置が絶妙で、まるで匠のDJのごとき手捌きでバシバシ繋いでいきます。あとがきに「明治の文豪から平成の人気作家まで、時代を超えて多彩な文人墨客、名優や碩学が一堂に会するヴァーチャルな百物語、夢のベストメンバーによる怪談会を、紙上に幻成せしめようという目論見である。」とありますが、小泉八雲が「結局、幽霊の最大の敵は近代の建築家に他ならないことになる。」と洋館における幽霊の実際について喋るに次いで、圓朝が流麗なる口調で自身の百物語に収めようとしていた虎の子怪談噺を披露。続けて綺堂が「今度はわたしの番になった。席順であるから致し方ない」と語り始める流れは怪談ファン感涙。ロマンチックですなあ。
また、後半の「文壇と怪談と-大正・昭和作家篇」でも東さんの手腕が光るおっそろしい連鎖が…。ネタバレになるので書きませんが、稲垣足穂の「黒猫と女の子」冒頭でドキーッ!恐怖で一旦本閉じましたもん。こんなのって久しぶり…涼しくなりたい方には本当にオススメです。
当シリーズ、8月刊行は『小川未明集』ということでこれもまた楽しみです。▼
December 05, 2007
墓場グルーヴとオレ
*「おわ~、墓場鬼太郎盛り上がってまいりました
アニメ化楽しみダナー
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/denki/info/index.html
http://www.toei-anim.co.jp/tv/hakaba/
気分が盛り上がってきたついでで、先日の誰そ彼 Vol.11にて配布したフリーペーパー『busse posse issue』に寄せた原稿を掲載します。
のんのんばあとオレ、フランスのアングレーム国際漫画賞グランプリ受賞記念愛蔵版について書きました。どんぞ~
シリーズ百鬼巡礼第九夜 [怪住考]
◆ 誰のところにも、怪は棲む
先日、現代妖怪の生みの親であられる水木しげる先生が、フランスのアングレーム国際漫画賞グランプリを受賞されました。水木しげる先生が海外の賞を受賞されるというのは一妖怪ファンとしてはとても嬉しく、また意義深いものと思います。
今回受賞した作品『のんのんばあとオレ』は、水木しげる先生が幼少時代に体験した妖怪との出会いや周りの人々との思い出を描いたもので、戦前の日本のムラ社会のようすの一例が克明に描写されている点も含めて色々な意味で多くの人に読んで頂きたい作品です。もちろん、海外の人にも。
しかし、妖怪という概念は日本以外の国の方にも容易に理解できるものなのでしょうか?妖怪は目に見えないものであるうえに、日本の風土や歴史に深く結びついた多面的な存在である故、その多くを捉えようとするならばなかなか難しい問題であるといえます。私達日本人でさえ同じ事なのですから。ただし、最初の門については言葉や文化の壁を越えた大きな門戸が開け放たれていると言えます。それは、水木しげる先生が実際に世界中を冒険し、それぞれの地で感じた妖怪達を絵にされていらっしゃるからです。例えばそれはニューギニアの奥地の電気の通っていないような村でさえ通じたそうです。現地の村人に妖怪の絵を見せたら「ああ、コイツ知ってる。あそこの森にいる。」というような反応があったりするそうです。水木しげる先生ご自身も"妖怪千体説"を唱えていらっしゃり、世界には似たようなのを合わせてもだいたい1000体くらい妖怪がいると述べられています(1000体という数は日々だんだんと増えているようですが…)
つまりそれらは、間違いなく世界中にいるのです。
水木しげる先生のご功労によるインフラ整備で"絵"という直感的なインターフェースを、財産的に享受している私達ですが、更に次のステップに進んで日本の妖怪を海外の方に理解してもらったり、自分が世界の妖怪への理解を深めるにはどのような方法があるのかという事を考えてみます。
そのヒントはアングレーム国際漫画賞受賞記念として発刊されたフランス版『のんのんばあとオレ』にありました。フランス人の読者が想定された前書きにおいて、まず『ゲゲゲの鬼太郎』を挙げるような事をせずに作中の舞台と人間関係を丁寧に説明しています。そしてそれは"この作品を理解するために"と注されています。のんのんばあは水木家の住む村のお寺でまじないや祈祷を生業として暮らしていたお婆さんで、貧しい。旦那を亡くしてから、親戚にあたる水木家に住み込みで働く事となったのです。水木家は父が東京の大学を出て、銀行勤めである程度は裕福な家庭であった事も説明がされます。更に、のんのんばあが水木しげる少年(作中では村木茂)を"しげーさん"と呼ぶが、"さん"付けというのは日本では目上の人物に対して付けるものであり、それは二人の身分的な立場の差であったり、のんのんばあがしげる少年に対して尊敬の念を込めていることが影響しているとの記述も見られます。
水木しげる先生の著書を紹介する前書きとして『ゲゲゲの鬼太郎』を挙げるよりも先に、舞台となる小さな共同体の構造の説明が必要だったという点がとても興味深く感じました。それは確かにこの作品のストーリーを理解する上でも重要な事であるし、ひいては作中に多く登場する"目にみえない存在"の理解にも通づる要素であると思うからです。
鳥山石燕による『画図百鬼夜行』は江戸の民間の娯楽として、当時の大衆風俗や世間批評を駄洒落などのフィルターを通して滑稽に描かれました。日本の風土を後世に残さねばと柳田國男が農村の調査をし、民話を収集し『遠野物語』を著しました。水木しげる先生は世界中のお祭にはいっていき、土産物屋の民芸品を買い占め、世界の妖怪をたくさん描かれています。妖怪というものはやはり土地や人にわくものだと思います。その土地の生活を覘き、人と接してみる、文化を知るという事が世界の妖怪の秘密に迫る重要な手がかりとなるでしょう。流石に江戸に行く事は叶いませんが、私もいつかは、冒険家 水木しげるのように世界を旅して多くの妖怪を見つけたいものです。▼
