November 07, 2005
シリーズ にほんのかっぱ - 福島編

*「会期延長で、年末年始は川崎市市民ミュージアムにて開催される大水木しげる展。東京では1年前の同じ頃に江戸東京博物館で開催され、僕ももちろん足を運びました。その、江戸東京博物館での開催から展覧会に加わり、図録には未収録の一枚の水彩画がありました。“田舎の河童”というタイトルで、淡く幻想的な色彩がなんとも美しい河童の絵です。水木しげる先生の膨大なる画業の中でも水彩画というのは大変珍しいと話題になっていましたが、福島県の旅館にあったもの、という事でした。すかさず旅館の名前を記憶して帰り検索してみたところ、福島県でも新潟よりの金山町という町にある玉梨温泉の旅館で、なんと河童の湯と名付けられたお風呂まであるようです。それを見てどうしてもその旅館・恵比寿屋さんに泊まってみたくなり、絵が旅館に帰ってくるはずの2005年9月以降に必ず泊まりに行こうと心に決めていたのです。
そして先日、9月25日をもって高知にて無事お役目を果たした(と思われる)“田舎の河童”。川崎市市民ミュージアムでの延長開催の情報もあったので念の為旅館にも確認したのですが、「9月中に返却します」と朝日新聞社から連絡があったとの事。早速予約をして10月の連休に宿泊してきました。遠野以来2年ぶりの“河童にあう旅”、今回はどんな河童に出会えたのか、以下に旅行日記としてご紹介します。
10月8日(土) 東京くもり→福島あめのちはれ
生憎の天気となってしまった旅の出だし、東京はなんとか曇天を持ちこたえているという具合でした。上野発11時半というのんびりスタートです。行きは新潟をまわっていくためMaxときに乗って1時間半、浦佐にて上越線に乗りかえて20分、小出にて只見線に乗り込みました。この只見線というのがローカル線の鏡のような存在で、本数が少ないのもさることながら(この日向かう会津若松方面は4本)土曜は朝5時半の次の電車が13時という不可解なダイヤ…。5時半に乗れるわけがないので、どう頑張っても目的地に着くのは15時半以降となってしまうのです。車窓の景色がとても良いらしく写真家や鉄道好きに人気のある線であるという情報を得ていましたが、浦佐に着いた時点で既にドシャ降り。雨で景色はよく見えないしトンネルも多い為、うとうとしていたら目的の会津河口駅に到着していました。
全く人の出入りが無かったような気がするそれまでの駅に比べ、会津河口では降りた人が多かったと思います。集落があり民宿などもいくつかあるのでしょう。雨から逃げるように駅舎に駆け込むと、なんともいい味の雪国の駅。この先にはろくに物が買える店も無さそうとおもい、ペットボトルのお茶とチョコレート、プリッツバター味を購入しました。遠い地に降り立った少々の不安をモノで埋め合わせるマテリアル・ボーイ。そして、壁に貼ってある高橋ヒロシ先生のポスターに安心をおぼえます。10分程待つと恵比寿屋旅館の方がマイクロバスで迎えにきてくださいました。山道をびゅんびゅんと豆腐屋のようにかっとばしながら、現地の天気の話を少々。そしてまもなく到着。

部屋は野尻川という川に面していて、流れの音がずっと聴こえてきます。何故か部屋にはタヌキの置物(剥製??)が居ました。駄洒落で考えるとタマナシ温泉にタヌキとな??…素敵な先住者に挨拶を交わし、まずは水木先生の絵を見に行こうとお風呂に行ってみました。すると、絵が無い…。置物の河童や水木先生のサイン色紙はかざってあるのですが、絵がかかっているはずの場所に大水木しげる展のポスターがかけてあります。フロントに戻り若女将さんに確認してみると返却日は10/16だという事。返却予定日変更の連絡があり、その情報がスタッフに行き渡っていなかったのだそうです…。少し残念な気持ちになりましたが、絵は大水木展で一度見ているし、また来れば良いかと思いなおしてお風呂に入る事にしました。

