December 05, 2007

墓場グルーヴとオレ

*「おわ~、墓場鬼太郎盛り上がってまいりました
アニメ化楽しみダナー

http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/denki/info/index.html

http://www.toei-anim.co.jp/tv/hakaba/

気分が盛り上がってきたついでで、先日の誰そ彼 Vol.11にて配布したフリーペーパー『busse posse issue』に寄せた原稿を掲載します。
のんのんばあとオレ、フランスのアングレーム国際漫画賞グランプリ受賞記念愛蔵版について書きました。どんぞ~

シリーズ百鬼巡礼第九夜 [怪住考]

◆ 誰のところにも、怪は棲む

先日、現代妖怪の生みの親であられる水木しげる先生が、フランスのアングレーム国際漫画賞グランプリを受賞されました。水木しげる先生が海外の賞を受賞されるというのは一妖怪ファンとしてはとても嬉しく、また意義深いものと思います。
今回受賞した作品『のんのんばあとオレ』は、水木しげる先生が幼少時代に体験した妖怪との出会いや周りの人々との思い出を描いたもので、戦前の日本のムラ社会のようすの一例が克明に描写されている点も含めて色々な意味で多くの人に読んで頂きたい作品です。もちろん、海外の人にも。

しかし、妖怪という概念は日本以外の国の方にも容易に理解できるものなのでしょうか?妖怪は目に見えないものであるうえに、日本の風土や歴史に深く結びついた多面的な存在である故、その多くを捉えようとするならばなかなか難しい問題であるといえます。私達日本人でさえ同じ事なのですから。ただし、最初の門については言葉や文化の壁を越えた大きな門戸が開け放たれていると言えます。それは、水木しげる先生が実際に世界中を冒険し、それぞれの地で感じた妖怪達を絵にされていらっしゃるからです。例えばそれはニューギニアの奥地の電気の通っていないような村でさえ通じたそうです。現地の村人に妖怪の絵を見せたら「ああ、コイツ知ってる。あそこの森にいる。」というような反応があったりするそうです。水木しげる先生ご自身も"妖怪千体説"を唱えていらっしゃり、世界には似たようなのを合わせてもだいたい1000体くらい妖怪がいると述べられています(1000体という数は日々だんだんと増えているようですが…)

つまりそれらは、間違いなく世界中にいるのです。

水木しげる先生のご功労によるインフラ整備で"絵"という直感的なインターフェースを、財産的に享受している私達ですが、更に次のステップに進んで日本の妖怪を海外の方に理解してもらったり、自分が世界の妖怪への理解を深めるにはどのような方法があるのかという事を考えてみます。
そのヒントはアングレーム国際漫画賞受賞記念として発刊されたフランス版『のんのんばあとオレ』にありました。フランス人の読者が想定された前書きにおいて、まず『ゲゲゲの鬼太郎』を挙げるような事をせずに作中の舞台と人間関係を丁寧に説明しています。そしてそれは"この作品を理解するために"と注されています。のんのんばあは水木家の住む村のお寺でまじないや祈祷を生業として暮らしていたお婆さんで、貧しい。旦那を亡くしてから、親戚にあたる水木家に住み込みで働く事となったのです。水木家は父が東京の大学を出て、銀行勤めである程度は裕福な家庭であった事も説明がされます。更に、のんのんばあが水木しげる少年(作中では村木茂)を"しげーさん"と呼ぶが、"さん"付けというのは日本では目上の人物に対して付けるものであり、それは二人の身分的な立場の差であったり、のんのんばあがしげる少年に対して尊敬の念を込めていることが影響しているとの記述も見られます。
水木しげる先生の著書を紹介する前書きとして『ゲゲゲの鬼太郎』を挙げるよりも先に、舞台となる小さな共同体の構造の説明が必要だったという点がとても興味深く感じました。それは確かにこの作品のストーリーを理解する上でも重要な事であるし、ひいては作中に多く登場する"目にみえない存在"の理解にも通づる要素であると思うからです。

鳥山石燕による『画図百鬼夜行』は江戸の民間の娯楽として、当時の大衆風俗や世間批評を駄洒落などのフィルターを通して滑稽に描かれました。日本の風土を後世に残さねばと柳田國男が農村の調査をし、民話を収集し『遠野物語』を著しました。水木しげる先生は世界中のお祭にはいっていき、土産物屋の民芸品を買い占め、世界の妖怪をたくさん描かれています。妖怪というものはやはり土地や人にわくものだと思います。その土地の生活を覘き、人と接してみる、文化を知るという事が世界の妖怪の秘密に迫る重要な手がかりとなるでしょう。流石に江戸に行く事は叶いませんが、私もいつかは、冒険家 水木しげるのように世界を旅して多くの妖怪を見つけたいものです。▼

Posted by Takuya Endo at December 5, 2007 12:26 AM
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