July 12, 2006
付喪神(つくもがみ)
*「久々のエントリーになります。本やCDの感想など色々と書きたいことは溜まっているのですが、今引越しプロジェクト進行中でソワソワしてしまい書きかけの断片のみが増えていっています。
現在は練馬区吉祥寺関町という街の2DKに弟と二人暮しをしているのですが、『そろそろお互い(というか僕が)いい歳だし』という理由をもって解散する事に決めました。とはいえ、弟は今の2DKに友人を招いて住み続けるようだし、僕の引越し先も相変わらず関町なんです…今度こそ杉並区か武蔵野市あたりに脱出しようと試みたのですが、暮らし易さと家賃の安さを考えると練馬区の魔力から逃れられませんでした。しかも、吉祥寺から更に少し離れ、実際問題西武新宿線の駅まで徒歩3分のとこです…。西部新宿線の方がもし!いらしたら是非とも気軽に遊びに来て頂きたい。吉祥寺からアクセスなさる方はバスかタクシーで10数分揺られる覚悟を。井の頭線沿線メンバー(募集中)は引き続き遊びましょう。
そんなわけで毎晩大量の荷物にうんざりしながら格闘を繰り広げているのですが、長年の戦友であるテレビジョンが遂に息絶えました。以前荒俣宏先生の講演会にて、荒俣先生が長く使用していたTVが壊れたという話を聞いたのですが、光栄な事に先生とまったく同じ症状で壊れていました。その症状というのは画面が横一本の光線になってしまうというもので、荒俣先生は首を縦に動かすと映像が見れるんですと興奮気味に語っておられましたが、僕のやつもそうでした。しかしそのやり方で見ていると首が疲れるので、そんな時はTVの右脇腹を『ビビビビビッ』とはたくと正常に戻る時もあったのですが、ついにはたいても戻らなくなってしまいました。彼もこの引越しを機に引退しようという腹づもりなのでしょう。九十九年とは言わずも、十年以上よくやったと撫でるフリをしてまたはたいてやるんですけどもう、戻りません。部屋で独り荷物を詰めてると、テレビ世代のSagaかもの寂しい気もしてくるのです。それで、ラジオをつけるようになりました。普段職場ではなんとなくJ-WAVEをかけていますが昼間のJ-WAVEなんぞ毒にも薬にもならん。(16時のジャイルズ・ピーターソンと16時半のピストン西沢&秀島史香辺りからじわじわ楽しくなってくるんですけど)エアチェック経験なんて小学生の頃のB'zの『BEAT ZONE』(TFM赤坂泰彦ミリオンナイツ内)と、中学生の頃カヒミカリイのタイトル忘れたけどウィスパーヴォイスすぎて聞き取り難いラジオ(NHKミュージックパイロット内)くらいで、かなりティーンのメディアという印象なのですが。。。やっぱり遅い時間にスティーリー・ダンやキャロル・キングなんかがかかると、思わず手を止めて聴き入ってしまいます。小沢健二の歌で "真夜中に流れるラジオからのスティーリー・ダン..."という歌詞があって、中学時代それを聴いてスティーリー・ダンのベスト盤を買いに走った想い出が甦りました。リマスターのCDやレコードで聴くのとは違った良さがありますなあ。なんというか、心によく響く。
新居用に購入したステンレス槽の洗濯機や2WAYセンサーの電子レンジなど、新メンバー達との生活も楽しみですが、散々はたかれつつも晩年を付き合ってくれたテレビデオとの別れがなんだか惜しく思えてきます。しみじみとビールを飲み、ラジオを聴きながら。▼
June 08, 2006
妖怪在中
*「日曜の夜、帰宅したら郵便受けにこんなものが、、、

『妖怪在中』の四文字のデカさにシビれつつ開封すると、確かに在中してました。しかも、みっしりと。
…この粋なはからいは当ブログをご覧の皆様ならご存知の妖怪絵師・加藤さんによるものでした。僕が以前にオーダーしていた加藤さんの作品集『百怪図 巻一』が出来たという事で、四国はゲゲゲのオオゲ島より産地直送して頂いたのです。“出来た”というのは『百怪図』は版画集で、刷りから綴じまで一冊ずつ加藤さんによる手作りなのです。
内容の一部はこちらで見る事ができますが、どれも素晴らしいです。加藤さんの描く妖怪達はデザインされているところがとても気にいっています。以前大阪の万博記念公園に行った時に、当時のスタンプラリーのスタンプを復刻して跡地に設置してスタンプラリーを体験できるというのをやっていて、そのスタンプのデザインがどれも良かったのですが、なんとなくそのスタンプを想い出します。いつか加藤さんの妖怪が百体になったら、全てをスタンプにしてスタンプラリー形式の肝試し大会をやりたいなあ。怖くてもスタンプ欲しさにみんな進むしかないという。そして百体のスタンプが揃うと…
版画の作品集なんて人生で初めて手にしましたが、“自分の一冊”という感じがしてとても愛着が湧いてきます。
記念に鳥山石燕の『画図 百鬼夜行』のレプリカとmy百怪図の2ショット▼

March 18, 2006
妖・怪談義 第八夜
*「もう一週間前のお話になりますが、ロフトプラスワンにておこなわれた『妖・怪談義第八夜』に参加してきました。今回は寝不足が続いていたせいか恥ずかしながら舟を漕ぎつつの時間もあったのですが、僕なりにすくいあげた部分を記しておこうと思います。
妖・怪談義とは『新耳袋』で有名な木原浩勝さんによって開催されているイベントです。フライデーナイト21時より、未成年ではない、寧ろいい年の人たちが新宿歌舞伎町の地下に集まり朝まで化け物の話をするという素敵な催しです。木原さん他妖怪関連各所の様々な方々が登場し、各自の視点・方法でもって妖怪を語ります。今回は時間割りがうまくいかずに(みなさん喋りすぎてしまう傾向に)次回に持ち越された企画などもあったのですが、そんな(いい意味で)雑然とした印象の会の中でも、妖怪という得体の知れぬものを包括的に捉えるヒント(イメージ)がちゃんと浮かび上がってきた点に驚嘆しました。