お風呂は河童の湯です。お風呂の前にかけてある説明文によると、やはり野尻川には河童の伝説があり、それに因んで河童の湯と名づけたそうです。洪水を起こす河童を退治するために、遊行僧(弘法大師との説も)が川沿いの大石のいくつかに梵語で呪文を刻み付けたという伝説です。鉄分の酸化で赤く濁った湯に映り込む湯の花がなんとも河童のような色をみせている露天風呂に浸かり、眼下の野尻川を眺めました。いつの間にか雨は止んでいて、川の上流の山あいに沈みゆく夕陽。河童を感じるひととき。田舎の河童たちの凱旋より少々早まってしまいましたが、ここまで来てよかったなあと実感しました。そして、あったまった体でたそがれの野尻川を散歩したい気分にかられて思わずあがりましたが、この季節、足のはやい日暮れに先を越されてしまいました。
食事は場所柄、山菜、川魚、豆腐などが美味しく、“山の黒料理”と名づけられた黒い食材(黒ゴマ、黒米、黒豆、ひじきなど)を基調にしたメニューが食いきれない程に…。部屋のたぬきのように腹を膨らましてフロントを通りがかると、宿の若旦那が声をかけてくださいました。連絡の行き違いで絵が戻ってきていなかった事をわざわざ謝罪してくださったので、お湯と食事で既に満足なのでまた来ますと伝えました。そして水木先生の宿泊時のお話を聞く事が出来ました。今までに三度ほどご宿泊なさっているそうで荒俣先生とご一緒の時もあったそうな。江戸東京博物館の方が偶然この宿で“田舎の河童”の絵を見つけ、「是非大水木展に加えたい」と水木プロダクションに問い合わせたところ、水木先生は「そんな絵は知らない」と、お忘れになっていたらしくなかなか難しかったそうです。そして江戸東京博物館の方が野尻川の河童伝説について調査したドキュメントも見せて頂きました。野尻川には魔がっ淵(曲がり淵)と呼ばれている急カーブの難所があるらしくそこで溺れる人が多かったそうで、そこには大蛇か河童が住んでいるなんて信じられていたようです。( 参考 http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1070517.shtml )また“田舎の河童”の絵は、この金山町に妖精美術館を開館させた井村君江先生が、水木先生にお願いして描いて頂いたものだと記してありました。
若旦那に感謝を述べてから部屋に戻り、河童の居る川の流れを耳にビールを飲み就寝。(二日目に続く。)▼
Posted by Takuya Endo at November 7, 2005 01:10 AM | TrackBackおおぅ!! 川崎市市民ミュージアムとはお懐かしい。
私、2年間ここでバイトしてました。
水木しげる展ってことは、漫画部門の主催ですかな? 同じ漫画部門の学芸員さんに、湯川さんという河童のような人が居ます。
Posted by: Batistaさん at November 7, 2005 05:10 PMあぁ…
温泉行きたい。
いつか是非ともソコ行きたいです。
で、Batistaさんこんにちは。
横レス失礼します。
妖怪の法話した島の坊主です。
市民ミュージアムにいらしたんですか?
あそこ楽しそうですね、なんとなく。
妖怪グッズ蒐集家(?)の湯本豪一さんもアソコの学芸員されてますよね?
>カトさん
湯本さんの間違いでした。湯川て!!
1998年から2年間働いておりまして、言い訳ですが、少し昔なもんで、名前を間違えてしまいました。面目ありません。
そして、湯本さん、何円か前に本を出しましたよね。私が修行に行っているときに、風の噂で聞きました。
妖怪グッズもさることながら、彼はたしか、カエルグッズの蒐集家でもあるんですよ。
>Batistaさん
川崎市市民ミュージアムでバイトなさってたんですか!羨ましい…
「日本の幻獣」展とか森山大道さんの写真展とか、
お客としてかなりお世話になっております。
[↓幻獣展のときのエントリです]
http://www.quexpo.com/htdocs/mt/archives/000029.html
湯本豪一さんは結構出版なさっていますよ。
僕も何冊か持っています。市民ミュージアムでも一冊買いました。
音楽にも力入れてますよね。
こないだ元CANのダモ鈴木さんがライブをやったらしくびっくり。
よいところです。
>加藤さん
河童の湯、みんなでいけたら楽しそう。
田舎の河童のように行列しましょう。
そして週末はいよいよ妖・怪談義デスナー。
Posted by: en-do at November 7, 2005 11:52 PM>Batistaさん
湯本さんと一緒に仕事されてたなんて。。。
(とにかく妖怪関係&本を書かれてる人に対してミーハー)
蛙グッズ蒐集家と云う事は、やはり「かえる友の会」http://www2.ocn.ne.jp/~kkkb/tomonokaij.htmlの会員?でしょうかね。
>en-do君
団体旅行なんて久しくしてないから憧れます。
皆で遠くへ行って旅館泊まって。。。いいなぁ。
田舎の河童になりに行きましょう!
で、今週末はヨロシクお願いします。
Posted by: カト at November 8, 2005 05:16 PM>en-doさん
京極夏彦氏と小松和彦氏による"幻獣トーク"。
私、当たりまして、見てきましたよ。小松和彦先生のファンでして。当たったのは、昔の職員のよしみかと思っていたのですが、全然関係なくクジ運でした…。
>カトさん
湯本さんとは同じ部門ではなかったので、一緒に仕事とはいえませんよ。湯本さんは漫画部門。私は美術文芸部門でしたので…。ただ、学芸員の研究室(学校の職員室みたいな感じ)は一緒でしたので、たまにお話はしましたねぇ。湯本さんは覚えてないだろうなぁ。











