June 11, 2010

ひふみよ

ひふみよ

*「ひふみよ行ってきました。@渋谷NHKホール。小沢健二は僕の最大のヤングトラウマなので、最早正常な判断が出来ているか不明ですが書かずにはいられない。

KENJI OZAWAが捩れ捩れまくっているのはいつものことで、序盤の(こちらの)戸惑いや居心地の悪さにいつしか慣れる頃に『痛快ウキウキ通り』の「喜びを他の誰かと分かりあう」というフレーズが歌われました。曲はあっという間だった。「プラダの靴が欲しいの~♪」という出だしで、それから3分弱でこんな、幸せの根源的なテーマに到達しているなんて素晴らしいポップスだなと実感しました。

曲間の、MCというより"お話"の中で「笑い」について触れていたけど、ローカルネットワークでしか通用しないようなネタから起こる「笑い」の効用や「なんかわかっちゃう感じ」。排他的とも言えるけど、実際はそういうローカルな世間のレイヤーの往来の中で僕らは一人一人生きている。同じ言語を持った人と偶然か必然か、出会って共感して確かめ合う。そんな事の繰り返しの中で進んでいくのだ、という感覚が最近凄くあるのです。正に「愛すべき 生まれて育ってサークル」のような。

昨年偶然か必然か出会って、今回同行する事になった若い友達が、ひふみよの帰り道に夏目漱石の話をしてくれました。漱石曰く、昔は"Love"に相当する日本語がなかった。何故なら「月が綺麗ですね」で愛を分かりあえたから。つまり、平安の歌文化の頃から変わらず「それだけがこの世の中を熱く」していたのだなあと、僕は思いを馳せました。「なんかわかっちゃう感じ」で幸せを共有していたのは今もずっと変わらない。

時は流れ、人は変わり、街は変わり、だけどキャラバンは進んで行く。変わったもの、変わらないものは何かという事を知るそれぞれの誰かと、共感する、確かめ合う。そのために我は時を行くのだ。

予想していた以上に(というか想像ができなかった)、素直に古い曲を演奏していました。そしてその為のアップデートの準備は周到に算段されていました。長い旅から戻った新しい視点で、ストーリーは作られていた。シンガポールでマツダの中古車を大事にしているスポーツライターの話の後で、あの『カローラⅡにのって』をどこかの国の奇妙な民族音楽のようなアレンジで演奏するという手腕はお見事としか言い様がなかったです。カローラⅡは飛んでゆく。

"渋谷系"という言葉も、最早フォークロア化させていました。世界のどんな街にもその街の歌があって、幾度も演奏されて歌われている。「僕はこの街(渋谷)の歌にしてもらえてよかったです。」というような事を言っていたのです。
遠い街の物語を話しているラジオからのスティーリー・ダンは、この街の物語を歌う『いちょう並木のセレナーデ』に置き換えられていました。
名古屋公演を見たという友人は「ジャマイカ人にとってのレゲエと、日本人にとってのオザケンは、多分一緒なんじゃないだろうか」なんてつぶやいていたけど、ある意味ではそうかもしれないな。渋谷HMV前で待ち合わせて、公園通りを歩いてNHKホールに向かう。「あれっ?CD何買ったの?」なんてステレオタイプな渋谷原風景が今も生きていたとは!昨日の自分はまるで河童か天狗にでもなったかのような気分でした。

小沢健二は旅の中で各国の『土着』の美しさを発見して、それを持ち帰って自分も日本での土着化を試しているのではないかという気がしたのです。

「それで Life is comin' back 僕らを待つ」とは歌えなかったのか、歌詞を変えて「それで 感じたかった 僕らを待つ」と。「Lovely lovely way, can't you see the way? It's a」のとこは「Lovely lovely day 完璧な絵に似た」に変えるので、観客に歌を練習させるシーンが序盤にあるのですが、その時に「一時間後にこの曲をやる時には必ずそういう気持ちになってるはずだから!」と断言していました。
実際そういう気持ちになっていたのですが、前述の周到なる算段や渋谷原風景を「完璧な絵」と捉えてしまうと"してやられた感"があって癪なので(笑)、素直に"完璧な絵に似た"未来のLovely dayを空想して渋谷の神話は美しいものとして締め括りました。▼

Posted by Takuya Endo at June 11, 2010 12:55 AM
Comments
Post a comment









Remember personal info?






■□ 最近のクエスポ
□■[recent entry]
2010年の10曲
ひふみよ
世間地図
It really, really, really could happen
誰そ彼 Vol.18 のお知らせ
Antony and the Ohnos -魂の糧- @草月ホール
quiet loud quiet
爽やかな冬の酔いにまかせて
2009年の10曲
12/24の大友良英トリオ
More Stars Than There Are In Heaven
beautiful winkler
Must Be Santa
魂だだ漏れ
音泉温楽 Vol.1 終了!!
This Is It
土ボーイ思う、朝の中野、寺町通り
パスカルズが動物園にやってくる!
誰そ彼 Vol.16 のお知らせ
コーヒーと精霊たち
■□ コマンド?
□■[category]
▼ おんがく (71)
▼ ざつだん (26)
▼ しかいだな (2)
▼ たそがれ (58)
▼ ほん (5)
▼ ようかい (40)
▼ ヒガンオンガク (13)
▼ トップへ
■□ 何処へ?
□■[blog link]
彼岸寺
besimi.net
風眠庵
向こう側の雑感
offtone.net
児童文学マラソン
more LINK...