全てはイベント最後のまとめとしてゲストの京極夏彦先生がおっしゃっていた「妖怪研究はらっきょうの皮を剥くようなもんです。皮を剥いていく過程が楽しいのであって全部剥いてしまえば何も残らんのです。」という言葉に集約されたように思ったのですが、その要素については以下です。
ライトノベル作家の東亮太さんによる「鬼太郎内における柳田妖怪と石燕妖怪の対立構造の成立」についての仮説の参考資料としてアニメ鬼太郎第四期シリーズの101話『言霊使いの罠!』がとりあげられました。この回は京極夏彦先生脚本によるもので、妖怪に明るい方が見たら涙が出る程えげつない、そしてアニメキッズ達が見てもわけのわからない妙な攻撃を仕掛けてくる難敵が登場します。敵の名は“一刻堂”、風貌は京極堂シリーズの中禅寺秋彦(キャラデザインもアフレコも京極先生ご自身のようです)「この世に不思議なものなど無い」というセリフも聞き覚えがあるこの陰陽道の使い手による大人げない攻撃は、「なまえをうばう」というものです。要は、いったんもめんとっつかまえて「オメーただの布きれだろ、なんで浮いてんの?」と突っ込んでしまうのです。哀れいったんもめんは名前を思い出せなくなりただの白い布きれになってしまいます…。これは先の京極先生の言葉に当て嵌めるとらっきょうの皮をいっきに全て剥がし取るようなものなのです。全部剥いてしまうと何も残らない。アニメでは白い布やカボチャが残りますが、それは何も無いに等しいのです。もちろんこのお話のほうはそのまま負けてしまうわけではなくなかなか泣けるオチがつくのですがそれはまた別のお話。
また、東亮太さんが前述の仮説を立証するガイドとして示したひとつのチャート図、手描きで5分で描いたという図ですがこれがなるほどと唸ってしまう面白い図でした。怪異・モノ・コトなどが伝播・分岐していき文化として表層化してきたポイントを捉えた図なのですが、このチャートを逆に(この場合は水木妖怪から)辿ってみると…、その行為こそ正に“らっきょうの皮を剥く”過程だとわかるのです。おおっ。
他にも思い返してみると、多田克己さんによる河童のお話、林田さんによる油ずましの調査報告、等など…みなさんのお話の中に“らっきょうの皮剥き”の過程が見られました。僕もいつかきっかけがあればらっきょうの皮を剥く側にまわってみたいなあと思ってしまう程、いい熱が高まる場でした。
追伸:同会場にて、このブログには何度も登場いただいている風眠庵こと加藤さんらが進めていた『妖怪反物計画~プロジェクトQi(チー)~』の発表がありました。「妖怪柄の反物を染めて、妖怪浴衣を着よう!」という企画です。加藤さんによる「ふらり火」をモチーフにした素敵な妖怪デザインの反物が購入できます。くわしくは下記URLから。
http://foomin.net/blog/archives/2006/03/post_68.html
加藤さんも妖怪を描くという方法でらっきょうの皮を剥いておられるワケですね。▼
December 22, 2005
妖怪感度

*「年末年始はどたばたしそうなので、日曜日に川崎市市民ミュージアムの大水木展に行ってきました。昨年の江戸東京博物館での開催時も行ったので二回目ですが、気持ち的に余裕をもってゆっくりと見れました。(前回は何故かとても緊張してしまった)
大きく違う点は客層です。幻獣展で訪れた時も思ったのですが、川崎市市民ミュージアムは子供がたくさんいてしかもパワフル。奇声をあげながら走って、軽く注意されているという場面もありました。でもそれはそれで妖怪にはあっている感じがして楽しかったです。水木先生が世界各地で撮影なさった漫画背景用の資料写真を見ながら、「あ、ここに目がある!」とか「この木は○○に見える」とか色々発見して喜んでいたので、やはり子供のほうが妖怪感度が高そうだナアと羨ましく思いました。
今度は水木しげる写真展とかやってほしいですね。あとは世界各国で集めていらっしゃる像や仮面。それだけでも十分に意義高い展示会ができてしまいそうなくらい集まっているかと思うのですが。
新年は1月9日までやっています。12月25日には京極先生の講演会もあるようです(人多そう…)▼
November 21, 2005
奇談
*「土曜日、映画『奇談』を観てきました。諸星大二郎先生の名作『生命の木』が原作で、妖怪ハンター稗田礼二郎は阿部寛が演じています。
原作は諸星大二郎の“妖怪ハンター”(稗田礼二郎のフィールドノートより)というシリーズもので、当初は少年ジャンプに連載されていたそうです。ジャンプ連載は5回で切られてしまったようですが、その後も少しずつ描き続け最近待望の新刊『稗田のモノ語り・魔障ケ岳』も出ました。映画公開の影響か、過去のシリーズもまとめて文庫化されていますので、興味を持たれた方はこちらで読むのが便利かもしれません。地の巻には、作者自身が不満足な出来だったという理由で入手し難かった作品『死人帰り』が収録されているというファン泣かせの仕様です…。
このシリーズは諸星大二郎作品の中でも民俗学的アプローチが色濃いもので、考古学者・稗田礼二郎が日本各地で出会う様々な伝説に絡んだ事件を描くというものです。原作『生命の木』において稗田礼二郎の役割は語り部であり、一応の主人公役として民俗学を研究していると思われる学生の青年が登場します。それでも、彼もあくまでも事件の傍観者に過ぎず、舞台となる村での顛末には深く関わらずに、彼や稗田礼二郎が見ているものが坦々と描写されていくのみです。諸星漫画は勿論これでいいのですが、映画化にあたってその辺りにメスを入れようとしたのか何故か主役は女性の藤澤恵麻(里美役)となっています。
(以下多少のネタバレ含む、観る予定の方はスルーで)
November 16, 2005
妖・怪談義 第七夜
*「先週末ロフトプラスワンにておこなわれた『妖・怪談義』に参加してきました。妖怪ファンならみなご存知のイベントで、『新耳袋』の木原浩勝さんによって開催されています。
