August 19, 2007
ルドンの黒、ジュークボックスに住む詩人
*「先週の土曜日のこと。この日は真昼に起き、わざわざ一番暑い時間をつたってBunkamuraミュージアムにルドンを見に行きました。
白に黒で紡がれる深遠な幻想の空間はきりっと冷え、ひとときでも残暑を忘れるにはよい方法でありました。特に、ブルワー・リットンの『幽霊屋敷』の挿し絵での幽霊の表現などは思わずゾッとする程に、僕の幽霊のイメージと馴染む秀逸なものでした。今年も全生庵で見られる円朝の幽霊画コレクションを思い出しましたが、あの中に一枚紛れ込ませたとしてもなんら遜色はないといえます。日本と西洋では照明が違うせいか、ルドンの幽霊はヒュードロあらわれてくるというよりは、気づくとそこに居る!といった具合。僕としてはそっちのほうが怖いです。
水木しげる先生が目玉親父のアイデアの源泉とされたという目玉気球や蜘蛛のポストカードを購入しました。
続いて新宿紀伊国屋書店へ。友部正人さんの『ジュークボックスに住む詩人2』刊行イベントに参加しました。友部さんが本の中で取り上げている楽曲をかけながら解説を加えていくというDJスタイルのトークイベント。声と同じくらいに目にも力を宿した方で、小さいスペースの少人数のイベントだったのもあり終始必要以上に緊張してしまいました。"朗読"というほど畏まらずにさらっと詩を読み上げるだけでも、詩に新たな視点や質感を加えてしまう声が素晴らしい。質疑応答のコーナーで「今注目しているアーティストは?」との問いに、戸惑いながらも「…やっぱ、ボブディラン」と、はにかみ混じりで答える友部さんはやはりまだまだ一本道を駆けていられるようで、その視線のしなやかな強さを感じました。かっこいい~
僕も質疑応答で質問したかった事があったのですが緊張しすぎてできませんでした。聞いてみたかったのはダニエル・ジョンストンの"some things last a long time"という英語を友部さんならどのように日本語にされるかということ…。
そして友部さんを目の前にして緊張しきった体を弛緩させる酒を飲みに仲間達と街へ。東京は夜の1時を過ぎても真夏のソレで、、、ソレは夏休みのソレなもんで予定調和の一本道をひた進み、空が白む頃まで飲んでしまいました…。
昼過ぎに起き、仲間達と別れた後はひとりになって友部さんの『遠来』を聴きました
"君がニューヨークにいるのと同じように 僕は東京にいる
君がニューヨークでアパートを借りているのと同じように 僕は東京で借家住まいだ
君がニューヨークで新しい友達を見つけただろうか 僕は東京で見つけたよ
そして僕も君も東京とニューヨークでうたのことを考えている"
引用の詩中の"君"にはどうしてもボブ・ディランをあてはめたくなってしまいますが、このほかにもインドやフランスや台湾の"君"も登場してくるので、あくまで地球のどこかの街の"君"という事なのでしょう。とある町のとある"君"たちと東京の"僕"の対比を並べたあとで
"夜になるとたくさんの町の灯が つながってひとつになるのを見たことがある"
というフレーズで視点が急にズームアウトするのがとても美しいと思います。そして瞼の奥にはゆっくりと、自分を取り巻く様々な縁や因縁のイメージが思い浮かんできます。
そんな、なんとなくあたたかい渦に浸る間も無く、
"わかりあえないまま距離ばかりを気にしている"
というお終いにドキリとさせられ、例えようの無い感情が込み上げて来ます。
いい曲だなあ。▼
::過去の関連エントリー::
2006年10月 - some things last a long time
2004年8月 - ENCHO'S GHOST