関東近郊にお住まいの妖怪愛好家・研究家・創作家のみなさんによって紡がれている妖怪シーンの現在が垣間見えるようで、行ってヨカッタと実感しました。こういう“現場感”は今までなかなか味わえていなかったので、それに対比させて自分自身の妖怪への想いが浮き彫りになってきたりと、色々な意味で勉強になったと思います。単純に知的好奇心を満たしてくれる場所としても、自分の趣向にここまで合致したイベントは他に無いと思いますので、これからも参加したいです。
イベント当日の朝、四国の離島“ゲゲゲのオオゲ島”から妖怪住職・カトウさんを我が家にお迎えして起きたそばから妖怪トーク。仕事を終えて新宿に行き、カトウさんの妖怪仲間の方々とも合流してファミレスで腹ごしらえ、そしてロフトプラスワンにて朝まで7時間のトークイベント…と、半分以上の時間を妖怪の事を聞き、考え、話し過ごした一日。なんとも幸せなことです。
カトウさんからは自作の素晴らしい“妖怪大戦争おふだ”を戴きました。カトウさん自彫りの版画ですのでもちろん非公式グッズですが、映画制作陣に贈ったところ三池監督も絶賛だったそうです。

( カトウさんのほかの作品はコチラで見れます )
そして帰ってきて週間大極宮をチェックしたら、厨子王の逆襲にて
のニュースが。第三部といえばちょうど僕が見ていた時代のもので愛着があります。しかし、やはりアニメのDVD BOXで全話収録となると実際問題お値段が現実的ではありません。もし第二部や第一部がDVD化されたら高いお金を払ってでも手に入れたいという気がしますが…げげげ通信の告知では
☆アニメ版ゲゲゲの鬼太郎DVD-boxの発売決定!☆
まずはアニメ版第3シリーズから
と、出ています。“まずは”という事はもしや。。。▼
November 08, 2005
沼御前(ぬまごぜん)
*「奥会津“河童に出会う旅”日記 二日目。(一日目はコチラ)
10月9日(日) 福島くもり時々はれ
二日目の朝もゆっくりとなりました。こんなにしっかりとした朝食を摂るのはいつぶりだろうと思いながらご飯を食べ、河童の朝風呂をたのしみました。二日目は大蛇伝説の残る沼沢湖を訪ねようと考えていました。本数の少ない町営バスで行けるという話は聞いていたのですが、調査不足、ナント土日は走っていない…。困っていたところ、粋な若旦那のはからいで送って頂けるはこびとなりました。若旦那のいとこの男性の車に乗せて頂いたのですが、見かけはいかつくも優しい方で、金山町の産業や名産品について色々とお話を聞くことが出来ました。途中、珍しい海老が見れるというスポットに車を止めそこで塩焼きにしていた沼沢湖養殖のヒメマスをいただきました。
沼沢湖はとても美しい湖で(県内一の透明度らしい)曇り空の朝の幻想的な景観は写真で見る北欧の雰囲気さえ感じさせました。その景観のせいかどうかはわかりませんが、湖の近くには井村君江先生の妖精美術館があります。井村君江先生は妖精研究で有名な方で、会長を務めるフェアリー協会では水木しげる先生も名誉顧問として名を連ねています。お互い対談の機会も多いですし、前述の『田舎の河童』の水彩画もお二人のご縁によるもの。この旅には欠かせぬスポットとして妖精美術館を訪ねることにしました。
その前に、沼沢湖に面して建っている「椎名誠記念館」に立ち寄ってみました。そもそもは「大蛇記念館」だった建物を一時的に「椎名誠記念館」にしています(なんという転身!)何故椎名誠さんが金山町に登場するのかというと、映画のロケで使用したそうなのです。一階には十数枚程度の写真が大きく展示されていて、二階はセルフサービスの喫茶「ぐびぐび」になっています。写真は枚数も少なくさっくり観終えてしまいましたが、二階「ぐびぐび」にてコーヒーブレイク。件の映画のDVDを観ながら、椎名誠さんの本は読んだことが無いけど彼は間違いなくいい人なんだろうと確信し、しみじみ金山町の事を考えていました。沼沢湖周辺は少し集落があって、これが昔ながらのつくりの家でとても良い塩梅。朝送ってくれたおじさんの話によるとスキー場があるけれど正直あまり流行っていないそうで、観光というほどの呼び物もない、とのこと。廃校を改造した宿泊施設なんかも見かけ泊まってみたくなりましたが、それも決して賑わっているようには見えませんでした。畑で作っていたのは茄子や大根、そしてたくさんのキウイ。特にキウイがおいしそう。あとはさっき食べた養殖のヒメマスなど。椎名誠さんの映画撮影、妖精美術館、大蛇伝説に河童伝説…などなどキーワードだけ並べてみても地味ながらも味わい深い村です、金山町。東北というと2年前に訪れた遠野や花巻の寡黙な農村風景を思い出しましたが、福島はそれに比べて人が明るく話し好きで親しみ易い印象です。僕はコーヒーを飲みながら金山町に対して湧く愛着をひしひしと実感しました。
そして道端のキウイに心惹かれつつ妖精美術館まで歩きました。日本らしからぬ建築物の突然の登場でテンションがあがります。妖精的に価値の高いらしい絵画の数々に、ファイナルファンタジーなあのお方のデザインによるステンドグラス。漂う空気がどうしても郊外のちょっとした金持ちの家といった印象で、けっこう心地好くくつろげます。女神転生などをやっていると妙に妖精の名前に詳しくなったりしますが、ゲームのキャラクターデザインへの影響や、引用元が明らかになるようでなかなか楽しめました。あとは妖精の生態に関する展示がとても面白かったです。本当に面白かったので以下に引用しちゃいます。
[妖精を見る方法]
1.妖精界の近づく日を知る
・5月1日(メイ・デイ)
・6月24日の前夜(ミッドサマー・ナイト)
・10月31日(ハロウィーン)
2.妖精の現れる時刻を知る
日の出寸前、影の消える正午、逢魔ヶ時、真夜中
3.妖精の塗り薬を目につける
4.四葉のクローバーを頭に乗せる
5.透視能力(セコンド・サイト)を得る
6.透視能力者の力を借りる
右足をその人の左足の下に入れ、その人の手を頭に乗せ、その人の肩越しに目を向ける
…なんとメルヒェン!3,5,6辺り難易度高過ぎ。
[妖精の好き嫌い]
気に入る事→美しいもの、清潔な炉端、片付いた台所、きれいな水、陽気さ、楽しさ、うそいつわりのないこと
気に入らぬ事→のぞかれること、じゃまされること、散らかった台所、よごれた炉端、陰気さ、粗暴さ
[妖精の服装]
1.主な材料
木の葉、鳥の羽、蟻や昆虫の羽、クモの巣、緑の苔、カビ、山羊の皮
2.服の色
緑の上着に赤帽子、白いフクロウの羽が一般の妖精の好む色合い。ただしサマセットの妖精は赤い服が多い。
…などなど、色んな文献から拾ってまとめたのでしょうか、こういったパネルがいくつかかけてあって楽しいです。マジメですから、メルヘンなのです。
二階では、金山町の伝説のイメージビデオが見れますが、これも素晴らしかった。野尻川の河童の伝説も紹介されています。野尻川で馬の尻尾を引っ張って川に引きずり込むいたずらをする河童がいたのですが、ある日人間に捕まってしまいます。許しを乞う河童に対して、二度とこの辺りには来ないようにと証文をとったという典型的な河童話でした。その証文をとった岩は“河童石”と名付けられました。また、一年のうち一日だけ河童が自由に来ても良い日を設け、その日(7月7日)を“河童放し”と名付けて村人達は川には近寄らないようにしているそうです。(参考 http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1070515.shtml)
沼沢湖の大蛇伝説も紹介されていました。退治した大蛇の首を埋め、その上に沼御前神社が建てられたようです。神社は今でも沼沢湖近くに残っていて、毎年大蛇祭りが開催されます。写真によると湖の上で炎などを使ってショー的に伝説を演じていて興味深く、今度金山町に来る時は大蛇祭りが見てみたいと思いました。神社は方向が違ったので行きませんでしたが、祀られている沼御前様がいつでも沼に帰れるように湖上から真っ直ぐに参道が続いているらしく、諸星大二郎の『海竜祭の夜』を髣髴とさせます。海、湖に竜、大蛇などが絡む場合に鳥居の配置は重要なのでしょう。
他に神隠し系の伝説もイメージビデオ化されています。湖で消えたおなつという娘が、湖底の館で美しい姫様と幾日か暮らしていたという竜宮城系のお話です。沼御前の伝説との関係性には言及してはいませんでしたが、もしかしたら湖底に住んでいたのは沼御前様という解釈もあるかもしれません。“ヒメ”マスの養殖というのもキーワードかも、などと妄想は尽きません。
(おなつ伝説の別Ver.→http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1070505.shtml)
このビデオ(LD)、景色を綺麗に映しているし、伝説イメージビデオのゆるい空気感も最高なのでとても欲しくなってしまいました。全国各地で村興しのビデオとか作ってそうですけど、全部集めて地方ごとにまとめてDVDとかで商品化してほしいです。
妖精美術館でファンタジーをチャージした後は、沼沢湖を少し散歩。そして、逃すとまずい電車を逃さぬように駅を目指して歩きます。昨日分の日記に記したようにJR只見線は一日に10本以下しか走っていないのです。駅までは40分くらいだと聞いてはいましたが、念の為少し早めに歩き出しました。沼沢湖はカルデラ湖で、駅まではずっと下り坂です。山から降りてくる水路を両端に配する涼しげな道を下り国道を目指します。しばらく歩くと視界が開け、下方を流れる只見川が見えてきます。この風景がとても美しく、山歩きの疲れも吹き飛びました。只見川は吸い込まれてしまいそうなくらいに深い緑色で、絶対にかっぱの居る色。小豆洗いの伝説なんかも残っているようです。
蛇行する車道によりなかなか川に辿り着けないもどかしさがありますが、その分長い時間景色を楽しめるという飴と鞭な道のり。プリッツバター味の甘さを妙に美味しくかんじます。簡単に飛び込めそうだと思える橋、そう思わせる川を渡ると、駅はもうすぐ。雪除けの道を行き、目指すJR只見線早戸駅に到着です。早戸駅は無論無人駅で東京育ちの僕には珍しく映りましたが、それ以上に珍しいといえるのは、単線の線路の一歩先が川!電車を待つ間、思わず持っていたシートを広げて座り込みその景色に見入ってしまいました。
電車がくる10分前ともなると地元の方もホームに現れます。そのうちの一人のおばあちゃんに話し掛けられました。今年は紅葉がまだ若いということや、スキー場が儲からないなどのお話でしたが、印象的だったのはおばあちゃんの先生のお話です。サエキだかササキだったか、先生が最近なくなったそうな。その方は背後の山の上に住んでいらっしゃって、とても良い先生だったとの事です。しかし、山の上に住んでいるといっても、急勾配の険しい山なためどうやって先生が山と村を行き来しているのかが全くわからないらしいのです。おばあちゃんはいつかその方法を聞こうと思っていたのに、先生は亡くなってしまった…。その事を悔やむわけでもなく、ただ「不思議だ。」と繰り返していました。僕は沼沢湖から歩いてきたといったら驚いていましたが、おばあちゃんは会津川口の集落に住んでいて今日は早戸の温泉に入りにきたそうです。旦那さんも少し前に亡くして今は独りで住んでるのだという言葉に何故か東北の旅情を感じる僕。電車がやってきます。
昨日は雨で気付かなかったのですが、只見線からの景色は凄い。ずーっと只見川沿いです。車窓は真緑で覆われ、水面に映る山々のどちらを実像と捉えるかなんて錯覚を楽しめるほど。20分くらいで到着し只見川に後ろ髪をひかれつつ降車した会津川口の駅も、同じく只見川沿いで絶景かな。
宿に戻ってから、野尻川を少し散歩してみました。昨日の江戸東京博物館の方の調査ドキュメントに出ていた梵字岩を見つけました。
そしてまた河童の湯へ。夕食は桜刺しや鯨鍋など、食べ過ぎて苦んだり。今夜もビールを飲んだり。 (三日目に続く)▼
November 07, 2005
シリーズ にほんのかっぱ - 福島編

*「会期延長で、年末年始は川崎市市民ミュージアムにて開催される大水木しげる展。東京では1年前の同じ頃に江戸東京博物館で開催され、僕ももちろん足を運びました。その、江戸東京博物館での開催から展覧会に加わり、図録には未収録の一枚の水彩画がありました。“田舎の河童”というタイトルで、淡く幻想的な色彩がなんとも美しい河童の絵です。水木しげる先生の膨大なる画業の中でも水彩画というのは大変珍しいと話題になっていましたが、福島県の旅館にあったもの、という事でした。すかさず旅館の名前を記憶して帰り検索してみたところ、福島県でも新潟よりの金山町という町にある玉梨温泉の旅館で、なんと河童の湯と名付けられたお風呂まであるようです。それを見てどうしてもその旅館・恵比寿屋さんに泊まってみたくなり、絵が旅館に帰ってくるはずの2005年9月以降に必ず泊まりに行こうと心に決めていたのです。
そして先日、9月25日をもって高知にて無事お役目を果たした(と思われる)“田舎の河童”。川崎市市民ミュージアムでの延長開催の情報もあったので念の為旅館にも確認したのですが、「9月中に返却します」と朝日新聞社から連絡があったとの事。早速予約をして10月の連休に宿泊してきました。遠野以来2年ぶりの“河童にあう旅”、今回はどんな河童に出会えたのか、以下に旅行日記としてご紹介します。
10月8日(土) 東京くもり→福島あめのちはれ
生憎の天気となってしまった旅の出だし、東京はなんとか曇天を持ちこたえているという具合でした。上野発11時半というのんびりスタートです。行きは新潟をまわっていくためMaxときに乗って1時間半、浦佐にて上越線に乗りかえて20分、小出にて只見線に乗り込みました。この只見線というのがローカル線の鏡のような存在で、本数が少ないのもさることながら(この日向かう会津若松方面は4本)土曜は朝5時半の次の電車が13時という不可解なダイヤ…。5時半に乗れるわけがないので、どう頑張っても目的地に着くのは15時半以降となってしまうのです。車窓の景色がとても良いらしく写真家や鉄道好きに人気のある線であるという情報を得ていましたが、浦佐に着いた時点で既にドシャ降り。雨で景色はよく見えないしトンネルも多い為、うとうとしていたら目的の会津河口駅に到着していました。
全く人の出入りが無かったような気がするそれまでの駅に比べ、会津河口では降りた人が多かったと思います。集落があり民宿などもいくつかあるのでしょう。雨から逃げるように駅舎に駆け込むと、なんともいい味の雪国の駅。この先にはろくに物が買える店も無さそうとおもい、ペットボトルのお茶とチョコレート、プリッツバター味を購入しました。遠い地に降り立った少々の不安をモノで埋め合わせるマテリアル・ボーイ。そして、壁に貼ってある高橋ヒロシ先生のポスターに安心をおぼえます。10分程待つと恵比寿屋旅館の方がマイクロバスで迎えにきてくださいました。山道をびゅんびゅんと豆腐屋のようにかっとばしながら、現地の天気の話を少々。そしてまもなく到着。

部屋は野尻川という川に面していて、流れの音がずっと聴こえてきます。何故か部屋にはタヌキの置物(剥製??)が居ました。駄洒落で考えるとタマナシ温泉にタヌキとな??…素敵な先住者に挨拶を交わし、まずは水木先生の絵を見に行こうとお風呂に行ってみました。すると、絵が無い…。置物の河童や水木先生のサイン色紙はかざってあるのですが、絵がかかっているはずの場所に大水木しげる展のポスターがかけてあります。フロントに戻り若女将さんに確認してみると返却日は10/16だという事。返却予定日変更の連絡があり、その情報がスタッフに行き渡っていなかったのだそうです…。少し残念な気持ちになりましたが、絵は大水木展で一度見ているし、また来れば良いかと思いなおしてお風呂に入る事にしました。

お風呂は河童の湯です。お風呂の前にかけてある説明文によると、やはり野尻川には河童の伝説があり、それに因んで河童の湯と名づけたそうです。洪水を起こす河童を退治するために、遊行僧(弘法大師との説も)が川沿いの大石のいくつかに梵語で呪文を刻み付けたという伝説です。鉄分の酸化で赤く濁った湯に映り込む湯の花がなんとも河童のような色をみせている露天風呂に浸かり、眼下の野尻川を眺めました。いつの間にか雨は止んでいて、川の上流の山あいに沈みゆく夕陽。河童を感じるひととき。田舎の河童たちの凱旋より少々早まってしまいましたが、ここまで来てよかったなあと実感しました。そして、あったまった体でたそがれの野尻川を散歩したい気分にかられて思わずあがりましたが、この季節、足のはやい日暮れに先を越されてしまいました。
食事は場所柄、山菜、川魚、豆腐などが美味しく、“山の黒料理”と名づけられた黒い食材(黒ゴマ、黒米、黒豆、ひじきなど)を基調にしたメニューが食いきれない程に…。部屋のたぬきのように腹を膨らましてフロントを通りがかると、宿の若旦那が声をかけてくださいました。連絡の行き違いで絵が戻ってきていなかった事をわざわざ謝罪してくださったので、お湯と食事で既に満足なのでまた来ますと伝えました。そして水木先生の宿泊時のお話を聞く事が出来ました。今までに三度ほどご宿泊なさっているそうで荒俣先生とご一緒の時もあったそうな。江戸東京博物館の方が偶然この宿で“田舎の河童”の絵を見つけ、「是非大水木展に加えたい」と水木プロダクションに問い合わせたところ、水木先生は「そんな絵は知らない」と、お忘れになっていたらしくなかなか難しかったそうです。そして江戸東京博物館の方が野尻川の河童伝説について調査したドキュメントも見せて頂きました。野尻川には魔がっ淵(曲がり淵)と呼ばれている急カーブの難所があるらしくそこで溺れる人が多かったそうで、そこには大蛇か河童が住んでいるなんて信じられていたようです。( 参考 http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1070517.shtml )また“田舎の河童”の絵は、この金山町に妖精美術館を開館させた井村君江先生が、水木先生にお願いして描いて頂いたものだと記してありました。
若旦那に感謝を述べてから部屋に戻り、河童の居る川の流れを耳にビールを飲み就寝。(二日目に続く。)▼
August 22, 2005
妖怪夏祭り

*「練馬区在住の身としては毎年恒例にせざるを得ない“妖怪夏祭り”ですが、今年も行ってきました。サンシャイン60展望台にて毎年開催されているイベント。字面は非常に楽しそうなかんじなのですが内容は…毎年同じ、というか今年は例年よりも薄くなっていたような…。(おそらく妖怪道五十三次が狭山にいっているため)
今回の目玉と思われる「のんのん人生展」の文字校正をしたら、キッズに混じってDVDコーナーへGO(毎年かかるDVDが違いますが今年は妖怪画談DVDでした)、あとは妖怪舎の物販コーナーを物色しましょう。それくらいでやる事は大体終わっちゃいます。まあそのなまけ加減も妖怪テイストかしら。

個人的な毎年の楽しみ方としては、展望台のカフェに“鬼太郎茶屋”のメニューが登場しているので、たそがれ時の街を見下ろしながら鬼太郎ビールで一杯やります。ぬりかべ黒ゴマプリン等の甘味を食べつつ一反木綿に乗った気分で。▼
August 22, 2005
小豆洗い (あずきあらい)
*「夏休み日記 8月15日(月)
先日の世界妖怪会議にて、全国和菓子協会のご好意で配布された小豆を食べようという事になり、洗っている図です。

小豆洗いの音とはこういう音なんだなあと耳を澄ましてみると、とても涼しげで良い音。小豆洗いの音といえば“しょきしょき…”が一般的ですが、字面も楽しい上に舌が欲しがる絶妙な表現であると改めて感じました。“小豆とごうか 人とって食おうか”なんて思わず歌いたくなるような音。楽しい。
その後は友人を招いて酒を飲みました。様々な酒を飲んだせいかある時点からの記憶が薄くなっていますが、折角友人が来てくれているのに早々と寝てしまったようです。なんとなく花火をした記憶など。なんとなく足の裏にくっついていた卵の賞味期限シールなど。
そして翌日、その小豆を煮て白玉に添えた小豆白玉をいただきました。『妖怪大戦争』の映画の中で小豆洗いが落としてしまった小豆を一粒一粒拾っていた姿が偲ばれる、ありがたいおいしさ。“小豆はからだにいい!”、二日酔いにも効くかな?なんて都合の良い事を思ってみたり。
夜、映画を回想しつつ読み途中だったアラマタ先生版『妖怪大戦争』と、買って読んでいなかった『水木版 妖怪大戦争』を読みました。アラマタ先生版は個人的にジュブナイルっぽさが気にかかってしまいどうにも読み進めずにいたのですが、中盤からはそれがあまり意識されぬ作りとなっており良心的なアラマタ先生印の文体が功を奏した良い本でした。映画では言い足りなかった感のある、川姫の背景もきちんと描写してあり奥行きをもたせた仕上がり。妖怪道への案内テキストとしてもとても有用な優等生本です。『水木版』はもうちょっとページ数が欲しかった気もしますが、水木先生の正統派冒険漫画は久々というような感じでワクワクできてとても面白かった!夏はやっぱり妖怪に限るナア。▼
August 19, 2005
水琴窟(すいきんくつ)
*「夏休み日記 8月12日(金)

”水琴窟”、ご存知の方も多いかもしれませんが、江戸時代の庭師が排水のついでに音を鳴らして楽しむために開発したというものです。地中に埋められたかめに水滴が落ち、その反響音を響かせるという仕組み。これがひんやりとしていてとても美しい妖怪の音でして、数年前に那須の蕎麦屋で聴いてとても気に入ってしまいました。その蕎麦屋は地中で発生した音をマイクで拾って店内に流していましたが、どうしても生で聴いてみたいと思い調べてみたところ奥多摩の鍾乳洞にあるという事がわかりました。それで2年前くらいに一度聴きに行ったのですが、また聴きたくなって今年の夏も奥多摩まで赴きました。
JR中央線をいつもとは違う方向にしばらく乗り、青梅線に乗り換えると段々と良い景色が広がってきます。山間にかかる霧が幽玄な雰囲気を漂わせ、いよいよ妖怪の音に遭えるゾという気持ちも高まってきます。奥多摩駅から目的地の日原鍾乳洞へはバスが出ていますが、土日はそれより少し手前までしか行ってくれないのと、本数が全然無い事に注意です。どちらかというと自動車で行くべき場所なのかもしれません。しかし、少ない本数のバスを待つ時間もまた楽しい。ちょっと道を外れて下っていくと冷たい川が流れています。大して歩いてもいないのに疲れた足を浸して一休みです。そしてバスがまた凄い道(細くて落ちそう)をガンガン登っていくのもなかなかの見所です。
バスを降りるともう山としか言いようの無い場所に出ます。そこから5分くらい歩くと日原鍾乳洞ですが、チケット売り場を中心に軽く“マヨイガ”を思わせるような妙な雰囲気が漂っています。なんというか空気の色と温度が一変するのです。全体的に青みがかった色と、きりっと冷たい空気…真夏なのに鍾乳洞の中に雪女が居るかのように白く冷たい風が吹いてきています。半袖の人ばかりなのですが、皆洞窟への潜入を躊躇うほどです。勢いをつけて洞窟に飛び込んで暫くは冬の気分を味わいます。しかし、割りとアップダウンがある洞窟内は歩いているうちに体があったまってきます。
目指す水琴窟はマッピングするまでも無く、すぐに現れます。立ち止まり耳を澄ますと聴こえてくる妖怪の音。ランダムなはずなのに、何かの意志がはたらいているような錯覚も覚えるニクいやつです。立て看板には以下の名文が記されています。
“一石山御岩屋の深い底から 聞こえる、幽玄なひびき ここに、水琴窟があります。 囁くような 慕うような 恋するような 喜ぶような 悲しむような 偲ぶような 諭すようなひびき。 その人その人の耳に心に、いろいろな ひびきが、妙なる音になって聞こえてきます。 この幽玄な響を、日原鍾乳洞ご来遊の思い出として下さい”
水琴窟を家に持ち帰りたい!という衝動にかられつつも、後続の観光客がやってくるので束の間の逢瀬を楽しみました。(こんなモノも出ているようです…)
ただ、洞窟内なんだから天然モノだろうとか勝手に思い込んでいたら、平成8年8月に設置されたと明記されていてちょっとショックでした…。しかも結構最近やんけ。。。

こういった観光地って、お約束的に地獄を連想させるネーミングがなされているのが常々フシギなのですが、日原鍾乳洞もその例に漏れず期待に応えています。三途の川やら賽の河原やら、血の池地獄やら、思わせぶりに石が積んであったり…そんなまったりムードも楽しめる素晴らしいスポットです。
しかし、そうやって甘く見ていると後半戦の“新洞”で痛い目を見ることに!この“新洞”、人によってはウィザードリーよりも難しく、戦慄迷宮よりも恐ろしい場所になります。どのように恐ろしいかはご想像にお任せしますが、僕なんかは割とひーひー言って脱出しましたヨ。
帰りのバスは夏休みということで臨時バスが出ていましたが、もしなかなか来なければおっちゃんに川魚を焼いてもらうも良し、夏休み小学生と交流するも良し、ド暑い夏に涼を求めるにはなかなか良いところです。東京からも日帰りで気軽に行けますし。オススメです。▼
August 13, 2005
豆腐小僧(とうふこぞう)
*「夏休み日記 8月11日(木)

平日に自由に動ける日というのは一年のうちあまり無いもので、平日ならではの事をしようと思い、日頃参加できない“神谷町オープンテラス”の店員をやりました。まさか自分が巻くとは!と思っていた腰から下だけのエプロンを巻き、店長のフリスク氏とカウンターに立ちました。
テラスで出しているメニューはアイスコーヒー、アイスティー、ウーロン茶、緑茶、等のドリンクに加え、前回の誰そ彼でも人気のあった甘味・わらび餅と、新登場の嶺岡豆腐です。甘味は浅草緑泉寺のお坊さんKAKUさんの手作りです。冷蔵庫に作りおきしてあるものを運び、試しに盛り付けてみると、冷えひえでかなりうまそう…取敢えず練習用だから、と戴きました。とてもおいしいです。
料金は設定しておらず、『お気持ちで結構です』と賽銭箱に入れていただきます。僕はわりとバックに徹して飲み物を入れたり洗い物をしたりして、接客は名物店長におまかせです。こういった“店番”的な仕事は僕はココナッツディスク以来で、店員・スタッフと称されるポジションのあの独特の気分が胸に蘇ってきました。
テラスは風が通り易いようで気温が高い今の時期でも不快感は無くリラックスできます。僕はサッチモのハワイアンやデビッド・バーンの近作をチョイスしてかけていましたが、本堂の中からは夏休みで集まった寺のお子さん&フレンズがかくれんぼで遊んでいる声なども聞こえてきて“夏休み”フィーリングをお手軽に味わえます。
テラス営業としてお茶や甘味をお出ししているのは11:00~14:00なので、あっという間に過ぎてしまいました。お盆ですから、と出稼ぎで千葉に向かう松本坊主の車に乗せてもらい四谷まで出て帰途につきました。普段と違う働き方のせいか、妙に疲れてしまいぐったり。
夜は近くの映画館でやっているT-REXの映画『Born to Boogie』を観に行こうと誘われ観に行きました。<<爆音ロードショー>>との事で、以前同じ映画館で観たNeil Youngの『greendale』のちょっと爆音が過ぎた想い出も重なりましたが、今回はそこまで音は出ておらず丁度良いボリューム。グラムギターの硬質な音塊を全身に浴び、それがまるで花火のようで夏の夜にあっていて気持ちよかったです。そしてマーク・ボランはとても男前で、何よりも歌がとても上手いと感じました(ラストの『Get It On』は歌はちょっとイマイチでしたが…)。エルトン・ジョン、リンゴ・スターとのセッションも凄まじく痛快です。
Let all the children boogie!▼
August 02, 2005
葛葉ライドウ(仮)
*「久々に女神転生ポータルを覗いたら、ナント新作の告知が。全然気付かなかったけど、もう1ヶ月位前から発表になっていたようです。葛葉ということでやはりデビルサマナーの流れのお話ですが、元祖デビルサマナーもPSPにも移植されるみたいだし、10周年を迎えいつのまにか盛り上がってきて嬉しいなあ。
舞台は大正時代の日本という事で、妖怪たちの活躍が期待されます。スクリーンショットを見る限りでは、イッポンダタラを従えてオニと戦うシーンとか、オバリヨンに何かを報告するシーンなどがあるし。モコイなんかも見えるから日本の仲魔限定では無いようですが。
とりあえずサマナーやるためにPSP買おっかな。▼
[葛葉ライドウ公式HP]
http://www.atlus.co.jp/cs/game/pstation2/summoner/index.html
July 26, 2005
第十回世界妖怪会議
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*「数日前のかはたれ時、我が家の妖怪ポストに届いた一枚の招待状に導かれ、日曜日は中野サンプラザへと赴きました。到達するとそこには百鬼夜行、もとい百鬼を待ちわびる行列が既にずらり…第十回世界妖怪会議です。
四国の離島から参戦の風眠庵こと加藤円正さんと合流し、僕らも行列に加わります。待っている間も加藤さんに件(クダン)の剥製の写真を見せて頂きつつ妖怪雑談…。寸分の隙も無い濃密な妖怪日のはじまりです。
開場早々、鳥山石燕の河童がプリ












